第20愛 ご主人様、奉仕致します
ふかふかのソファーにガラスのテーブル、細かな刺繍が施された絨毯。
「へぇ……こいつらがその
部屋の隅、サングラスをかけた長身の男が
「くっくっくっ……面白い連中じゃが、儂等の相手ではないの」
ソファーへ座った闇に紛れる漆黒のフードを目深に被った男が渇いた笑みを浮かべる。
「ねぇーーワタシにもその資料見せてよぉーー」
「おいおい! 俺が
褐色肌で露出度の高い鎧を着た女性が赤髪を靡かせ、サングラスの男から資料を横取りする。資料にはユズキ・ルーシアの属性や冒険者ランク、特殊技や魔法、過去の主なクレスト履歴などが載っていた。
「えーーいいじゃん、減るモンじゃないしぃー。お、このコ、可愛いじゃん! 男の子なんだぁーワタシの好みぃーー」
腰をくねらせつつ女が資料に載っている
「人間で
「うっそー、せっかく好みの顔なのにぃーー」
「
ユズキの
「迅雷のくの一姉妹――姉うぐいす、妹さくら、只今戻りましたのん」
「只今戻りました」
くの一姉妹の到着を確認し、赤髪の女性がくの一姉妹の顔を覗き込む。
「あーらー、遅かったじゃないー。てっきりあの男の子に
「あんたじゃないんだから失敗はしないのん」
「私とお姉様にかかればあの程度、敵ではありません」
「……ふーん。そうー」
「まぁいいじゃないか。んで、うぐいす。他に計画の邪魔になりそうな奴は居たか?」
サングラスの男が赤髪の女を窘め、うぐいすへ声をかける。
「
「あの妖精達の強さは本物です。私の雷撃も恐らく効かないかと……」
うぐいすがお手上げ状態といったポーズを取り、さくらが補足する。
「……そうか。まぁいい。いざという時は儂が相手をしよう」
「で、肝心の
赤髪の女がそう尋ねると、フードの男がゆっくり立ち上がった。
「くっくっくっ……それはじゃな……」
フードの男の影が一瞬揺らいだように見えた。
★★★
「もうーーこれ苦しすぎぃーーこれしばらく続くのなかなか苦痛よぉーー」
男装用のかつらを取り、鎧を脱ぎ、巻いている白い布を解いていくと、解放されたメロン級の果実がぷるるるんっ! と自由を取り戻したかのように主張する。
「僕もこの格好続けるの嫌なんだけど……」
ソファーに座った状態で
「鎧って意外と汗をかくのねぇー。下着が濡れちゃった……私、魔導士でよかったわー」
(なん……だとっ!?)
「……レミリア……その……着替え終わったら言ってね」
「もうーー
スカートをするすると履く音、肌に服が触れると、擦れる音が余計に想像を掻き立てる。喉を鳴らして下を向くユズキ。
「……着替え終わりましたよ、
「そかそか……よかっ……なんっ……だとっ!?」
ユズキがようやく拷問から解放されたかのようにほっとひと息ついてレミリアを見る。しかし、ユズキは彼女の姿を見た瞬間戦慄する! レミリアは普段着ている白い魔導士風のローブ……ではなく、二つのメロンが強調された、黒と白が基調のメイド服を身に着けていたのである!
「ふふふ……ユズ君、驚いた? これノゾミさんとの戦闘訓練の報酬なのよ? びっくりしたでしょう?」
「ほほほ報酬って……どうしてメイド服が……!?」
眼前に強調された収穫時のメロンが迫り、ソファーに深く座り込んでしまうユズキ。言葉尻から動揺が伝わる。
「一度着てみたかったの。どう? ユズ君、似合ってる?」
「……に、似合ってるよ……」
似合ってるも何も、可愛さとセクシーさを両方強調したかのような格好に、思わず鼓動が速くなってしまうユズキなのである。
「よかったぁー嬉しいー。さぁ、ご主人様。今日はいーーっぱいご奉仕しますねぇー」
「ちょ……ちょっと待って! レミリア!」
ユズキの隣、ソファーへ座り、ご主人様を上目遣いで見つめる
(このままじゃ……レミリアが〝夜の妖精〟に……!?)
「ご主人様……この間……命を救ってくれてありがとう」
「え?」
思わぬレミリアの言葉に驚くユズキ。
「私……毒でやられた時……本当ダメかと思ったの……ユズ君の寵愛が私を守ってくれた……嬉しかったのよ?」
「いや……あの時は必死だったから……」
レミリアを失いたくないという強い気持ちがユズキを突き動かしたのだった。
「ご主人様このまま私にお礼をさせて……私の気持ちを……受け取って欲しいの」
「レミリア……でも僕……」
ユズキの中に過去の不安がよぎる。眼前に居る彼女のブロンドの瞳は心なしか潤いを帯びていた。
「大丈夫よ。今度は私がご主人様を愛で包み込む番」
そう言うと、
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