第49話 お義父さんと

パーティーが終わり俺は帰り支度をしようとすると

「塩谷くん、今日は泊まっていきなさい」

「え?」

「父様?」

「そうね。どうせなら本郷さんも泊まっていったらどうかしら?」

「私もですか?」

「ええ」

「えっと……」

本郷さんはかなり戸惑っていた

「父様、母様?どうしたんですか?」

「愛衣、僕はもう少し浩二くんと話しがしたいんだ」

愛衣は俺に視線で伺う

「はい、わかりました」

俺は宿泊の申し出を受けることにした

「私はかえ」

本郷さんの声を遮って紫さんが発言する

「本郷さんには魔女として話しがあります。帰るなんて言わないわよね?」

「はい……かしこまりました」

渋々本郷さんも宿泊する事になった


「それじゃ、僕と浩二くんはお風呂に入ってくるから」

「はい!?」

「さ、行こうか」

健さんに連れられて浴室に向かう


二人とも黙々と頭を洗い体を洗い、湯船に浸かる

「……」

「浩二くん」

「はい!」

「そんなに緊張しなくていいよ」

「えっと、俺に話しっていうのは……?」

「ああ、もちろん愛衣の事だ」

愛衣のこと……

「浩二くん、君は愛衣と専属契約をしたね」

「はい」

「専属契約っていう魔法がどんな魔法かは知っているかな?」

「えっと、他の魔女に取られないようにする魔法と聞きました」

「他に何か言ってたかな?」

「触媒は好意の感情だって…」

「そうだね」

良かった、間違ってなかった……

「でもね、もう一つまじないがあるんだよ」

「まじない、ですか?」

「そう呪いさ」

「それは一体?」

「専属契約をした二人には魔力的な繋がりができるんだ」

「魔力的な繋がり……?」

「そう。そして、その繋がりが絶たれると一切の魔法を使えなくなるんだ」

「え……?」

「魔女にとってそれは死と同義なんだよ」

「そんな……」

「だから、お願いだ。君は危険を冒さないでほしい。危ない事は絶対にしないって約束してくれるかな?」

「はい」

「よかった。……例え、僕らの身に危険が迫っても愛衣と自分の身を最優先させてほしい」

「それは」

「ああ、僕らの事を見殺しにしてでも自分の身を案じてくれ」

そんな事できない!そう言おうとしたが健さんの眼はそれを許さない真剣さがあった

「……はい」

「大事な話しなんだけど、愛衣の前じゃ話し辛いからね。こうして二人で話しができてよかったよ」

「……はい」

「そんな悩まないでいいよ。僕のことは紫さんが守ってくれるし、紫さんは僕が支えるから」

強い、とても強い決意の感じる言葉だ

「はい、愛衣さんの事は俺が全力で支えてみせます」

「はは、良かった。これで一安心だね」

でも、本当に良いのかな……義理とはいえ親を見殺しにしてでも自分の身を守るなんて……

「さて、そろそろ上がろうか」

「はい」


俺と健さんは風呂から上がり、リビングへ戻った

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