第46話
俺はいつの間にか布団の中で眠っていた。目を覚ますと、白衣を着たかわいらしい女医さんが4人いた。人化したドクターフィッシュのようだ。俺に気付いて、話しかけてきた。
「もう大丈夫です。皆、拒絶反応はなくなりました」
「私達もお互いに済ませました」
「この触診は、3人同時に行わないといけないの」
「キャサリンさんも羽衣さんも、ちゃんと分かっていらしたのですね」
ドクターフィッシュに色々と説明してもらった。話が難しくって分からないこともあったが、彼女達がまりえの命を救ってくれたことだけは確かなようだ。紗南と瀬北もまりえのように拒絶反応が強く、苦しみだすのは時間の問題だったらしい。それも未然に防げたという。拒絶反応というのは、魚が人化した際に起こる生体反応で、新しい身体に馴染めないと起こるらしい。確率は20パーセントと高く、起こると、最悪、死に至るらしい。
「ありがとうございます」
「貴方が本気で私達を救おうと思わなければ……。」
「まりえさんも私達も皆、死んでいたわ」
「症状はまだ出ていなかったけど、紗南と瀬北も助からなかったでしょう」
ふと隣の布団を見ると、まりえがスヤスヤと眠っている。かわいい。俺は半身を起こして、女医達に混ざっている羽衣に話しかけた。
「羽衣はこうなるのが分かっていたの?」
「うん……。私も昔、同じようになったから……。」
「えっ、じゃあ、その時も?」
「違うの。その時は別の方法で……。」
羽衣は、他所を向いてしまった。あまり話したくないようで、歯切れも悪い。今迄知らなかったことだし、今更聞かなくても良いと思う。だから羽衣には、話したくなったら教えてとだけ伝えた。その時、まりえが目を覚ました。
「マスター、ありがとうございます! また、救って頂きました」
「まりえ、本当に良かった」
とにかく助かって良かった。俺はまりえと生の喜びを分かち合った。
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