第21愛 告白記念日♡

ご主人様マスター……いえ、使役主マスター様は私の事……嫌いなの?」

「そ……そんな事ないよ……」


 馬乗りになった状態で彼女のブロンドの瞳が空色の瞳を捉える。


「じゃあ……ひとつになる事が不安?」

「それも……あるけど……」


 ユズキは気づいていた。レミリアとずっと一緒に過ごして来た日々。女性に触れられる事に恐怖を覚えていた彼はレミリアとだけは肌と肌が触れ合っても平気だった。むしろ彼女の豊かな双丘は、いつも彼の心を優しく包む女神のようで、その温もりを感じる事で安心する事も事実だった。


「私……ご主人様マスターの事……」

「レミリア、待って……」


 馬乗りになった彼女の身体をぐっと押し上げ、身を起こすユズキ。レミリアの表情が少し曇る。途端に瞳の奥が憂いを帯びる。


「私じゃ……嫌?」

「違う! 違うんだ!」


 強い口調でユズキがレミリアの両肩に手を置く。真剣な表情の彼を見て、レミリアが目を丸くする。


「ユズ……君?」

「ちゃんと……ちゃんと言ってなかったから。僕、あの時レミリアの命を失いそうになって、絶対に死なせたくないって思ったんだ」

「うん……」


 ユズキの言葉に頷き、黙って聞き入る契約者パートナー


「正直、僕はレミリアの事、契約者パートナーとして、大事な仲間だと……今までそう考えていた。でも、レミリアは親も分からない、身分もない僕を大切に思ってくれて、いつも優しく包んでくれた」

「うん……」


 レミリアの瞳に雫が溜まっていた。


「最初はね、〝寵愛〟のせいだと思ってた。でもそうじゃなかった。同時に女性が苦手だった僕も、いつの間にか、レミリアと居ると安心するようになってた」

「……」


 ユズキが続く。


「だから……さ。僕にとってのレミリアは契約者以上で、失いたくないと思える存在で……この間みたいな事、二度と起きて欲しくないから……」

「……うん」


 レミリアの頬には雫が流れ落ちていた。


「レミリア、こんな僕とずっと一緒に居てくれてありがとう。僕にとってレミリアは大切な存在です。契約者パートナーだけではない、本当の意味で、恋人パートナーになって下さい」

「……はい」


 不器用ながらも精一杯の告白に、レミリアの心は胸いっぱいとなり、熱情と慈愛の感情が溢れ出す。


 そして、そのまま……そうなる事が自然だったかのように、ユズキとレミリアの顔は近づいていき、彼女の柔らかいピンク色の唇がユズキの美少女のようなぷるんとした唇に触れる。


 二つの唇が重なり合う瞬間、痺れるような電流と、暖かい温もりが全身を駆け巡る。そっと顔を離し、再び見つめ合う二名ふたり。笑顔になるユズキとレミリア。


「不安……だった事以上に……ちゃんと言えてなかったから……」

「……もう……ユズ君……大好きよーー!」


 強引にではなく、優しくユズキを押し倒すレミリア。

 ユズキとレミリアはこの日、文字通り恋人パートナー同士となり、濃密な夜を過ごすのであった――――





★メ★★ロ★★ン★


 翌日、ユズキ達が泊まるVIP部屋の隣、にくテロパーティが泊まる部屋に夢妖精ドリームフェアリーが呼び出され、出迎えられていた。尚、ユズキは、特別依頼エキストラクエストの件でゴルゴンに呼び出されていた。


「レミリアたんおめでとぉーー」

「のほぉーーリア充爆発しろなのぉーー」

「別に私は……羨ましくなんかない」


 昼間から祝杯をあげる女達。極秘任務クエストは無事に成功したようだ。


「ノゾミさん、貴女からお借りしたメイド服、効果は抜群でした!」

「のほぉーーさすが同じメロンなの。私もよくご主人様マスターとメイドにゃんにゃんご奉仕プレイをよく……」

「駄エロフ……まだ昼間」


 自身のご主人様へのご奉仕プレイを回想し、発情しそうになるノゾミを窘めるツカサ。


「貴女達、模擬戦闘の時何を賭けているのかと思ったら、そんな事を賭けの対象にしていたのね」

 

 マリンが呆れたような表情で溜息をつく。だが口元は緩んでいた。


「私が賭けに勝てば、ノゾミさんご愛用――メロン仕様のメイド服を貸してくれるって事だったのでつい……」

「のほぉーー。私が勝てばユズキさん一日専属メロン券・・・・・・だったの。でもこの間レミリアさんとその話は片がついたの」


 レミリアとノゾミがフフフフと含み笑いをしている。どうやら彼女達の間で密約が交わされていたようだ。


「貴女達、夜中はもっと静かにするといい。丸聞こえ」

「ちょ、ツカサさん! ……あはは……VIP部屋、防音って聞いていたのになぁ……」


 ツカサがボソっと爆弾発言をするものだから、レミリアが耳の先まで真っ赤に染め上がる。


「もうーー、深夜までズキューンバキューンでドキューンなんだから、昨日は眠れなかったわよ!」

「激しすぎて私も昨日は我慢出来なくなっていたのぉーー」

「この駄エロフ」


 隣室からの規則正しい震動音に、さすがに三名さんにんは寝不足らしい。


「ごめんなさい、皆さん。次回から気をつけます」

「いいのよ。でもユズキさん、彼の不安は大丈夫だったの? まぁ、あの様子なら聞くまでもないんだけど……」


 謝るレミリアに、当初の問題が解消されたのかを問い質すマリン。


「それなんですが、最初はメイド服を着たまま果実だけを出して、優しく包み込んであげていたんですが……彼を私が受け入れた事で、不安が解消されたみたいで。……次の瞬間、少年だった彼のアレ・・が……それこそ皇帝牛馬ジェネラルミノホースになっちゃいまして……」


「「「なん……だと!?」」」


 皇帝という名のついた皇帝牛馬は体長三メートルは下らない。それまで優しく奉仕していたお姉さんが、暴力のまま皇帝牛馬に蹂躙される姿を想像し、ゴクリと唾を飲み込む三名さんにん


「あの子……侮れないわね……」

「のほぉーー特Aランクなのぉーー」

「そんなの私知らない」


 ユズキの知らない間に、夜の冒険者としての彼のランクは、彼女達の間でDランクから一気に特Aランクへとジャンプアップしていたのであった――――

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