幕間・世界ふしぎ探検! 熱風街道開通500周年記念SP3
「次はラストミステリーですがここまでの正解数はノムラくんが0、イタニシさんが1、シロヤナギさんが2の全問正解になってますね。ラストミステリーは巨商イサナが建築したホテル・マキアスからです。それでは、ラストミステリー。不思議、探検!」
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「熱風街道の終点は学園都市ですがその学園都市の少し手前の道を曲がると見えてくる建物があります。それがイサナの建てたホテル・マキアスです。あ、見えてきましたよ!わぁ、凄い!クラシックで立派な建物ですね。」
サイクロプスでも悠々と通れる鉄扉を抜けると中庭がありその先に佇む建物こそホテル・マキアスである。
今となっては複数種族が泊まれるホテルは珍しくないが当時多種族と交流が少なかった公国においてホテル・マキアスの設計思想は当時の常識からは考えられない物でありそのシステム性は現在でもマキアス様式と呼ばれ多くの宿泊施設に利用されている。
「中に入って最初に出迎えてくれるのがこの天井の高いエントランスですがここから既にイサナの驚くべき発想が仕込まれています。私たちの様な一般サイズや大型サイズのヒトは入って左手に見える階段を使い上階の受付に向かうのですが巨人サイズの方はこのまままっすぐ進みますと受付が出てきます。こうして受付を分けることで種族間の不便さや万が一の事故を防いでいるのです。」
ホテル・マキアスでは基本的に地上階は巨人サイズ向けでそれ以外のヒト達は上階を使うように設計されている。
それはこうした設備にも反映されている。
「ここはマキアスのステージ付きレストランです。ここも1階は巨人サイズの方向けになっており我々は2階で食事を楽しむ事になります。ですがここで注目してほしいのは正面のステージです。あのステージですが一般的なステージよりも客席との差が高い位置に作られているのがわかりますでしょうか。このように高さを付けることで1階の利用者が見るときでも上階の利用者が見るときでも違和感が少なくなるように設計されているのです。」
もちろん見るだけでなく音の響きや照明などの工夫がもたらされたステージは一時期公国最高のステージと称された時もあり多くの劇団がこのステージに立つことを夢見ていると多くの記録に残されている。なお、プレオープンの際には劇団を呼べなかったので展示場として使ったとあるがその展示されたのがドワーフの最高傑作ともいわれるガンテツ作の【蒼天の月】である。
「さて、このレストランのお楽しみはステージだけではありません。料理そのものも楽しめるように工夫されているのです。では、お願いします!見てください一糸乱れぬ包丁さばき。それからテンポをずらしていって音楽の様になっていってますよ。そして切ったお肉をそのまま鉄板の上に!うわ~いい音、それにいい匂い。見てるだけでお腹が空いてきました。」
今でいうライブクッキングやクッキングショーを行い始めたのもホテル・マキアスである。
貴族文化の最盛期である当時、料理を行う貴族というのは珍しくどのようにして料理が出来上がるか知らない者も多くいた。
そこに目を付けたのがイサナだった。
元々は貴族の子供に料理がどの様にして作られるかを教えると言った考えでプレオープンの際に始めたようだが、その場にいたセーレ14世をはじめとした招待客達が料理人がどのように肉を切り、焼き、完成させると言う当たり前にある物を特別に見せるこの手法に衝撃を受け自らが主宰するパーティーに導入したことで公国で一大ブームが巻き起こる事になる。
これにより料理人の地位の向上や料理の研究が進んだとみる者も非常に多い。
「次に来たのは客室です。ここは普通サイズの客室ですが全室建築当初からほとんど変わっていないとの事です。現代でも通じるぐらいイサナの考えた多種族向けのデザインが優れていたという事ですね。」
特にラミアをターゲットにしたであろう大型サイズ向けの部屋は家具の置き換えも考えられた造りなっており動かすことで公国の周辺にはいないケンタウロスやアラクネといった種族も利用できその汎用性の高さに驚きを隠せない学者も非常に多い。
「天才的な発想をしたイサナが自ら100年は超える物が出ないと言った物があります。それがこのベッドです。一見普通のベッドですがその寝心地は常軌を逸していると伝わっていてセーレ14世に献上されるときはこのベッドの為に新たな寝室を準備しベッドが入った後に奪われないようにベッドより扉が小さくなるように取り付けたと言われていたり、褒美としてこのベッドを買う権利を与えたりと凄まじい評価がされているのです。今回は特別にこのベッドに寝転ぶ許可が出たので寝てみたいと思います。では、お邪魔します。うわ~、凄い。生地が滑らかで掛け布団も暖かいのに凄く軽い。ベッドマットも柔らかすぎず硬すぎず体をつつみこむ、よう、で…」
ミステリーハンター、ベッドに入って1分もたたずに就寝。
嘘の様な出来事であるがこのベッドに関する逸話は非常に多い。
それこそセーレ14世があまりの凄さに王家が許可した相手以外購入を禁じる程であり100年どころか現在にいたるまでこのベッドを超えているものは無いと王室から公式な発表があるほどで他の逸話に関しては取り潰しを受けた名家が家も装飾品も全て献上するからこのベッドだけは許してほしいと懇願したり、子供が出来るまでベッドの使用を禁止する家訓があったり、ベッドを巡ってお家騒動が合ったりとベッドを所持している家には何かしら話が伝わっておりセーレ14世はこのベッドに対して『この世で最も実用的な宝物』と言っている。
なお、イサナは『このベッドに使われている素材を当てたら作成方法を公開する』と言葉を残しており世界中の寝具メーカーが挑んでいるが未だに正解者は出ていない。
「さて、これまでの様にイサナは常識にとらわれない発想を行う天才的な商人というイメージが強いかと思いますが実は彼は非常に敬虔であり異端だったとも伝わっております。その証拠の一つがホテル・マキアスの中には作られている礼拝堂です。ここは常に一般開放されており宿泊客以外も多くの方が訪れています。入ってすぐに出迎えてくれるのが左右のドラゴン像です。これほど多くのドラゴン像が並んでいる礼拝堂は珍しく世界中からこのドラゴン像にお祈り来る人がいます。さらに奥に進むと三つ又になっていて左から巨人族の神マキア様、主神グランフィリア様、ドワーフの神ドゥワーイン様となっています。今となっては普通ですが当時からすればじつは異常でもありました。」
元々、荒野地帯に住む者が公国に来た時に安心して休める場所というコンセプトで建てられた為礼拝堂にドラゴン像とマキア像、ドゥワーイン像があるのは特におかしな事では無いが中央にグランフィリアを祀っているのが物議をかもし出した。
当時、ニンゲンの国々はニンゲンの神であるノエインを讃えるノエライト教が国教であった。ただ、ノエライト教も主に新興派と古典派の2つに分かれていた。
新興派はニンゲン至上主義を掲げ古典派神の一柱に過ぎないと言ったものでノエライト教の総本山であるノエライト聖国は主に新興派であり公国は古典派であった。
そうした情勢下でノエイン像を作らなかった為賛否両論上がったようだがイサナは断固無視。
王室も公国正教も問題無しと決定を言い渡しこの話は決着を見せた。
「この後もイサナは教会や孤児院に寄付をすることがありましたがその中の内訳としてはノエライト教はさほど多くありませんでした。この事に対してイサナは『神職として真面目に働いているが生活に苦しい所を手伝っているだけで祀っている神を基準にしてはいない。』と残しています。信仰を妨げない古典派が主であった公国であってもノエライト教以外は小勢力である為この言葉は間違っていないとされています。」
「そんな時代の移り変わりを見てきたホテル・マキアスですが建築当初の従業員はなんと全員ゴーストや精霊に近い者であると言われています。これに関してはイサナとセーレ14世両方の記録にはっきりと記載されており九十九神と化した屋敷をホテル・マキアスに改築したからとの事ですが、今も従業員たちに交じっているとの事で働いている人たち全員が見たことがあると答えています。他にも後々に住み着いた
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「ホテル・マキアスに伝わる伝統的なお酒は何か。」
「それは今も一般的に飲みますか?」
「そうですね、飲まれていますがあまり一般的では無いかも知れませんね。それでは回答をどうぞ。」
「では、一斉に見ていきましょう。」
『ミード』
『ハチミツ酒』
『ハチミツで作った物』
「シロヤナギさんがミード、イタニシさんとノムラくんがハチミツのお酒。なるほど、イタニシさん自信はありますか。」
「これはねぇ、ハチミツで作ったお酒ってのは知ってたんやけどお酒の種類までこう喉まで来たのに出なかったんや。でも、あってると思います。」
「なるほど、では回答を見ていきましょう。VTRどうぞ。」
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「私は今ホテル・マキアスが所有している赤の森と呼ばれる所に来ています。ここは宿泊客でも特別な許可が無いと来れないエリアだそうです。ここは年中何かしらの花が咲いているらしいのですが我々の目的はこの先の中央にある木です。見えてきましたね。あの赤い葉をつける木がつやつやと光っているのが分かりますか?実はアレはルージュ・ビーといったハチのモンスターのミツなんです。これで作られるのミードがホテル・マキアス伝統的なお酒になります。ですので正解はミードになります。」
ルージュ・ビーは火の魔法を扱う魔虫で単体ではさほど脅威にならないが群れるとハニーベアなどのクマ系の魔獣すら焼き殺すこともある。
そのルージュ・ビーをイサナがどのように
そのルージュ・ビーのミツは赤く透き通っているのが特徴でそのミツで出来たミードも赤く透き通っており飲む宝石と称される程であった。
その中でも年に1本だけ作られる最上級の物は【沈黙の秘宝】と呼ばれ余りの美味しさに黙るしかないと言われている。
テッテッテー♪♪♪
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「シロヤナギさん正解、他ふたりも厳密にはハチミツではないですがおまけで正解です。さて3問終わりまして正解数ははノムラくんが1問イタニシさんが2問そしてシロヤナギさんが全問正解です。シロヤナギさんおめでとうございます。」
「ありがとうございます。」
「流石です。」
「おめでとうございます。」
「それでは、今週はここまでです。また、来週不思議の舞台でお会いしましょう。」
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