おっ買い物、おっ買い物♪

メイド長から代金を受け取った俺はガンドラダに頼まれたことのためにみんなと一緒に町のはずれにやってきた。

そこは大きな池がありそこには多数の丸太がプカプカと浮かんでいたりその辺に山積みにされていた。

そう、俺は今この領地の特産品である木材を仕入れるために木材所に来ていた。

ガンドラダから頼まれたことは木材を仕入れて欲しいとのことだった。

なんでも、久しぶりに現世産の素材を使いたくなったと多くの職人が言い出したらしく俺に頼み込んだというわけだ。


「どうぞ、好きな木材をお選びください。どれもこれも魔力を含んでいる上質なものですので。」


木材所を案内してくれてる人がそう言った。

【目利き】で調べていると確かに魔力がこもった木材と出る。

出るが、こもっている魔力の量は結構バラバラだった。


「主、どういった物を仕入れるんだい?」

「そうだなぁ~職人が欲しがってのがどういうのか正直分からないから手当たり次第に買っていこうと思う。」


正直、これで鏡台の売り上げは全部なくなるが普段から世話になっている分、喜んで仕入れるとしよう。

俺は手当たり次第に木材を買い取ると木材所を後にして町のほうに戻っていった。


・・・

・・


町に着くとリーサとネフェルと一緒にメインストリートに繰り出した。


「さて、ここで買い物をする前にお前たちに渡しておかないといけないものがある。」


俺はかなり重い革袋を取り出すとリーサに手渡した。

受け取ったリーサは中身がわかっていないのか不思議そうにそれを見ていた。


「それにはリーサと俺の契約金が入っている。額にして1金。それを使って復興用の物品を買い揃えるのも良いし、部族のこれからのために置いておくのもいい、使い方はお前に任せる。とりあえず、俺が用意してやる金はそれだけだからよく考えて使うといい。」


1金と聞いて驚きの表情を出す二人だが俺からすれば人を1人買うのに100万ぐらいっておもうとかなり安い気がするんだがな。


「ゴシュジン!いくら何でも貰い過ぎではナイカ!?さすがに高すぎるゾ!」


「もうそれで契約してるので反論は何も聞かんぞ。とりあえず、お前はそれを黙って受け取るしかないんだよ。じゃぁ、街をめぐるぞ。」


俺はこれ以上の反論を言わせないようにピシャリと言い聞かせて町を散策し始めた。

落ち着いてこの世界を見るのってかなり久々だからテンションあがるなぁ~


・・・

・・


「ふむ、いい毛皮だな。もちゃんとしてあるからすぐに使えるな。300銅でどうだ?」

「おお!分かったそれで買い取ってくれ。」

「次は俺だ!このイスはどうだ?いくらで買い取ってもらえる?」

「作りも甘いし魔力も少ないから10銅なら買い取ってやるぞ。」

「なんでだよ!もっと高いはずだろ!!」

「うるせー!買い取って欲しかったらもっと腕を磨け!もっといい素材を使え!次だ次!」


「リーサ?コレは一体どういったの騒ぎだい?」

「アア、ヴィオラか。まぁ察しの通りまたゴシュジンがやらかシテナ。」

「リーサ!馬車から塩の樽を持ってきてくれ!!岩塩じゃなくて白い方な!」

「ワカッタ!すぐに持ってクル!スマナイ、ヴィオラ詳しい話はネフェルに聞いてくれ。」


そういうとリーサは急いで馬車に向かって走っていった。

ボクの近くやってきたネフェルは呆れた表情で話し始めた。


「私や巫女様たち3人で露店を巡っていた時のことでした。はじめは大人しく見ていたのですが中に魔獣素材の露店がありましてそこに立ち止まってまじまじと品物を確認したと思うと露店に提示されていた倍の金額でその露店を買い占めたのです。それを見ていた周りの人がうちも買い取ってほしいと群がりまして気づけば町の人々が売りたいものをもって来る大騒ぎになったということです。」


なるほど…やっぱり主が原因…

ボクは呆れながら主を見るとそこには普段とは全く違う鬼気迫る雰囲気でしっかりと品物の目利きを行っている姿があった。

そういえば主が商品を仕入れる所は初めて見るな…

その様子を静かに見守っていると急に空気が変わった、原因はどうやら今持ち込まれた剣のようだ。


・・・

・・


ワイワイガヤガヤと俺の周りにはたくさんの人がいろんなものを物を持ち寄って集まっていた。

なんで、こんなことになったんだっけと思いながら持ち込まれた品物を【目利き】で鑑定して塩や品物、硬貨などで買い取っていく。


「お、ここだな。噂の鑑定屋は。」


「気づけばそう言われてたよ。それで塩屋さんは何を売ってくれるんで?」


「いや、買い取って欲しい訳ではないんだ。ちょっと見て欲しいものがあってな。我が家に代々伝わる剣なんだ。」


そう言って俺の前に持ってきたのは飾りっ気のない黒ずんだ幅広のブロードソードだった。

こいつは今まで持ってこられた品とは別格だな。


「それでコイツの何を知りたいんだ?詳しく聞かせてくれ。」


今まではすぐに値段を提示して売るか売らないか聞いてきた俺が違う対応をしたことに周りの観衆がざわつく。

全くこいつらはいい気なもんだな。


「これがどういった剣なのかを知りたいんだ。3代に渡って使ってきて今まで刃こぼれ一つない業物だから気になってたんだ。」


塩屋の言葉を聞いて改めて【目利き】発動させて詳細を見る。


【ドワーフ製ブロードソード】

・ドワーフの名工が作り出した名品のブロードソード。

・材質はドワーフ鋼

・ドワーフ鋼は通常の鋼よりも重く硬くなり冷えると黒ずんだ色になるのが特徴である

・販売価格は700銀相当


「…こいつはドワーフが作り出した名剣中の名剣だ。黒ずんでいるのはドワーフ鋼で作られているからだな。もし、俺に売ってくれるなら300銀で買い取って俺は700銀で売り払うほどの価値だな。」


700銀、そう聞いた瞬間まわりのオーディエンスが湧いた。

せっかくだから、いい仕事してますねぇ~って言えばよかったな。


「さすがに家宝の剣を売り払うほど生活に困って無いさ。しかし、ドワーフ製とは思ってもなかったな。こいつの正体がわかったからますます塩を集めに行けるよ。」


「それは良かった。俺も名品が見れたし今日は此処までだ。ほら、解散だ、解散。」


俺は周りの観衆に解散を告げて買い取ったものを馬車に詰めていく。

結局落ち着いて町を見回すことができなかったな…

もっと俺にファンタジー世界を味合わせてくれよぉ~

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