夢の世界へご招待
誰かに頭を撫でられているような気がする。
…あれ、俺は何をしてたんだっけ?
たしか皆とロッソ邸に行ってそれから…それから確かパーティーに参加したんだった。
パーティー、何のだったかな…確か別れの…
「ヤバい!パーティーの途中で寝落ちしたのか!!」
バッと跳ね起きようとしたところをやんわりとした手つきで防がれてしまった。
寝起きで目のピントがずれていたのだがそれがあってくると何故かフィリア様がを俺を見下ろしていた。
見下ろすにしても変な状態だったやけに体に近いし見えてるのが上半身から上だけだし、普通見下ろすって足元も見えるはずじゃ…まさか!
状態を理解し体を起こそうとしたのだがフィリア様の手が俺の額にそっと置かれたので俺はしぶしぶ寝転がった状態のままでいることになった。
「あの~フィリア様、流石に目覚めたので起きたいんですが。」
「まぁまぁ、もう少しこのままでいいじゃないですか。実は膝枕をするのって憧れていたのですよ。数多くの妹や弟はいますけど全く甘えてはくれませんしかと言って誰かにして上げましょうかといってもみんな青い顔して断るのですもの。もうしばらく堪能させてくださいな。」
「まぁ、その、フィリア様が良いのなら構いませんが。」
フィリア様に膝枕をされてると実感すると頭にある柔らかい感触が凄く気になるし、視界にはフィリア様の豊満な女性の象徴が目に入ってドキドキする。
だって、仕方ないでしょこの躰思春期まっさかりの健康すぎる男子の体なんだから。
フィリア様の格好も布を体に巻いたトーガっぽい服装なんだからそれが余計にドキドキを加速させるんだからぁぁぁ。
「そういえばフィリア様。どうしてまた俺を呼んだんですか?何か問題でも?」
少しでも落ち着くために気になってたことを聞くとフィリア様は思い出したように手を叩くとニコニコと話し始めた。
「そうです、そうです、つい膝枕に夢中になって本題を忘れていました。イサナさんはこれから荒地地帯にいくのでしょう?あそこは多くの神の手が届かぬ土地の一つなのです。ですので何があっても対応できる力を贈ろうと思ましたのでこちらに呼んだのです。」
「おお~、ということは俺もついに魔法デビューを!!」
「イサナさん。残念ながら異世界から来たあなたに直接贈れるものはありません。今回はイサナさんの可愛いお供のお二人への贈り物ですよ。といっても
それが
「あれ、でも俺も
「ええ、安心してください。
おお~!俺って自分が思っている以上にチートだったのか!
「まぁ、単純に異世界の神々の加護が強すぎて我々の加護を与えられないという理由もあるんですけどね。そのせいか、イサナさんは魔法を使えませんし。」
ん?今聞き捨てならないことが聞こえたような…
「あの~、フィリア様?今、魔法が使えないって聞こえたような気がするんですか?」
「その通りですよ。イサナさんは魔法が使えません。異世界の神々がイサナさんを戦場に行かせたくないからそのような加護を付けたと聞いております。魔法を使える方は戦場に連れ出されることが多いですからね。あ、ちなみにマジックアイテムは使えるので安心してくださいね。」
そんな…
せっかく剣と魔法のはびこるファンタジー世界に来たのに魔法が使えないなんて。
「神様の馬鹿ヤロウ~~~!!!」
近くにフィリア様がいたが気にも留めず心から叫んだのだった。
・・・
・・
・
「お恥ずかしい所をおみせしました。」
「いえいえ、お気になさらず。少し長話をしてしまいましたがそろそろ移動しましょうか。工房の皆も待ちわびてるでしょうしね。」
「そういえば、ヴィオラとメイちゃん用の武器を用意してるって話でしたね。」
「そうです、そうです。それではいきますよ~」
フィリア様がかわいらしくパチンと手を叩くと今まで真っ白だった部屋(?)から一瞬で一度訪れた事のある書斎風の部屋に様変わりした。
俺の目の前には前回と同じように単眼、髭モジャ、超マッチョのガンドラダがいたのだが若干疲れているように見える。
「おぉ、やっと来てくれたか救世主。日々ワシらの為に働いてくれてすまんのぅ。本当はワシら総出で歓迎をしたい所じゃが今回は時間が無くて出来ずにすまんのぅ。」
「気にしませんので大丈夫です。それより二人の為の武器を用意してくれてるとか。」
「そうじゃった、そうじゃった。皆首を長くして待っておるじゃろうから早速行くかの。」
そう言われてガンドラダについて行くことになったのだが、ガンドラダ…メッチャデカいんですけど!
今まで座ってたから気付かなかったけど立ったら3mぐらいはあるんじゃないか。
そんなガンドラダの後ろをついて部屋を出ると驚きの光景が広がっていた。
とてつもなく広い大部屋を衝立でわけておりそこには大きな石や木が置かれていた。
そして、あらゆる種族が道具片手に一心不乱に作業をしていた。
「ここは石工や木工の職人があつまっとる所でな。有名、無名問わず死んでもなお物を作りたいと思っておる職人たちが思うがままに腕を振るっておるんじゃ。作業の種類ごとに分かれていてな。隣に行けば鍛冶職人があつまっとるしその隣は彫金、その先は製薬といった具合にな。また、時間がある時に案内してやろうな。」
俺はキョロキョロと辺りを見回しながら作業場の通路を歩いていく。
石で出来た見事なドラゴンや木で出来たライオンっぽいモンスターのような巨大な物から小物入れの様な小さな箱でありながらも見事な装飾が施されている物などどのような物でも一つ一つ職人が気合を入れながら作っている中を進んでいく。
時たま俺を見かけると嬉しそうに手を振ってくれている職人たちもいた。
「お主が行商としてワシらが作った物を売り歩いてくれているを知らぬ職人はおらぬ。たとえば、今手を振ったエルフの職人じゃがあれが前ビッグベアーの彫像を作った職人じゃ。受け取った人間が彫像を見て嬉しそうにしているのを知ってからますます気合が入ってなアレを超える作品を作ろうとしとるんじゃ。ここにいる皆は何かを作りたいから作っとる連中ばかりだが自分の作ったもので喜ばれるのは、やはり嬉しいもんじゃ。じゃから、これからもバンバン売りさばいてくれ。」
俺が何気なく売っていた品物も目線が変われば捉え方も変わるみたいだ。
やっぱり、この仕事は止められないな……
「さて、話しておる間についたぞ。とりあえず入ってくれ。」
案内された部屋は職人たちの休憩室のようで多くの机やイスが置かれていた。
その部屋の真ん中あたりに多くのエルフや鬼の職人が何かを取り囲むように集まっていた。
「待たせたな皆の衆。ちょいと工房を通って来てから遅くなってもうたわ。とりあえずその子らから離れんか。囲んだら怯えるじゃろう。」
ガンドラダの言葉に簡単に返答をした職人たちが離れていくとそこにいたのは見知った二人だった。
「ヴィオラにメイちゃん。なんでここにいるの!?」
そこにいたのはガチガチに緊張して固まったヴィオラとメイちゃんだった。
ホントになんで、どうやってきたんだ?
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