儀式の準備
リザード族の集落から少し離れた場所でリザード族、ドワーフ族、サイクロプス族の種族代表数名と俺達、オオイリ商店のメンバーが集まっていた。
集落の方では儀式の為の準備が進んでおり楽しそうな声が時折聞こえてくる。
そんな中俺達はサイクロプス族の代表の大神官のお願いで集まっていた。
「準備で大変な中集まってもらって助かるだぁよ。」
「別にワシらはこれといって準備は無いから問題無いが儀式の準備で忙しいリザード族の代表格を集めるという事はよっぽどの事だと思ったほうがいいんじゃな?」
「んだ。今から話すのは300年前にあった前回の浄化の儀式についてだぁよ。皆も不思議に思ってるはずだぁよ、リザード族の儀式にドワーフ族もサイクロプス族も集まるってことがぁ。恐らくリザード族もドワーフ族も知ってるのはいないから始まる前に説明をして起きたかっただぁ。」
その言葉に大神官以外の皆が驚いた。
何せリザード族とドワーフ族の両方のトップがよく知らない浄化の儀式について知ってるのが居たのだから。
「結論から先に話すと300年前の儀式は大失敗だっただぁよ。リザード族に多くの犠牲が出ちまっただぁ。それを防ぐためにはサイクロプス族とドワーフ族の力が必要なんだぁよ。」
「多くの犠牲が出たって言ったがいったいどれぐらいの犠牲がでたのか分かるかい?」
「…後から聞いた話だと参加したリザード族の7割は犠牲になったらしいだぁ。」
ババ様の質問に大神官が答えるがその答えは衝撃的だった。
当時どれほど参加したが分からないが7割は多すぎる大惨事なんて話じゃない。
「後から聞いたってまさかオメェはその時に参加してたって言うのか?」
「んだ。当時の儀式も今回みたいに大分時間が空いてたから詳細は伝わって無かっただぁよ。一応ドワーフ族とサイクロプス族はいただぁ。でも今回みたいに一族全員ではなくて2,3人だっただぁ。おでも当時の大神官の付き人として参加しただぁよ。」
「そういえばサイクロプス族は500年ぐらいは生きるんだったか。エルフ程じゃねぇが長寿だよなぁ。」
「んだぁ。神様がこの世にいた時はもっと長生きだったって話しだぁよ。長く生きるのもいろいろ大変だけど今日は長く生きてて良かっただぁよ。前回と同じ惨劇を起こさせるわけにはいかないだぁ。」
「そうだね。正直に言うと浄化の儀式をどこか甘くみてたよ。長年行われてこなかったししなくても何も無かったしね。儀式の詳細もほとんど伝わっちゃいないからその程度の儀式なんだってね。でもそうじゃないんだね、伝わっちゃいないじゃなくて伝えられなかったんだろうね。当時の連中がそんな惨劇を引き起こす儀式を伝えなかったのか惨劇の混乱で伝わらなかったのか分からないけどね。サイクロプスの大神官さん悪いが儀式について知ってる事を全部教えてくれないかい?いった通り当事者であるリザード族にはもうね殆ど伝わっちゃいないのさ。」
寂しそうな、苦しそうな声でババ様が大神官に話しかけた。
それを受けた大神官は静かに肯くと話始めた。
「まず、前提としておでの知識もどこまで正しいか分からないってことは承諾して欲しいだぁ。なにせ浄化の儀式について詳しく調べ始めたのが儀式が終わってからなんだぁよ。とりあえず分かったのはリザード族の『塩の祠』には
俺の【目利き】による報告とは少し違うのは仕方ないのだろう。
自分たちが食べてる塩に怨念が溜まってるなんて伝えづらいし祓ってしまえば一緒だろうしな。
「経緯はそれでいいがどうして俺達ドワーフやサイクロプスが必要なんだ?その辺がいまいち分からねぇんだが。」
「それは怨念の性質のせいだぁよ。怨念はリザード族は殺すけど他種族は殺さないだぁ。だから怨念に襲われてるリザード族をドワーフやサイクロプスで助けてやる必要があるだぁよ。」
「そいつは厄介な怨念だな。ところでちょっと聞きてぇんだけどよぉ。怨念ってそんなに選り好み出来るようなもんなんかい?ワシはそういった系統の知識が疎くてよく知らねぇんだよ。」
「それはきっと呪いの指向性の性質故だろうね。怨念も呪いも性質はほぼ同じだ。怨念もしくは呪いというのは制限があればあるほど強力になっていく。今回の場合はリザード族だけという制限があるからかなり強力な怨念になっているのだろうさ。それでも呪殺するにはそれなりに時間はかかるはずだ。その時に制限外の存在、今回ならドワーフやサイクロプスが邪魔をすればリザード族を助けれるはずだよ。」
俺とガンテツは成程といった表情でヴィオラの説明を聞いていた。
しかし、呪殺するほど強力な呪いを察知しそれに抵抗する為の他種族との協定とか誰が決めたのだろうか。
「とりあえずワシらがすることが何かはこれで分かったな。リザード族を怨念から守る!これ以上無いってぐらいわかりやすくて助かるぜ。」
「んだぁ。前回は力及ばずだったけど今回は全力だぁ。今度は絶対守り切って見せるだぁよ。」
気合みなぎるガンテツと大神官にババ様がお礼を言ってこの場は解散となったが俺達オオイリ商店のメンバーはその場に残っていた。
「さてと、今回の話をまとめると怨念は俺達には手が出せないらしい。なので儀式が始まったらヴィオラとメイちゃんにはリザード族を守るように動いて欲しい。」
「それはいいけど主は何をするつもりなのかな?出来ればリザード族達と一緒にいてくれた方が守りやすいのだけどね。」
「俺か?俺はセキトと一緒に怨念の大本を断って来るよ。」
「それはメイ達と別行動をするおつもりですか!?いくら何でも危なすぎますよ。」
「俺とセキトは大丈夫だよ。
「…それは何かしら確証があっての事だよね。確証が無いのなら縛ってでもボク達の近くに置くよ?」
「前にグランフィリア様が言ってたんだ
「………解った。非常に不本意だけどグランフィリア様が言ったのなら本当の事なんだろうね。でも、危なくなったら直ぐにボク達の所に戻って来るんだよ。」
「主様、必ず無事に帰ってきてください。たとえ失敗しても構いせん。メイは主様の無事を見るのが一番です。」
「ヴィオラ、メイちゃん…大丈夫だよ。俺だってやる時はやるから大丈夫だ。それにここで力尽きるにはいかない理由もあるしな。」
「「理由?」」
「詳しくはまだ秘密だけどこの騒動が終わったらやりたいことが大量にあるのさ。フッフッフ…」
リザード族の商品の開発もしたいし何ならドワーフやサイクロプスにも発注をかけるも有りだな。
ストンズ子爵とカービン子爵に声をかけて少しずつ販路を広げて、いっそロダンさんに声をかけて共同販売って手も…
フヒヒ…夢は広がるぜ
「また主の悪い笑い方だよ…こうなるとしばらくは帰ってこないんだよねぇ。」
「ですねぇ…でも、メイ達には考えもしないようなことを考えてる証拠ですよ。次は何をするんでしょうかね。」
「そうだね。少なくとも主について行ってからは退屈することは無くなったね。きっとまた楽しめてくれるよ。」
さぁて、待ってろよ浄化の儀式絶対無事に乗り切ってやるからな!!!
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