神様の説明

異世界に渡ると神様に宣言したので神様からあちらの世界についての説明を受けることになった。


「ほな、早速説明していくで向こうの世界は簡単に言うと剣と魔法の世界や。兄ちゃんは本物の術とか見たことないやろ?初めて見たらそりゃぁ驚くで」

「せやなぁ、昔は術師がおったが最近はめっきりやしな。まぁその分科学っちゅうもんが発達したからなドッコイドッコイやな。」


むしろこちらの世界にちゃんと術があったことが驚きなんだが今回は関係ないことだからあえて聞かずにしておく。


「ところで神様方、その…俺は商人じゃないんですけど大丈夫ですか?その、危ない人に神剣とか売ったらどうしようとか思うんですが…」


「ああ、その辺は大丈夫やで。なにせ商品のほうが持ってもらいたい相手を教えてくれるからな。それ通りに売りつければ問題はないやろ。」

「せやで、それに商品全部が全部。中には死後、技巧の神様に弟子入りした職人の商品とかあるしな。これはたしかに逸品やけどな世界壊すようなやつやない。もし渡した商品で世界がひっくり返ろうともあんちゃんには責任取らさへんって向こうの神様と話しつけてるから大丈夫や。ガンガン売ったって。」


「ああ、それなら安全ですね…?ほかにも注意することとかありますか?」


「それな、売り物なんやけどこっちが用意してるやつ以外に向こうの商品も売ってほしいんや。ダミー商品って側面もあるけど正直兄ちゃんだけ儲かっても困るしな。」

「せやで、可能なら商売っていう概念をある程度確立して欲しいって言っとったからな。「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」の【三方良し】の精神を向こうの連中に叩き込んできたってくれ。」


なるほど…確かに俺はすごい商品を売るんだから儲かるだろうが俺だけ金を持っても経済は回らないしな。仕入れとかは向こうで頑張らないとな。


「それでな、向こうに行く際に気を付けることやねんけどまずは貨幣の違いやな。まずは向こうは硬貨が使われとるその内容やねんけどな。

【小銅貨、銅貨、大銅貨、小銀貨、銀貨、大銀貨、小金貨、金貨、大金貨】

 が基本らしいわ。10進法で考えたらいいからそんなに難しくはないと思うで。」

「相場とかは地域によって違うからなそこは自分で調べて欲しいんや。一応準備金として大銀貨まで100枚ずつ用意してるからな。正直これだけあったら家もかえるけどしばらくは行商で頑張ってほしいわ。」


なるほど、とりあえず小銅貨=1円として考えていけばそこまで難しくはなさそうだな。


「それで、向こうに行く前にワイらからプレゼントを用意してるねんけど…兄ちゃんところで鏡で自分見た?」


「え?…いえ、見てないですね。何か顔についてます?」


「ついてるのは可愛らしいやから大丈夫やけどちょっと見て来てみ」


はぁ・・・何があるのか分からないが鏡を見に洗面に向かった。


「なぁ…兄ちゃん怒るかな?」

「いや…ワテらが信じたあんちゃんならちゃんと伝えれば許してくれるはずや」


 ドタドタバタバタ


「か、か、神様。・・・子供!!俺、子供・・・」

「そのな、あの時兄ちゃん車に轢かれてこうな…クチャっとなってしもうてな。」

「何とか…ワイらの力で再生させてんけどねどうしても使えんところとかあってなその分小さなってもうたんや。あ、足りひんぶんわワテらの力で補ったから問題無いで」


鏡に映った俺はだいたい12歳ぐらいの見た目になっていて驚いたが神様の説明を聞いて納得する。

というより神様のすることだからな何が起こるか分からないっていうほうが正しいのかもしれないが…


「初めは驚きましたが理由は分かりましたので大丈夫です。」


「そうか、なら楽しい楽しいプレゼントタイムやでいろんな商売の神、福の神に声かけてないろいろ用意してきたんやで。」

「せやで、まずはワテからな。…よいしょっと、ほれ開けてええで。」


そういって渡してきたのは白い箱にリボンのついてるまさにプレゼントと言うべき箱。

リボンをシュルシュルと外し箱を開けてみると


「これは、リュックサック?」


古い軍用の背嚢とも取れそうな無骨でパンパンに膨らんだリュックサックが入っていた。

てかコレ俺の体で背負えるのか?


「なかなか、かっこええやろ?向こうで使えるように洒落っ気を落としたデザインやけどなシンプルイズベストってやつや。とりあえず背負ってみ」

「あれ?重くない」


正直、背負えば後ろにこけて自力では立てなくなるんじゃないかと思っていたけどまるで羽のように軽く背負っているのを忘れるようだ。


「せやろ。正直この見た目はダミーや。でも中身は本物やで。ワテの袋みたいに向こうの神様の用意した商品が全部入るようになるしこれから行商して手に入れた物を入れてもええで。容量は三千大千世界ぐらいで中にいれたら時が止まるからな、冷凍も生もんどんとこいや。ちなみに、カバンを使わず手で触れるだけど収納できる加護付きや。ただ、生きてる物は入らんからな。命の売買ってのは業が深いからな。」


容量の三千大千世界の桁が分からんがとりあえず凄いんだろう。しかし、すげーなこれただ、盗られたらどうなるんだろう。


「そうそう、防犯もばっちりやで。あんちゃんが持ったり床とかに置くぐらいは問題ないけど他の連中が勝手に持とうとしたらその中の荷物分の重さ全部味わうからな。ちなみに、あんちゃんが誰かに殺されたときはそのカバンの中全部ばら撒かれるからな。簡単に言うたら世界終了のお知らせやな。なんせ神の使いを殺すんやからなそれぐらいの罰はいるやろ。」


やべー俺の命で世界が滅びるとか怖すぎ。


「さて、次はワイやな。ほれ開けて開けて。」


そういわれてもう一度出てくるプレゼントボックス。

開けてみると光の粉が出てきて部屋を幻想的に光らせた。

そして箱の中に入ってたのは目録と書かれた巻物だった。

書かれている中身は【読み書きそろばん】から始まり【豊作、漁業、縁結び、延命長寿、厄除け、林業、材木業、建築、造船、目利き、航海安全…】等などまだまだずら~~とひたすら書かれている。


「これは…何ですか?」

「ワイからのプレゼントは権能の一部をプレゼントや。商売とか福の神とかって兼業が多いさかいいろんな人からちょっとずつ貰ってきたんや。言うても一部やからな兄ちゃんの近くにおったらええことあるよぐらいで思ってたらええで。」

「なるほど…ちなみにこの【塩】とか【馬】とか【冥王の加護】ってなんです?」

「前の2つは中華街とかに石像が立ってる人おるやろ。あの人って昔塩商人やってんて、せやからいくらでも【塩】用意してくれるって。【馬】はもちろんその人のやで。流石に家の中に馬は入らんから外で待ってるで。で【冥王の加護】は大陸の反対側の消える兜で有名な神が財宝の神としてもあがめられてたらしくてなその人が用意してくれたんや普段見えへん奴からちょっかいかけて来なくなるらしいで。」


そうか。そっかー、とりあえず、頑張ろ、うん(思考放棄)


「そうは言っても基本的には兄ちゃんは福の神の使いやからなみんなの権能のおかげで多少やんちゃしてもいいけどあんまり鉄火場に行ったらあかんで。そんなんは戦神とか軍神の範囲やからな。」


「とりあえず、他に足りなさそうなものあるか?今やったらなんとかできると思うで」

「せやで、サポートはするつもりやけど向こうに行ったらどうなるか分からんからな。いうなら今やで」

「いえ、ここまでしてもらったので不足はないと思います・・・あ、一つだけお願いしていいですか?」

「なんや、一つと言わず何個でもええんやで」

「せやで、遠慮したらアカン。なにせワテらの大事な人の子を渡すねんからな。」


ほんとにこの2柱は慈悲深い恐らく今俺があれが欲しい、これが欲しいと言えばいくらでも用意してくれるだろう。

ただ、俺がして欲しいのは本当に1つだけだった。


「両親に…伝言を頼みます。先に逝った息子で申し訳ない、すまなかったと。あなた方の息子になれて幸せだったと。そして、新たな世界で生きていくので心配しないでくれと。これだけで構いませんので伝えてください。」


「分かった。神の名において必ず伝えよう。」

「君のような人の子をあっちにやるのが本当に辛いわ。」


神様に伝言を頼むと俺は向こうに行く準備を進めた。向こうで一般的な服を着用し神様リュックを背負い玄関に立つ。


「兄ちゃん、その扉を開けたらもう異世界や外ではさっき行ってた【馬】が待ってるさかいそいつに乗って旅をすればいい。」

「あんちゃん、向こうに行ったらどこでもいいから教会に来て欲しいそうや。そこでなら向こうの連中とコンタクトとれるらしいからな。」

「分かりました。とりあえず、馬と合流して教会を目指します。」

俺は最期に家を見渡した。

もうここに戻って来る時は無い。

ここで終わりここから始まるのだ。


「では、行ってきます。」

「「旅立つ人の子に神々の祝福を」」


そして、俺は異世界に足を踏み出した。

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