くだらない
(授業中に斜め前の女子集団がうるさい。授業中くらい静かにできないのかよ。)
女子会がどうのこうのなんてくだらない話を聞きながらペットボトルの炭酸を飲んだ。炭酸が抜けて始めている。うるささと抜けた炭酸のせいで美味しさが半減したな。こんなことにも少しイラっとした。俺は真面目じゃない。授業を聞いて一生懸命ノートを取って教授の言っていることに対して考えたりアイデアを浮かべている訳でもない。ただ、静かにここにいるだけだ。90分ただ時が過ぎるのを待っている。楽しさなんてない。でも苦痛でもない。本当にただ、ここに存在しているだけである。だから授業中にうるさくしている集団が嫌いだ。そんなに大声で話さなくても隣同士なら小さい声でも届くだろ。ああいう集団はただの目立ちたがりなんだろうか。
少し前の方に後輩が座っているのが見える。授業開始直前に気づいたが隣に行くことはなかった。授業中くらい一人の時間が欲しい。これが終わったら飲み会にでも顔を出すか。切り替えって大事だよな。いつも人と一緒にいないと不安なんて言う奴がいるけど、俺には全くわからない。一人になる時くらいあってもいいじゃん。なにがそんなに不安なんだろうか。
「よ。ここ隣空いてんの?」
なんか来た。
「遅刻かよ。空いてる。」
サークル仲間の女が一人。こいつとはたまに一緒に授業を受けるときがある。
「さんきゅ。今日出席ありそう?」
「いや別になさそう。」
「なんだ、来なきゃ良かった。てかこれ出るの久しぶりなんだけど、レポートとか出た?」
こういう奴には絶対に大事な情報は教えない。自分が損をするだけだ。俺は損と得を一番に考えて過ごしている。ギブアンドテイクがしっかり出来るような人間は深く関わり合うが、自分ばかりが損をするような状況を作られそうだと思ったらすぐにシャットアウトする。
「さぁ、俺も最近出てなくてわかんね。」
「なんだ。ちゃんと出てると思った。」
なんだってなんだよ。今日はイライラすることが続くな。俺の静かな時間返せよ。一旦切り替えに行こう。
俺はタバコと携帯を持って教室を後にした。ここの大学には喫煙所が2カ所存在する。広い敷地の割に、喫煙所が少ないんだよな。世間では禁煙ブームらしいが、俺は切り替えのためのこの1本は一生止める気はない。世間の流れなんてどうでも良いじゃないか。なんて考えの俺は就職できるんだろうか。まぁどこかしらには受かるだろう。こういう考えの奴も山ほどいるはずだ。
「すみません、ライター貸してもらっていいですか?」
喫煙所についてタバコに火をつけると、小柄でギャルっぽい女から話しかけられた。
「あ、どうぞ。」
「ありがとうございます。」
わー、超タバコ吸ってそう感あるわー。この人きっとパリピだろう。ビッチ臭がすごい。絶対に彼女にしたくないタイプだな。
「ありがとうございます。」
その子はもう一度俺にお礼を言って少し離れて吸い始めた。顔は悪くないけど完全に性格は悪そうだ。ま、どうでもいいけど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます