祠の中
宴会の次の日の朝、俺とヴィオラとメイちゃんの3人はリザード族の集落に向かって行った。
セキトは一度通った道は絶対忘れないとのことで迷うことなくしかもその比類なき能力を活用してくれたことでリザード族の集落には昼前ぐらいにつくことが出来た。
「ゴシュジン、いい所に帰って来たな!塩の祠の中に入っていたガレキをどかしわおわったンダ。今から祠の中を確認しに行くところだから一緒に入らナイカ?」
セキトの全力に俺と馬車が持たないとグロッキーになってたところにリーサとネフェルが寄って来た。
俺も気分転換をしたかったのでその誘いに乗ることにした。
ヴィオラとメイちゃんに声をかけリーサとネフェルの後ろについてリザード族の集落を進んでいく。
俺が初めて来たときはリザード族とラミア族しかいなかったが今はチラホラとサイクロプス族とドワーフ族がリザード族やラミア族と楽しそうに談笑しているのが見れた。
「不思議な光景ですね。この集落で生まれ十数年暮らしていましたがリザード族とラミア族しか見てこなかったのにいまはサイクロプスとドワーフの人たちがこの集落を歩いています、それも我々を助けるために。本当に不思議な事ですが悪い気持ちは起こりませんね。」
俺が種族を越えて話してるの見てたときに呟くようにネフェルが言った。
それを聞いていたリーサも少し驚いた表情を浮かべたものの直ぐに満足そうな笑顔を浮かべ前を進んでいった。
祠に近づくにつれ白い塊を持って歩く人たちとすれ違って行く。
恐らくあの白いのがここで採れた塩なのだろうがそれを見るたびにモヤモヤとした嫌な気持ちが俺の胸に沸いて行く。
初めて感じたのは確か大ジジ様に塩を食べさせようとしてここで採れた塩を見たときか。
あの時は俺が用意した塩じゃないので嫉妬か何かかと思ったが何か違う気がする。
それに祠に近づくにつれだんだんと頭痛がするようになり何よりも聞き慣れたはずの声が理解できない事を告げている。
「祠には着いたガ…ゴシュジン、ずっと下を向いてるが疲れたノカ?」
「ああ、悪いちょっと考え事をしててな…!」
リーサの言葉にハッとして顔を上げると確かに塩の祠についたようだが明らかに異常な状態だった。
「大丈夫でしたら行きましょうか。それにこの中は涼しいので外にいるよりは楽になるでしょう。」
ネフェルがそう言うとリーサも同意して中に入って行く。
どう見ても異常なのにさも当然のように進んでいった。
「ヴィオラ!この祠明らかにおかしくないか!?」
「おかしい?ボクには変なところは見えないよ。ただの薄暗い洞窟だよ。主…もしかして怖いのかい?まぁ、暗いから分からなくはないけどこう見えてボクは元・冒険者だよ。この程度ならまだ明るいぐらいだから大丈夫さ。それにボクもメイもリーサもいる。何かあっても問題は無いよ。」
ヴィオラはそう言うと軽く俺の肩を叩いた後に祠の中に入って行った。
俺は意を決してメイちゃんと一緒に祠の中に入って行った、赤く怪しげに光る
・・・
・・
・
「主様、本当に大丈夫ですか?顔色がよろしくありませんが…」
祠の中を進んで進むにつれて俺の頭痛は酷くなりとうとう歩くのすら
「主、やっぱり戻ったほうがいいんじゃないかい?」
「ダメだ!ここまで来た以上原因を確認しないと。」
頭の中で元の世界の警報音が何種類と鳴り響こうが体中から嫌な汗が出てこようがこの原因を見つけない限り俺に帰るという選択肢は無かった。
「ゴシュジン!ここが塩の祠の一番下ダ。見たらすぐに帰るぞ!」
慌ててるリーサの指さした先には恐竜の骨の様なものが積み上げられていた。
だが、一つ決定的に違う所があるとすればその背の部分に翼がついている所だろう。
そして、これこそが俺が探していたものでありこの集落に住む者たちが守り使い続けてきたものだった。
「ああ、クソ…やっぱりコイツだよな。コレはダメだ…この塩は…使っちゃ……ダメだ………」
「主?主!?主!!」
意識を失っていく中で皆が俺を呼ぶ声が聞こえているような気がするが今の俺にはあらゆる種類の警報音と警告しか聞こえていなかった。
警告!!警告!!重度の呪術汚染物質を確認 重度の呪術汚染物質を確認 対象・ドラゴン及び眷族であるリザード族 対象・ドラゴン及び眷族であるリザード族
呪術式の解析により
要請の返答無し
重度の呪術汚染物質を確認 重度の呪術汚染物質を確認 対象・ドラゴン及び眷族であるリザード族…
・
・・
・・・
だんだんと浮かんでくる意識と額に乗る冷たい何かを感じた。
目を開けると塩の祠に一緒に行った4人が俺の周りにいた。
「主!体調が悪いならどうして言わなかった!倒れるぐらい「ヴィオラ悪いがその話はあとで聞いてやる。リーサ、塩の祠で採れて塩の塊があれば持ってきてくれ。」
ヴィオラの説教を遮りリーサが持って来た塩に【目利き】をかけた。
【呪われた龍屍塩】
・ドラゴンが死ぬ際にその身を塩に変えて生まれた塩
・非常に美味であり高い魔力を秘めているが現在は呪われておりかなり粗雑な味となっている
・呪術対象 ドラゴン及び眷族であるリザード族 呪いは血に残り蓄積すれば種族単位の絶滅もありうる
「…ちょっと大ジジ様の所に行ってくる。」
急なことで周りが驚いていたが気にせずに大ジジ様の部屋に向かった。
大ジジ様は初めてあった時と変わらずクッションの様な物に埋もれるようにしていた。
「大ジジ様、あなたはこの塩がどういう物か知ってますね?それこどうすればいいかも知ってるじゃないですか!?」
「ゴシュジン、落ち着け!大ジジ様はもう何年も起きないンダ!」
大ジジ様に詰め寄っているとリーサに後ろから抱き着かれ大ジジ様から引き剥がされた。
「大ジジ様に乱暴なことするなんてゴシュジンらしくもないゾ。塩の祠の時から様子が変ダゾ!」
リーサの言葉も最もだが正直に話していいか悩んでいると大ジジ様の目が薄っすらと開いた。
「御使イ…浄化ノ儀式ヲ……リザード族ヲ…頼ム…」
それだけ言うとまた大ジジ様は眠ってしまいリーサが頑張って起こそうとしたが一切反応しなかった。
「ところでリーサ、浄化の儀式ってなんだ?」
「浄化の儀式については実はよく知らないンダ…巫女の役目なのは確かだが儀式に使う式服が無くなってからずっとしてないかラナ。詳しくはババ様に聞くのが早いと思うゾ。」
善は急げということで早速ババ様に浄化の儀式について聞きに行った。
大ジジ様の部屋で暴れたのでちょっと怒られたが直ぐに答えてくれ。
「浄化の儀式ってのは巫女が塩の祠の前で行う儀式の事でね。塩の祠の穢れを払うためにやってたんだよ。あそこはなんだかんだで洞窟だから魔力が濁ると言われていたからね。ただ、この20年ぐらいはしてないけど何も起こっちゃないけどね。」
「式服が無くなったからやらなくなったって聞きましたがホントにそれが原因なのですか?」
「そこは半分正解半分外れってとこだねぇ。大事なのはその服を着て火の山に向かって試練を受ける事なのさ。その試練を受かることで巫女は穢れを落として儀式を行えるのさ。ただ、この試練を無事に終えたものが非常に少なくてね。アタシがリーサぐらいの時にはもう炎の試練を行わずに儀式だけをしてたね。」
「もし、その無くなった式服を復活させることが出来れば浄化の儀式はできますか?」
「そりゃぁ、式服さえあれば出来るけどあれはどうやって作るかすら分からないんだよ?そう簡単に用意できるとは思えないねぇ。」
「普通はそうでしょうがオオイリ商店は少し特殊ですので何とか用意して見せましょう。その時は必ず正規の方法の浄化の儀式をお願いします。」
「まぁそこまで準備されちゃこっちも動かざるを得ないね。それに大ジジ様が言いだしたことだからねその辺は任せなさい。」
ババ様と話し合いを終えた後、俺はリーサと部屋に戻っていた。
「ゴシュジンはどうやって式服を手に入れるンダ?それにどうしてそんなに必死になって浄化の儀式を行おうとしてるンダ?」
「手に入れる方法は賭けでしかない。俺が唯一賭けれる場所であり絶対の自信が場所だそこがダメなら…お手上げだな。それで浄化の儀式に拘ってる理由は明日の移動中にも話すよ。」
「移動?ドコに向かうンダ?」
「それは神がいる砦、ガンドラダ要塞だよ。」
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