第44話

「マスター、助けて!」


 まりえは腹を抱えている。とても苦しそうだ。


「お嬢ちゃんどうしたんだい、お腹、痛いのかい」

「直ぐにお医者さんに連れて行くっちゃ」

「……。ダメよ。普通のお医者さんじゃ、ダメなのよ」


 キャサリンが久々に口を開いた。


「近くの足湯で、ドクターフィッシュを飼っているところはありますか」

「ドクターフィッシュ? 新潟市に行けばあるっちゃ」

「直ぐにまりえを連れて行きましょう」


 キャサリンは全てを知っている。その思いは確信へと変わった。だが、今は時間がない。まずはまりえを助けることの方が先決だ。


「あおいちゃん、調べて!」

「もうとっく! 新潟市、西浦区。ここからだと、車で1時間半!」


 あおいちゃんのナイスプレイで、俺達は直ぐに車にまりえを担ぎ込むと、一目散に西浦区を目指した。途中から新潟県のパトカーが先導してくれて、道中は1時間ほどで辿り着いた。キャサリンが手を回してくれたんだ。なりふり構っていられないのだろう。それほど、まりえは重篤なのだ。


「羽衣には、用意してもらいたいものがあるの」

「分かっているわキャサリン」

「さすがね!」


 羽衣とキャサリンの息もぴったりで、それぞれの仕事をしてくれた。まりえを助けられるかどうか、1刻を争う状況は変わりないようだ。それでも俺は、皆で力を合わせれば何とかなるのだろうと淡い期待を寄せていた。

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