第48話 パーティー4
「おかえりなさい、紫さん」
「ただいま、健さん」
「無事に帰ってきたね、お二人さん」
「心配をおかけしました」
「ただいま、本郷さん」
「さて、料理が冷めちゃったね。温め直してくるから、少し待っててね」
そう言って健さんが料理をキッチンに持って行く
「あら、私も手伝いますわ」
「紫さんは休んでて、帰ってきたばっかりなんだからさ」
そのまま返事を聞かずに健さんは行ってしまった
「で、何があったのさ?」
「俺に聞かれても……えっと、何だったんだ?」
「私もなんで呼ばれたのかわからないんです」
「愛衣ちゃん本人にも分からないなら、分かるわけないかぁ」
「あら?簡単な事よ」
「え?母様は分かるんですか?」
「ええ、私も昔やられましたもの」
「ええっ!?」
「どういう事ですか、紫さん?」
「ふふ、私が健さんと専属契約をした時も同じようにお茶会の招待状をもらってね」
「私と同じ……」
「でもね、私は開けなかったのよ?なのに無理矢理呼び出されちゃってね」
紫さんは事も無げに言うがきっとその時不安だったんだろうな
だから愛衣が攫われた時真っ先に助けに行ったんだろうな
「でね、せっかく健さんとお食事の予定が入ってたのに無しになっちゃって」
「え……」
その時、一瞬だが紫さんの表情が翳った
それを目撃して愛衣の表情が固まった?
「だから、招待してくださった方々にちょっとだけ仕返しをしたのよ」
「母様?な、何をしたんですか?」
「ちょっとだけ、ほんのちょっとだけ怖い思いをしてもらったのよ。ふふふ」
何をしたんだろう?愛衣はやや青ざめた顔をしている
「愛衣?どうしたんだ?」
「いえ!なんでもないです!ダイジョウブです!はい!」
愛衣の様子がだいぶおかしい?
「さて、そろそろ健さんも戻ってくる頃だろうし。この話しはここまでね」
まるで予知したように健さんが料理をもって戻ってきた
「やあ、おまたせ」
「ありがとう、健さん」
「いいんだよ、紫さん。少しは休めたかな」
「ええ、楽になりましたわ」
「それは良かった」
時間はもう8時半になりそうな頃で、皆お腹が空いてきていた
「「「「「いただきます」」」」」
全員でいただきますをして、食べ始める
食べながらも談笑は続く
「そうだ、愛衣ちゃん」
「なんですか?」
「式はいつ?」
「?」
「あれ?結婚式しないの?」
「っ!?あの、えっと、まだ決まってません」
「そっかー、決まったら教えてね?」
「はい」
「浩二くん」
「な、なんでしょうか?」
「そんな畏まらないでいいよ、もっと気軽にね」
「は、はい」
「僕の事はお義父さんって読んでくれていいからね?」
「えっと……はい。お義父さん」
「うんうん。浩二くんこれからよろしくね」
「はい」
食事も終わり片付けに紫さんと健さん、そして本郷さんまで行ってしまった
リビングには俺と愛衣の二人だけが残された
そこで俺は栞を持って来たのを思い出した
「あのさ、これ作ってみたんだ。あんまり良い出来じゃないけど、受け取ってくれるかな?」
内ポケットから栞を取り出す
「これは?」
「退院後作ったんだ、中に普通の栞が入ってるよ」
急ごしらえで作った服型封筒から栞をこれまた急ごしらえで作った栞を取り出す
「わぁ……素敵です」
「そっか、良かった……」
「ありがとうございます!大切にします!」
「あ、うん。ありがとう」
「えへへ……」
「魔力栞も頑張って作るからさ」
「大丈夫です。浩二さんなら創れます。楽しみに待ってますね」
「ああ、待っててくれ。世界一の魔力栞を創るから」
「はい」
そして、パーティーは終わった
あれ?専属契約の話しはしたけど……婚約とかの話しは全然してないな……?
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