第4話 01(ゼロワン)の誓い

「03(ゼロスリー)遅いな、もう朝だって言うのに、5679(ファイブシックスセブンナイン)、あのテストっていつ終わるんだ?」


「合格するまでじゃないか、まあ合格なんて滅多にできるもんじゃないがな」


「それってどういう……おい!そこのお前」




そこにいたのは、03(ゼロスリー)が受けた試験会場からでたモンスターであった。




「03(ゼロスリー)って奴がここでテストを受けたはずなんだが知らないか?」 「………」


「やめておけ、01(ゼロワン)、そいつはもう話せない」


「ど……どういう事だ……お前は何か知ってるのかよ5679(ファイブシックスセブンナイン)!!!」


「なんだ、03(ゼロスリー)を探してるのかお前」




そこに現れたのは、ダンパイアの姿であった。




「そいつは残念だったな、あいつらはついさっき死んだよ、まさかあんな腰抜けとはな」


「どういう事です……なぜモンスターが死ぬなんて事が……答えて下さいダンパイアさん!」




ダンパイアから全ての事情を聞き出した後01(ゼロワン)は呆然となった。




「それじゃあ03(ゼロスリー)はテストで死んだと・・・」


「そうだ、あいつは見込みがあったんだがな、なんせスラスターの遺伝が入っているからな、今日の夜もテストがある、どうだ? お前も受けるか? このままじゃ十位の座が奪われるぞ……はははっじゃあな」




01(ゼロワン)は恐れていた、もし試験に行かなければ次の犠牲者が出ると。




「03(ゼロスリー)と一緒に俺も試験を受けるんだった……俺が止めて……止めて? あいつは俺と一緒に行っていれば真っ先に俺を殺していなかっただろうか……」


「あ、いい忘れていた、今日の夜8時に再び試験をやる、もし殺し合いが起こらなければ十位とは認めないからなそこにいる腰抜けもな……お前達二人は俺の推薦で試験を受けてもらう、推薦といっても強制参加だが……はははっ!」




ダンパイアに指を指される01(ゼロワン)と前の試験の生き残りだった。


ダンパイアが言った言葉には一つ疑問点があった、戦わずしてこのモンスターは生き残っていたのかと。




「おい、お前は戦わずして生き残ったのか?」


「あぁ・・・全員自殺したんだ・・・」


「詳しい事を教えてくれないか?」


「03(ゼロスリー)君は、君と例えテストを受けたとしても殺してなんかいなかったさ……あの人は最後に言ったんだ……「「仲間を殺すくらいなら自殺してやるよ」」って……」




01(ゼロワン)は後悔した、自分を殺すんじゃないかと疑った事に……。




「彼のその言葉を聞いた瞬間自殺する奴が急増してな、俺はダメだったよ、自殺なんて、でもぼーっと立ってたら俺以外の全員が自殺してしまった、俺は生かしてもらったんだ、皆に、俺が臆病なばかりに……」


「………」




夜が明け、機動能力を測るテストが始まった。




「では殺し合いを始めてもらう!」


「嘘だろ・・・」「本当に殺しあうのか。」




「皆聞いてくれ! もし俺らが戦わなければダンパイアが俺らを殺しにくる、全員で力を合わせれば奴くらいどうって事ないさ! 共に戦おうじゃないか! 仲間が死ぬくらいなら戦った方がましだ!」


全員の迷いを制したのは01(ゼロワン)であった。




「はははっ、面白い、いくら剣を持ってるからって俺に勝つつもりでいるのか? まあいいだろう、お前ら全員一匹残らず抹殺してやる覚悟しろ」




「お、おい!01(ゼロワン)謝れ、俺達に勝てる訳ねえ」


「謝れだと? 馬鹿野郎! どっち道俺達は殺しあうんだ、やるしかないだろ?」


「駄目だよ、俺達にこの人は倒せるわけがねえ……第一ロクに剣を振り回すのにも精一杯なんだぞ……」


「だったら黙って殺されるのか!? 諦めるな! 全員剣を持ってダンパイアに向かって投げろ! 奴はスピードは速いが体がでかい、全員が投げてそれを避ける事は決して簡単じゃない!」




ザサッ!01(ゼロワン)の指示により四方八方に剣がダンパイアの元にへと飛び交う。




「っち・・・図に乗るな!オラオラ、ゴミ共が!やってくれるじゃねえかよ!しにやがれ!。」


「全員剣を上に投げてダンパイアに当てろ!」




上に上がった剣はダンパイアへと向かう。




「上で剣を跳ね返す瞬間が隙だ! お前の死角を捉えたぞ!」




剣を弾いてる間に、隙が出来た体を01(ゼロワン)が斬る。




「ぐふっ……」




「おっしゃあ!これは勝てるかもしれないぞ!」


「がはっ、俺に勝てると思うなよ!オラオラ!」




体を切られてもまだ戦うダンパイアだった、そして数分にして次々と無防備のモンスター達はダンパイアの手によって斬られてゆく。




「ふう、手こずらせやがって、まあいい運動にはなったかな。これで残りはお前だけか、01(ゼロワン)よ、殺したいところだが、このテストは一人残ったら生かすよう上から指示されててな、ルールに助けられたよなお前」




勝ち残った01(ゼロワン)であったが、死んだ皆には申し訳がない気持ちでいっぱいであった。




「5679(ファイブシックスセブンナイン)、俺は修行をする、俺達が生まれてきた理由はシャルリック博士だけに忠誠を誓うためだ、03(ゼロスリー)のためにも俺は強くなってダンパイアを見返してやる……」


「そうか、03(ゼロスリー)残念だったな……」




九年と十一カ月が経ったこの日が、ムカトロン星人が待ちに待っていた戦争の日であった。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る