第9話 予想してないのが来たんだけど…(後編)
「なあ
「なんだい?」
「俺たちはなんで追い出されたんだ?」
「まあ大体予想はつくけど、多分──」
「いやああああああああああああああああああああああああああああ!!」
「「!!?」」
び、びっくりした……。なんだ今の? とんでもない悲鳴が聞こえたんですけど。マジで中で何が起きているんだ? 雪島先輩めっちゃキレてたし、犯罪とかやってなければいいけど……。
「お待たせ、入っていいわよ」
中にはとてつもなく気まずそうな顔をしている
……何だこの光景? まあとりあえずあの女子生徒がめっちゃ可哀想な目に会ったって事だけは分かる。
「あの、雪島先輩?」
「どうかしましたか、篠崎君?」
「一体あの子に何したんですか?」
「別に、あの子がした事と同じような事をしただけよ」
「同じ事って?」
「あぁ、やっぱり……」
どうやら薫には分かったらしい。俺には全然分からんけど……。
まてよ、あの子と同じ事ってそもそもあの子は何をしようとしていた?
えっと確か、俺たちの秘密がどうのこうのって言ってたよな……。
「……あっ」
「気づいたみたいね」
あー、なるほど、そういう事か。いやこの子可哀想過ぎるだろ。何をされたかは詳しくは知らないけどまあ大方、女子のちょっと恥ずかしい写真を撮ったとかそんなんだろう。
「全裸にひん剥いて変なポーズをさせて、その写真を撮っただけよ」
「いくらなんでもそれはやりすぎでは……」
予想の3倍は酷いことをしていた。
「先に写真を使って脅してきたのはそっちよ、私はそれに対抗しただけ」
「というかそんな写真この短時間でどうやって撮ったんですか?」
「能力を使ったわ、20秒しか無かったから1枚しか撮れなかったけど」
「いいんですか、そんなことして?」
「どうせもうバレてるし、それにこの子はもう私たちに対して脅しなんて使えないから」
「もしやけくそになって写真を公開したらどうすんですか」
「その時はこの写真を公開するわ、写真が本物だとしても、こんな奇行をする人の写真を信じる人はそうはいないわ。それにそんなことをされたら彼女はもう表を歩けないでしょうね」
「お、鬼だ……」
――十五分後――
「さて、じゃあ話をしましょうか」
少ししたらだいぶ落ち着いてくれた。まだ若干涙目ではあるが、やっとまともに話ができる。
「……分かりました。写真は公開しませんし、すぐにデータは消します。もちろん誰にもこの件は話さないと約束します。これでチャラにして貰えませんか?」
正直俺はこれでいいと思う。秘密を知っている人が野放しになるというのは少し不安だが、まあいざとなったら先輩の対抗策があるしな。
「ダメね」
「「「えっ?」」」
この場にいた文芸部員全員が同じ反応をする。この人まだ何か要求するつもりなのか。
「私にはこれ以上何もできませんけど……」
「別に写真を消せとは言うつもり無かったけど、まあいいわ。一つだけ条件を呑んでくれるならこちらの写真もすぐに消してあげる」
「どうせ断ることなんてできないので呑みますけど、内容は?」
「入部しなさい」
「……はい?」
「だから文芸部に入部しなさいと言ったんです」
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ先輩!」
「何かしら? 私たちは元々新入部員を探していたし、それにこの子には私たちの能力を知っているから隠す必要ないし、丁度いいと思うけれど」
「だけど……」
「いいですよ先輩、私入部します」
「……本気で言ってる?」
「本気ですよ、どうせ断れる訳ないですし」
「みんなはそれでいいのか?」
「僕が決めることじゃないし、決まった事だしね、しょうがないね」
「まあいいんじゃない? 楽しそうだし」
「難しいことは分からんから、
「マジかよ……」
「……決まりね、ようこそ文芸部へ、歓迎するわ。そういえばまだ名前を聞いていなかったわね」
「
みんなが「よろしく」「よろしくね〜」、と軽い挨拶を交わす。
いやみんな順応性が高いな。もしかしてこの状況飲み込めてないの俺だけ? でもまあとりあえず挨拶ぐらいはしとかないとな。
「よろしく、蝶野さん」
普通によろしくとか言っちゃったけど、どうしよう、この先の文芸部がめっちゃ不安なんだけど……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます