味方の士気は万全に…
神域の庭園でティータイム
言葉にすると凄まじく良く分からないし嘘っぽい状況だが実際に現在進行形で体験中なので嘘ではない。
青と白のバランスが美しい空の下、花が咲き誇り彩り豊かな庭園の純白の東屋の中でグランフィリア様とお茶をするって誰が信じてくれるんだろうか、うちの面々でも信じてくれなさそうだ。
久しぶりに味わう香り豊かな紅茶(多分)と自然な甘みのクッキーっぽい茶菓子を堪能する。
この世界はまだまだ輸入やらなんやらがまだ発達してないから甘味は貴重品なんだよなぁ…
あぁ、久しぶりの糖分が体に満たされていく感覚がある。
「フフ、お口に合ったようで何よりです。このお茶もお菓子もイサナさんの世界の物を参考にしたのですよ。」
「どちらもとても美味しいです。しかし、元の世界を参考にしたという事はこの2つはまだこちら側には無いのですか?」
「残念ながらその通りです。私の世界は神族が地上から離れてからの年月を考えるとイサナさんの世界のような発展はしておりません。それが良いことが悪い事かはわかりませんが技術的な発展をしてきた世界で過ごしたイサナさんには苦労を掛けると思います。」
「いえいえ、お気になさらないでください。むしろこっちの世界の方が好きですよ。」
人は便利な物を手に入れる度に何かを失っていくと言ったのは誰だっただろうか、もしくは誰か特定の人が言ったのではなく人と言う種族全体でそう思える様になったのだろうか…
元の世界の事を思い出すとふとそう思うことがある。
そりゃぁ、こっちの世界は不便だし、治安もよろしくないし、衛生的ではないが皆が精いっぱい生きているのを感じる。
元の世界でただ生きているだけであった俺にはそれが眩しくて、羨ましくて、とても
「さてと、休憩もしましたしそろそろ本題に移りましょうか。先ほどからまだか、まだかと催促が凄いのですよ。」
グランフィリア様がそういって指をチョイチョイと振ると小さな画面が空中に現れた。
余りの衝撃的な光景にむせなかった俺を誰かほめて欲しい、だってファンタジーの世界が一気に
それを呼び出した本人は気にせず空中の画面にタッチを何回か行うと画面が何事もなかったように消えた。
「では呼びますね。少し驚くかと思いますけど怖がることは無いですよ。」
少し驚くってどういう事!って聞き返す暇も無くドシンドシンと何か大きな物が近寄ってくる音がした。
音の方を見てみると確かに人影が見えるが、見えるがデカすぎるな。
50mぐらい先にいるのに5mぐらいの大きさがある。
それが近寄ってくるんだからどんどん大きくなる。
俺の手前5mぐらいで止まったが顔を見るには体を反らなければならない程大きな灰色のボサボサのヒゲと同じ色の目が隠れてしまっているボサボサの髪を持ったの巨人がいた。
「そんなに体をそっちまったら倒れてしまうぞ。」
巨人の大きさばかりに気を取られていた俺の前から声が聞こえたのでそちらに顔を向けるとレンガ色の整えられた長いヒゲと同じ色の髪の毛をもった凄いマッチョな人がいた。
「こうして顔を合わせるのは初めてじゃな。ワシはドゥワーイン、火の神の一柱でありドワーフを創ったものじゃ。となりのデカいのは山の神の一派で巨人の神のマキアじゃ。おい、マキア!ヒトの子が倒れる前にすこし小さくならんか!」
ドゥワーイン様がそういうとマキア様が大きな体を動かし片膝をついた体勢になったので見上げれば顔が分かるぐらいにはなった。
「初めましてドゥワーイン様マキア様ご存知と思いますがオオイリ イサナです。この度はドワーフとサイクロプスの方々にはいつもお世話になっております。」
そういって手を差し出しドゥワーイン様と握手をし、マキア様も手を差し出してくれたがさすがに握手は出来ないので俺の手のひらとマキアの中指が振れた。
「むしろ世話になったのはワシらの子じゃよ。もしあのまま浄化せず放置しておればリザード族が絶え、ドワーフやサイクロプス達も絶えておったかもしれん。それを防いでくれたのじゃからどうしても直接会って礼を言ったかったのじゃ。お主には本当に感謝しておる。」
そう言うとドゥワーイン様とマキア様は俺に対して深々と頭を下げた。
こっちの世界の神様物腰が柔らかすぎないか!
そんな風に神様に頭を下げられるとか逆に俺の心臓に悪いんだけど!!
「そんな頭を下げないで下さい。こちらもノリと勢いと言いますかいろいろ思う所があって結果的にああなっただけで、お二方に頭下げさしたとかバレたらドワーフとサイクロプス達に何を言われるかわからないので!」
「フフ、そうらしいので2人とも頭を上げなさい。」
グランフィリア様がそう言ってくれたので2柱は頭を上げてくれた。
あぁ~まだ心臓がバクバク言ってるわ。
「それで2人ともイサナさんに会いたかった理由はそれだけではないのでしょう?」
「うむ。ヒトの子イサナよ。姉上から報奨を貰っていると思うがワシらからも送らせて欲しい。何か願い事や欲しい物はあるか?ワシらのが叶えれる範疇であれば叶えるぞ。」
急にそう言われてもなかなか思いつかないんだけどなぁ…
欲しい物って言われても新しい馬車は貰ったし工房にお願いしたらあっという間に造って貰えるし貨幣を貰うのも駆け出しとはいえ商人のプライド的にちょっとなぁ…
かといって貰わないってのいうも良くないってグランフィリア様に言われたし何かいいのはあったかなぁ…
むしろ、俺以外に何か与えて貰うか?
ドワーフとサイクロプスの神様だしアイツら何か欲しがってるのとかあったかな…
いや、待てよ別に物でなくていいならいいのが一個あるな…
「では、ドゥワーイン様1つお願いがあります。ガンテツとダンテスの兄弟に神々の工房が実在すると話しても良いでしょうか?彼らには非常に世話になったのでそれに報いたいのです。」
「ほう、自らで無く他者の為にとは素晴らしい心意気じゃな。もちろん話して良いぞ。だが何かしら証拠がある方がいいな。よし、これをその兄弟に渡せばよいだろう。」
上機嫌なドゥワーイン様が渡してくれたのは鉄製の剣と金色に輝くインゴットだった。
鉄の剣は見事な逸品であるという事を除けば普通の剣なのだがもう一個のインゴットがヤバい気がする。
金は金なんだけど光の角度によって赤く見えるしやたらと軽いよコレ…
「奴らの祖父が工房で打った剣とオリハルコンのインゴットじゃ。これがあれば奴らも信じてくれるじゃろう。それでマキアからは何を貰うんじゃ?」
「よりにもよってオリハルコン………あ、そうですね。実は今荒地の面々と人間の国との貿易を結ぼうと考えておりましてその際にサイクロプス達が使える拠点を作る必要があると考えております。出来上がりましたらその拠点にマキア様の祝福といいますか加護といいますか要するにサイクロプス達が安らげるように力を込めて欲しいのですがよろしいでしょうか?」
俺の提案にマキア様は一瞬驚いた様だったが満面の笑みで首を縦に振ってくれた。
オリハルコンを渡しされた衝撃で一瞬頭が飛んでたがそのお陰か突発的に閃いたにしては結果オーライだな。
「2人からの褒美も決まりましたし今日はここまでにしておきましょうか。これ以上イサナさんをこちらに留めておくのも問題ですからね。」
「もうそれほど経っていたか。ヒトの子イサナよ、今日は良き出会いであった。これからも厳しい道のりではあるが応援はしておる。必要とあればすぐに頼るがよい。」
「…元気で暮らせ。」
「では、イサナさんまたお会いしましょう。」
3柱から別れの言葉を貰うと俺の体が光り始めた。
そして、浮遊感と共に俺の意識は薄れていったのだった。
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