建築の合い間に
神界工房の職人たちが来たので工事の入る前に俺たちがどう動くか決めないと行けない。
建築が終わるまで学園都市に釘付けになるからだ。
元々の目的である通商条約を売りつけることは完了したから目的が済んだと言えば済んでいるしな。
「というわけで工事期間をどうするか相談しようと思う。俺とヴィオラとメイちゃんの3人は職人たちの世話があるからここと学園都市を往復する日々になると思うからあまり遠くに行けない。だから各々でやりたい事とかあればそれをして欲しい。もちろん荒野地帯に帰るのもありだ。その時はこっちでいろいろと手を回すよ。まずはリーサから。」
「魔法学院に戻って退学の申請をするツモリダ。その後は集落に戻ろうと思ってイルゾ。集落でいろいろ準備しないと行けないカラナ。」
「ワシは工事の間ここにおるつもりじゃ。ドワーフは基本的に岩盤をくりぬいて家にするから屋敷を建てるところを見たことがないんじゃ。いい機会じゃから見ておこうと思っての。」
「オデ達はこれといって決まってないだぁよ。これから考えるだぁよ。」
リーサは魔法学院で手続きしたら帰還、ガンテツは残留、サイクロプスたちは考え中ってとこか。
「余は…」
「あ、レディアはここでお別れだから。」
「なぜだ!」
「なぜも何もお前の本来の仕事をこれ以上止めれないだろ。」
「グヌヌ…ならば、出来上がったら真っ先に余を泊めるのだぞ!わかったな。」
「わかった、わかった。それは約束してやるから本来の仕事を頑張ってくれ。」
優秀な人材がいるらしいが王様が長期休暇取り過ぎるのも行かんでしょ。
宰相殿とかに怒られたくないよ俺。
「明日は朝から学園都市に行くか。一緒に行く気があるのは朝集合。では解散!」
・・・
・・
・
そして、翌日の朝。
ガンテツ以外のメンバーで学園都市で向かった。
リーサは魔法学院にレディアは宰相の屋敷にサイクロプス組は俺たちと一緒に職人たちの酒や食料などの必要物資の買い付けに動くことになった。
俺のカバンに物を入れたらそんなに人ではいらないけど今回は新馬車の耐荷重テストを兼ねて詰めるだけ積んでオーバー分をサイクロプス達に持ってもらうつもりだ。
そうして馬車にありったけ詰め込んでスチュワート邸に帰る途中ストンズ子爵の街道工事の現場に出くわしたのだがどうも様子がおかしい。
「お困りのようですが何かありましたか?」
「ああ、商人さん。実は敷設予定の場所を掘るとかなり大きな岩が埋まってるようでして迂回ルートにするか頑張って掘り返そうかと決めかねている所なのです。」
見知ったストンズ子爵の家老がいたので声を掛けてみると予定外のことが起きて困ってるようだ。
ほぼ公共工事と言えるのでいくら家老の彼でも一存では決定出来ないのだろう。
「店長さん、そういう事ならオデたちに任せて欲しいだぁよ。岩を扱うのは大得意だぁよ。」
俺たちの話を聞いてサイクロプスの2人が任せろと言わんばかりに胸を叩いた。
せっかくなのでお願いしてみると道具を取ってくると言ってスチュワート邸まで走っていった。
そして、しばらくすると彼らは革袋を担いで帰ってきた。
家老の人にお願いして岩が埋まっているという所に案内してもらうと革袋から片手持ちのスコップを取り出すと岩の周りを掘り始めた。
片手持ちと言えどサイクロプスサイズの片手持ちだ。
見る見る間に掘られて行くが結構岩が大きいようでまだ全貌が出てこない。
そこでやり方を変えるようで袋から
刺し終わると金槌を取り出し楔を叩いていく。
巨大な金槌で楔を叩いていくのだからすっごい音が鳴り響く。
そしてバキンと何かが割れるようなひと際大きな音が鳴った後サイクロプスたちが何かを高々と持ち上げた。
それはさっきまで埋まっていた巨大な岩の欠片でそれに気づいた周囲の作業員たちが多きかな歓声を上げた。
「おお!巨人の力は凄いですね!…その商人さん、もしよければ彼らをお借りできないでしょうか。」
「店長さん、オデ達は問題ないだぁよ。むしろ手伝いたいだぁ。」
「二人がそう言うならいいかな。では、彼らをお願いします。こちらもストンズ子爵に一筆書きますのでそれを持って行ってください。また、彼らに必要であろう物はこちらから改めて持っていきますので宜しくお願いします。」
「ありがとうございます。実はこの街道工事の重要度が増えるという話が出ておりましてどうしようか御当主様ともども悩んでおりましたので助かります。」
あぁそれ俺のせいです、とは口が裂けても言えないなぁ…
何はともあれサイクロプスもやりたいことが見つかったようで良かったと言うべきかな。
さてと、工事が終わるまで頑張りますか。
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