第4話【秘密組織】

レイモンド「あたし達はね、日本を守る組織なの。」


たえ「自衛隊?」


レイモンド「ある意味ね。でも少し違うわ。」


源蔵「じゃあ日本政府か?」


レイモンド「それもある意味正解だけど、違うわ。」


たえ「じゃあ一体なんなの?」


レイモンド「今は国家レベルでの武力を持つことを禁止されているのは知っているわね?」


源蔵「あぁ。数年前の世界平和協定ってやつじゃな。『全世界から武力をなくそう』ってテレビで銃などの武器を処分するところを見たぞ。」


レイモンド「そう。表向きはね。でもどこの国も裏ではみ~んな隠し持ってるのよ。『自分たちは武器を持っていません。安全です。』なんて公に言ったら『自分たちは無防備だから占領しに来てください。』って言ってるようなもんよ。わかる?」


源蔵「確かに・・・。」


レイモンド「でも世界平和協定以降、国同士の侵略は起こってないでしょ?どうしてかというとどの国も隠し持ってることを知ってるからよ。しかも世界平和協定以降のほうが確実にどの国も科学力、武力の水準は上がっているわ。」


たえ「なんで日本のことはまだしも、ほかの国のこともわかるのよ?」


レイモンド「それは、ナ・イ・ショ!知らないほうがいいわ。」


源蔵「で、あんた達が日本の武力ということか?」


レイモンド「その通り!あたし達が日本を裏から支えているってこと。」


 源蔵とたえはお互いの顔を見合わせた。話の内容も大きすぎてまだ思考が追い付いていないようだ。


レイモンド「信じられないとは思うけど真実なの。あたし達は日本政府直々の秘密組織、その名もLFJ(エルエフジェー)」


源蔵「はぁ。」


レイモンド「ウル〇ラマンでいう宇宙警備隊とか戦隊ヒーロー的な感じよ。でもあんなに公になんてしてないけどね。」


源蔵「それって怪獣的なものから日本を守ってるってことか?」


レイモンド「そう。変身して戦うなんてことはないけどね。宇宙人やら怪獣やらちょこちょことね。怪獣映画とか宇宙人の侵略みたいな映画もほとんどフィクションだけど、中にはホントにあったことに近いものもあるらしいわ。情報がどっかから漏れたのかもね。」


源蔵「まじか・・・。」


レイモンド「でもそんなことは稀よ!数十年に一度。あたしがここに入ってからはまだそんなのと戦ったことはないわ。普段は街の清掃をしたり、海の清掃をしたり、山の清掃をしたり・・・。」


たえ「(町のボランティア団体かって)」


 たえは心の中でツッコんだ。


レイモンド「でもそれは今までの話よ。」


源蔵「今までの?」


レイモンド「それより聞いたわよ!あなた達のこと!」


源蔵「ん?」


レイモンド「夫婦そろって不老不死なんですって!?もうびっくりしちゃったわよ!羨ましい!」


源蔵「え!?」


 源蔵とたえは焦っていた。なにしろ不老不死のことについては国家レベルでの極秘事項で片手で数えられるぐらいの人しか知らされていないはずで、もしこのことがバレたら普通に生活を送ることは不可能だと言われていたからである。


レイモンド「大丈夫よ。あなた達の事はこの国にとっての唯一のSS級の極秘事項になってるわ。あたしたちも知らされたのはあなたたちを迎えに行く直前だったの。しかももしこのことが外部に漏れるようなことがあったら、あたしたちは殺されることになってるわ。さらにあたしの近しい人はもちろん、あたしを知る可能性がある人、これまでの公的書類から何もかも、すべてこの世から抹消するみたい。そしてあたしは存在すらしなかったことになる。これですめばいいほうだと言われたわ。」


たえ「そこまでしなくても・・・」


レイモンド「それぐらいヤバいことなのよ!でもホントびっくりよね!この世の中、100歳越えたらかなりのご長寿だっていうのに、不老不死だなんて・・・夢物語だと思っていたわ。こうしてあなた達を前にしてもまだ信じられないもの!でも、その反応を見るとホントっぽいわね。」


 2人はレイモンドのテンションについていけず、ただただ聞いているだけであった。


レイモンド「もうそろそろじゃないかしら?」


 そう言ってレイモンドは窓の外に目を向けた。


レイモンド「ほら!あそこが目的地よ。」


 窓の外を指差しながら2人に伝えた。源蔵とたえも窓の外を見た。


レイモンド「ほら。あの1番高いやつ。」


たえ「1番高いの・・・ってスカイタワー?」


 3人を乗せたリムジンは、現在、街のシンボルとして建てられてる『スカイタワー』へと向かっていた。


レイモンド「あなた達『スカイタワー』は知ってるわね?」


源蔵「あぁ。『スカイタワー』の完成は今年1番国民が注目してることじゃからな。毎日のようにテレビでもやっとるしな。」


レイモンド「えぇ。『スカイタワー』周辺にもいろいろ出来て便利なとこよね!あたしも重宝させてもらってるわ。」


源蔵・たえ「・・・・・。」


レイモンド「・・・・・。」


 リムジンの中は変な空気になった。レイモンドは2人の顔をニコニコしながら見ている。


源蔵「・・・で?」


レイモンド「で?」


たえ「だから、な・ん・で『スカイタワー』なの?」


レイモンド「あ、あぁ。今から行くのよ!『スカイタワー』」


たえ「それはさっき、聞・い・た!なんで『スカイタワー』に行くのよ?」


レイモンド「それは着いてからのお・た・の・し・み!」


たえ「ちっ!(ウザッ)」


レイモンド「何か言ったかしら?」


たえ「いえ、何も!」


 そんなやり取りをしていると『スカイタワー』周辺に着いていた。

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