到着!学園都市

道中なんやかんやとあったがやっと遠くのほうに学園都市の門が見えてきた。


ちなみに、今は馬車の御者台に座っている。


何故こうなったのかと言うとヴィオラ達が入っていた馬車を引っ張っていた馬が山賊に殺されていたのでセキトに曳いてもらっているからだ。

俺としてはセキトみたいに由緒正しい馬に曳いてもらうのはどうかと思ったのだがセキト本人(本馬?)からの提案なので曳いて貰っている。

 

セキト自身は昔の主人の身内を乗せた時のことを思い出すと言って楽しそうにしていたが聞いた俺のほうは混乱と驚きでいっぱいになったのであえてスルーすることにした。

もう違う世界だしね、深く聞いてもいいことないしね、アーアーキコエナイー。


「主、さっきから変だよ?折角僕たちのご主人様になるんだからしっかりしてくれよ。」


俺の慌てる様子を見て御者としてセキトに指示してるヴィオラが呆れながら言ってきた。

ひどくね?まだあって数時間しかたってないのにこの遠慮のなさと言うか容赦のなさと言うか、いやあんまり持ち上げられても辛いからいいけどさ。

ちなみに、メイちゃんは今俺の膝の上に乗って寝ていて馬車の中には襲ってきた賊が転がされている。(中に入っていた商品はスーパーバッグの中に収納済みである。)


「イサナさんもうすぐ学園都市につきますよ。ほかの人とは違う門で入るのでついてきてくださいね。」


分かりましたとマルチナさんに返事をし学園都市のほうを見ると人やら馬車やらの行列が見えたが俺たちはそれを横目に正門から少し離れた貴族門と呼ばれるほうに向かっている。

なんとマルチナさんとブリッサさんは貴族だったのである、よく考えたら騎士学校に行ってる時点で気づきそうなのだが今まで全く気付かなかった自分が恥ずかしい。


2人ともちゃんと家名があるらしいのだが騎士学校に所属している間は皆同じ騎士見習いという事で家名を出さないようにしているらしい。

なるほどと聞いて感心しているとヴィオラから冷めた目で見られたのだが気づかなかったことにした、てか俺ホントにご主人様なんだよね?上司だって信じていいよね?


「そこの馬車一同止まれ!騎士学校の生徒がどうしてこちら側に来たんだ?在学中は貴族門の使用は禁止されているのは知っているだろ」


門に近づくと大きな声で止まるように言われたので大人しく止まるとマルチナさんが説明に行ってきますねと駆けて行った。

しばらくすると兵士らしき人を数人連れて帰ってきて馬車の後ろに回っていたので俺も後ろに回ることにした。

マルチナさんとブリッサさんがどうやら兵士の人たちに状況を説明しているようだったので、俺は邪魔にならないように後ろにいたら鉄格子のカギを渡すように言われ大人しく渡した。


兵士の人たちは1人を残し馬車から賊を次々と連行していった。


「賊捕縛の協力感謝します。状況については説明を受けましたので特別に貴族門から入ってください。入門税も特別に免除しますので門の衛兵のところで申請して入ってください。」


兵士さんに言われるがままに門の方に向かい入場の申請する、といっても自分と同行者の名前と入門理由だけなのでサラサラ~と書いて渡すと呆気なく許可が下りたので大人しく入った。


「へぇ~主。ちゃんとこの国の文字書けるんだね。あまりにも田舎者丸出しだったから書けないと思ったよ。」


「失敬な、これでも行商人ですよ。読み書きそろばんなんでもござれだ。」


と、言ってみたがヴィオラに指摘されてから気づいた、俺文字書けるんだな、流石神様のご加護、いつもありがとうございます。


「では、イサナさん我々は此処までです。短い間でしたがお世話になりました。道中美味しいご飯を食べれると思いませんでしたのでホントに助かりました。この街で商売を始めるなら是非騎士学校の方に来てください、何か買わせてもらいますよ。もちろん予算の範囲でってなりますけどね。」


「ホントにイサナさんありがとうね。もし学校に来るならセキトと一緒に来てね。グラウンド開けてもらうからさ。じゃ、またね~」


俺も2人に感謝を伝え別れを告げる。

2人には世話になったから良い物があったら格安で売ってやろうと誓った。


「さてと、とりあえず町の中心に向かおうか。ここからがスタートなんだからヴィオラ、メイちゃんこれから頼むぞ。」


「ふふ、任せてよ主。こうみえても僕は万能だからね。僕の活躍を見てびっくりさせてあげるよ。」


「はい、主様。メイも精一杯頑張りますのでよろしくお願いします。」


そう、ここからスタートなのだ。


神様に貰った2度目の命と託されたお願い精一杯叶えましょう。

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