ミナミメダカ

第33話

 ーリーン! リーン!ー


 電話が鳴るのが少し早すぎないかなと思いながらも、俺は応対した。


 ー社長、大変です。記録が塗り替えられました!ー


 相手は、蕎麦屋の店長だった。記録というのは、わんこ蕎麦の大食い記録である。何でも、これまでの倍以上を平然と平らげた美少女4人組が現れたのだという。俺は直ぐに駆けつけようと思ったが、そうもいかなかった。電話が鳴りっぱなしなのだ。


 ー社長、ホットドックの記録が……。ー

 ー援軍求む。サバゲフィールドに向かわれたしー

 ー鯛焼きおまけしたら、売り切れちゃったぜ!ー


 そして、それらの報告に共通しているのは、美少女4人組の仕業だということだ。俺には、その美少女達に心当たりがあった。メダカだ。もし次にそのメダカが現れるとしたらどこだろう。俺は先読みして考えた。まさかテレビ局ではあるまいか。いや、違う。もっと身近なところに潜んでいるような気がした。

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