第51話 部屋にて

女性陣がお風呂からあがってきた

仄かに上気した頬とツヤのあるサラサラの髪が男二人の視線を釘付けにする


「うふふ、健さん?そんなにじっと見つめられると恥ずかしいわ」

「あ、ああ。ごめんよ。あんまりにも美しくてね」


俺も愛衣に見惚れてしまい、生唾を飲み込む

普段の少女らしさとは違い、その姿は色香溢れる女性のそれだった

「浩二さん……?」

「コッチ見んな変態」

俺は慌てて視線を外す

「ハハハ…やだなぁ、変態だなんて人聞きの悪い」

「事実でしょ、ロリコン」

「断じて俺は変態でもロリコンでもない!愛衣は信じてくれるよな?」

「えっと……浩二さんが変態でも私は、気にしませんから」

愛衣のフォローがぐさーっと心に突き刺さる

愛衣から変態認定されたぁーー!

「はい確定〜塩谷浩二は変態」

orz

「くそぉっ。俺は断じて変態では……」


「あら?どうしたの浩二さん?」

「気をつけてください。そいつは、愛衣ちゃんの風呂上がりの姿に欲情した変態ですから」

「あら?そうなの?愛衣、良かったわね」

「「え?」」

俺と本郷さんは紫さんの発言に衝撃を受ける

「はい!」

「「ええぇっ!!」」

「あら?何を驚いているのかしら?」

「何をって……」

「愛衣が魅力的だって事でしょう?」

「えへへ……」

「えっと、はい。凄く魅力的です」

「なら良いじゃない」

「まぁ、当人がそれで良いなら……」

本郷さんは釈然としないといった表情を浮かべる


「でもね、浩二さん」

「はい?」

「ちゃんと結婚するまでは清い関係でね?」

「はい」

紫さんにしかっり釘を刺される

俺としても、もちろん結婚するまでそんな行為をするわけない


そんな話しをしているうちに夜も更けていく



俺が割当られた部屋は客間の一室だった


さて、デザインの案でも考えるか

えーっと……何が良いかな……

今日の出来事だと……パーティーだったな

でもパーティーがテーマだと漠然としすぎかな

後は……愛衣のドレス姿可愛かったなぁ

普段見てる魔女っぽい格好とは全然違ってお嬢様感が凄かった……


対照的な一面……しかし本質は同一……うん……いい感じだな


コンコン

誰か来たようだ

「はーい」

ドアを開けるとそこには……

「来ちゃったっ……」

お義父さまがいた!?


「え?なんで?えっとなにか御用でしょうか?」

「ああ。うん」

「とりあえず中に入ってください」

「お邪魔するよ」


「それで、どうしたんですか?」

「浩二くんに僕の魔法を教えとこうと思ってね」

「え?お義父さんも魔法使えるんですか?」

「借り物みたいなものだけどね」

「借り物?」

「うん。紫さんの魔法は空間を繋ぐ魔法だって説明したでしょ。僕はその魔法の一部を借りてるんだ」

「どういうことですか?」

「僕も空間を繋ぐことができるんだ」

「凄いじゃないですか!」

「でもね、僕自身には魔力が無いんだ」

「魔力がなくても、魔法が使えるんですか?」

「いや、魔力は必要だよ。どんな魔法にもね」

「ん?じゃあどうやって……?」

魔力栞でも使うのかな?

「答えは簡単…繋がってる人から貰う、だよ」

「繋がってる人、紫さんから?」

「そう。でもこれには大きなデメリットがあるんだ」

「デメリット……」

「紫さんの負担が大き過ぎるんだ」

「負担…ですか?」

「僕たちは繋がっているといっても100%じゃないんだ。必ずロスが出る。それが負担になるんだ。そして、その負担は魔力を持ってる紫さんに全ていく」

「僕は借り物の力だけど魔法が使える、でも絶対に使わないんだ。魔女にとって魔力は命そのものだからね」

「そう…なんですね」

「だから、愛衣の魔法を使えるようになったとしても簡単に使わないでほしい」

「絶対に使うなって言わないんですか?」

「もし、二人の命が危ないってなったら迷わず使っていいよ。もちろん使わないに越したことはないけどね」

「わかりました」

「じゃあ、頼むね」

「あのっ、愛衣の魔法って」

「実はまだ詳しくは分からないんだ」

「そう、ですか」

「それじゃ、おやすみ。浩二くん」

「はい。おやすみなさい」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

魔法図書と魔力栞と魔法競技と冴えない紙製栞屋 もえすとろ @moestro

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ