第20話 迎えに来た人は
翌日の昼過ぎ、インターホンが鳴った
ピンポーン、ピンポーン
「今出まーす!」
ドアを開けるとMs.ブラックこと、黒坂愛衣が真っ黒いフーデッドローブ姿で立っていた
「こんにちわ!塩谷さん!」
「えっと、何で黒坂さんがウチに?」
「迎えにきました!」
「黒坂さんて研究所の人だったのか」
「違いますよ?」
「じゃあ何で?」
「塩谷さんがダブルを作ったと聞いたので、私が試験に志願しました!」
「えっと、なんで黒坂さんが迎えにきたの?」
「来ちゃダメでしたか……?」
上目遣いで小首を傾げる少女、可愛いな
「いや、ダメじゃないけどさ。何でかなって、だって研究所の人が来るものと思ってたから」
「それはですね、試験使用の交換条件だからです!」
「交換条件?迎えに来るのが?」
「そうです。研究所の人たちは外出が苦手らしくて、誰が迎えに行くか揉めてたんです。そこで塩谷さんの魔力栞完成を聞きつけた私が研究所へ登場!テスターをやらせて欲しいとお願いして、代わりに塩谷さんを迎えに来ました」
「なるほど」
「ささ、荷物持って行きますよ!」
「そうだな、行こう」
カバンに作った魔力栞が入ってるか確認して、ついでにその他忘れ物が無いかも確認して準備完了っと!
「お待たせ、行けるよ」
「はい!行きましょう!」
建物の外に出ると黒い車とスーツ姿の男性が待っていた
黒坂は何やらあっ!と驚き駆け寄り声を掛けた後
「塩谷さん、コレに乗ってください」
と複雑な表情で言った
「
「そう、ですね」
運転手の男性がドアを開けてくれる
黒坂が少し躊躇いながら乗車して、続いて俺も乗る
静かにドアを閉め素早く運転席に乗り込む運転席の人
「
「畏まりました。目的地はこのまま研究所でよろしいでしょうか?」
「はい、お願いします」
「畏まりました。お嬢様、後部座席であろうとシートベルトは着用してください」
「お嬢、さま?」
「気にしないでください!母が雇ってる運転手さんなんです!今日は必要ないって言ったのに、なんでか来てて……」
顔を赤くして必死になってまくしたてる黒坂に
「奥様からのご指示でして」
と言葉少なに運転手の男性が返す
「なんでそんなに慌ててるんだ?」
「それは、その、えっと」
「お嬢様は本日電車やバスといった公共交通機関を利用すると仰っていましたが、奥様が大層不安に思い私に依頼したのです」
「もしかして……方向音痴なのか?」
「違います!ちょっと道に迷いやすいかもですけど、方向音痴ではありません!」
「そうですよ。お嬢様は方向音痴というほどではございません」
「じゃあ何で、そんな不安なんだ?」
「それは、その」
「奥様は一人娘であるお嬢様の事をとても大事にされているということです」
「そっか、大事にされてるってなら良いことじゃん」
「そ、そうですね」
俺たちは一路研究所へ向かう
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