第11話魔力栞の種類

「黒坂さんが俺に作らせたい魔力栞ってのは把握した。出来る気がしないけどな」

「大丈夫です!塩谷さんなら創れます!」

「それで、昔話に出てきた栞を超えるものはどうやって作るんだ?」

「それは、わかりません」

「わからない、だと?」

「はい。でもご安心下さい!私も一緒に考えますから!」

「安心できねぇ……」

「ささ、それじゃ最初の一歩である“シングル”から挑戦していきましょう!」

「……シングルってなんだ?」

「それも知らないんですか⁉」

「ああ、すまないな」

「良いですか!魔力栞には柄の複雑さ、使用する色の数によってランク分けがされてるんです!」

「それが“シングル”?」

「はい、そうです!シングル、ダブル、トリプル、クアッドと四段階のランクがあります」

「そうなのか、全く知らなかった」

「……そして、一つのテーマと一色だけで作られたのが“シングル”です」

「一つのテーマと、一色だけか」

「そうです」

「それなら、普段から作ってる栞とあんまり変わらないな」

「そうですね。普段作っている栞に一手間かければシングルの魔力栞が出来上がるはずです」

「その一手間ってのは、何するんだ?」

「製作者の魔力が溶けたインクでハンコを押すんです。そうすれば魔力栞の完成です」

「そうか、ハンコか。まるで書道家のサインみたいだな」

「そうですね。でも、インクが特別製なのでまるっきり別物なんですよ」

「そうだ、それも気になってた。魔力の溶けたインク?ってなんだ?」

「普通のインクと違いオーダーメイドで製作される製作者の血が入ったインクです」

「血が……?」

「大丈夫ですよ!大量に必要って訳じゃないので!少し採血するくらいで十分足りますから!」

「採血か、そうか……」

「採血、苦手ですか?」

「ああ、あんまり好きじゃないな」

「が、頑張ってください!」

あんまりにも暗い表情になっていたのか励まされてしまった

よし、今日は帰ろう。帰って寝よう。明日の事は明日考えよう

「そのインクが出来ないと話にならないって事なら今日のところはこのへんで」

「いえ、今から作りに行きますよ?」

「へ?今から?」

「はい!準備してください!」

「……はぁ~~」

思わずため息が出てしまうほど、俺は採血が大の苦手だ

というか、注射も嫌いだし治療行為自体あまり受けたくないのだ

健康にはそこそこ気を使って生きてきたが、まさかこんな事になろうとは……

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