第6愛 お●ぱいは正義! そだねー

「レミリアさん、中々いい果実をお持ちですなぁーー」

「ノゾミさん! 貴女こそ、その大きな果実でユズ君を誘惑しちゃあダメで……ひゃん!」


「隙あり! レミリアたん、その果実を堪能させてぇーー」

「ちょ……マリンさん……やめ……やめてくだひゃい……」


「別に……うちは羨ましくなんか……ない」


 湯船にたぷんっ、たぷんっと浮かぶ果実……そんな美しい果実を自慢の肉球でマッサージする猫妖精マリン。そんな様子を『興味ない』と言いつつも、自身が持つつるんとした二つの蕾と、銀髪エルフと夢妖精のメロン級の果実とを見比べ溜息をつく水妖精ツカサ。女神達の戯れる声が女神の花園おんなゆへ響き渡る。


 宿泊した場所が、小さな温泉宿だったという事もあり、温泉は貸し切り状態であった。半日かけての馬車での移動だった事もあり、一同は宿に到着するなり温泉へと直行したのである。尚、温泉の後は飯テロしょくじの時間だ。


 さて、壁を隔てた向こう側から何やら女神達の声が聞こえる。そんな声を聞きながら、お湯に一人浸かっている男……誰であろうユズキだ。女の子っぽい姿とは言え、ユズキが女神の花園おんなゆへ入る事は許されない行為なのである。


 (こ……これは拷問だ……)


 幾ら女の子っぽい、幼い容姿であっても、彼は立派な大人なのである。雑念を打ち消そうと温泉に顔までつけて目を閉じるユズキ……。


 (考えちゃだめだ……心を無に……)


「マリンさん! もう怒りましたよ、覚悟!」

「きゃっ、レミリアたんの果実に埋もれるーー!?」


 壁を隔てて聞こえてくるは女神達のさえずり。


「のほぉーーメロン最高なのぉーー。私も加勢するのぉーー」

「きゃああああメロン級とメロン級のサンドイッチ……もうらめ……私天国へ……イッ……ちゃう!」


「べ……べつにうちは興味なんか……(ゴボゴボ)……」


 (なん……だと……!?)


 〝メロン級とメロン級のサンドイッチ〟という意味の分からない言葉に困惑するユズキ。


 (心を無に……そうだ心を無に……無に無に……メロンはムニムニ……おっぱいはムニムニ……おっぱいは正義……)


「あああああああああああああああ」


 刹那、男湯から叫び声があがり、男は一人湯船から飛び出していったのであった……。



「あれ? 今の声……ユズ君?」

「あらあら……あの子純朴なのね」

「はぁ、やっぱり私のご主人様マスターと同じ香りがするのぉ……」

「わ……わたしは興味なんか……」


 男湯から突如あがった叫喚に、頬を赤らめてニヤニヤする女達なのである。






「ほらー、ユズ君、アーーン」

「レミリアいい。自分で食べるから」


「ええーユズ君、どうしたの?」

「……なんでもない」


 眼前に置かれた焼魚を黙々と食べるユズキ。レミリアが横からフォークに刺した蒸した光芋ひかりいもを食べさせようとするも、ユズキは脇目も振らず食べ続けている。


「嗚呼……青春ね。あの子、気に入ったわ」

「だ、駄目よノゾミ……私にとってのご主人様マスターはあの方だけ……なん……だからっ」

「そこの駄エロフ・・・・、ビクンビクンしないでもらえますか?」


 ユズキとレミリアの様子を視姦かんさつするにくテロパーティ。今日の晩御飯が魚メインだったため、飯テロをあげる代わりにユズキを視姦かんさつしているようだった。


「あのー。ユズ君をそんな目で見つめないでくれます?」


 テーブルに対面する形で座るマリン達をジト目で見つめるレミリア。黙々と食べ続け、お茶を口に含むユズキ。


「あ、ユズキさん、よかったら口直しにメロンジュースでもいかが?」


 ブフォオオオオオオ――――


 マリンのひと言に、ユズキが豪快にお茶をぶっ放すのである。





★メ★★ロ★★ン★


「レミリア……昨日みたいなテロやめてよ?」

「ふふふ……やっぱり温泉の声、聞こえていたんですね」


 翌日、にくテロパーティが居ないタイミングで会話をするレミリアとユズキ。ちなみに夜、同じ部屋の二名ふたりだったが、ユズキがレミリアへ背を向けて眠ったふり・・をしたため、何事もなかったようだった。


「ゆうべはお楽しみでしたね!」

「それが、ユズ君先に寝ちゃって……何もなかったんです……」


 マリンのキラキラした瞳にレミリアが応えると……。


「ええええええ!? そんなぁ、もったいない!」

「男女が同じ部屋に居ながら何もないだなんてありえない」


 (駄目だこのパーティ……早くなんとかしないと……) 


「僕とレミリアは健全な使役主マスター契約者パートナーですから!」

「ユズ君って……純朴なのよねぇ……」


 思わず胸中を吐露するお姉さんレミリア。次の瞬間、ユズキを置いて離れたところへ連れていかれるレミリア。突然の出来事に、目が点となっているユズキ。


「もしかして……レミリアたん、あの子と……まだ・・なの?」

「……ええ……まぁ」

「のほぉーー女の子みたいな可愛らしい容姿で純朴青年……そそるのぉーー!」

「こら駄エロフ、専属メロンの前だぞ」


 どうやらユズキはソウイウコト・・・・・・には疎いらしい。


「レミリアたん、そんな悩殺的な身体してるのに?」

「じつはあの子……産まれ持った特殊技オリジナルスキルのせいで、女性が怖い・・・・・みたいなんです」


 そういうマリンもノゾミ程ではないが猫妖精ならではの悩殺的でしなやかな身体つきをしている。


「でも、この間、レミリアさんの双丘にあの子、埋もれてなかった?」

「あ、それは大丈夫みたい。私の双丘に埋もれると安心するみたいで」


 メロン同士、レミリアとノゾミは理解しあえる部分があるらしい。


「なら、うち等が女性恐怖症克服大作戦を決行するしかない」

「え? ツカサさん?」


 そういうとツカサが一同へ耳打ちをする。


「いいわね、その作戦! 実行しましょう!」

「私はユズ君と一緒ならそれでいいんだけど……」


「そんな事言ってたら、私が寝取っちゃいますよぉー?」

「それは止めてください駄エロフノゾミさん!」


「べつにうちは、貴女達がどうなろうと関係ない」

「そう言いつつ気にしてくれてありがとうございます」


 女子達の間で特別依頼エキストラクエストとは全く別の極秘任務クエストが、同時並行して行われようとしていたのであった――――

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