きれいな川の側編③

第21話

 大きな物音にムードを壊された俺達は、その正体を探るため、車の外に出る。するとそこで女の子が4人、俺達の朝食用の食材を漁っている。その格好は金魚達と初めて会った時と同じ、つまりは全裸だ。違うのは、ここが風呂場でないことと彼女達がやたらと素早いことだ。それは金魚達には見られない野生の動きだ。


「どうして、全裸の女の子がいるのよ」

「さ、さぁ」


 羽衣にそう聞かれても、俺にだって分からない。1つだけ分かるのは、彼女達はお腹が空いているということだ。だが、食材はどれも生でそのままでは口に出来ないものばかりだ。

 1番大人に見える女の子が俺達に気付くと、他の3人に大きな目で合図を送る。そして4人はさささっと姿をくらましてしまう。


「待って! 食べ物だったらあるよ」


 俺は車の中に鯛焼きがあるのを思い出した。それを取りに戻ると、彼女達が食べ易いようにテーブルに並べた。初めはこちらを警戒してか近付こうとしなかったが、背に腹はかえられないのか1番大人に見える女の子が意を決して近付いてきて奪い取っていった。そして草叢に戻り1つの鯛焼きを分け合い4人であっという間に食べ切った。1つ食べて警戒心が薄れたのか食欲に火が点いたのか、今度は1人1つをテーブルでペロリと食べた。全裸で。ちょうど4つずつを食べ終えた後、1番大人に見える女の子が言った。


「かたじけない。1飯の恩は忘れない。達者でな!」

「ちょっと、待ちなさい。そんな格好でどこ行くの?」

「寝る場所を探す」


 女の子達は、羽衣が止めるのを振り切って何処かへと行ってしまった。


「あーあ、行っちゃった。良いお友達になれると思ったのに」


 とんでもない! 金魚達だけでも大変なのに、また得体の知れないのと友達だなんて。そう思いながらも俺は、何故か羽衣が美少女には目がないのを思い出した。全裸の女の子達って、もしかしたら美少女なのかなぁ! 俺は期待に胸を膨らませた。

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