第3話【突然の来訪者】

 源蔵とたえはその男たちについていくこととなった。マンションの前には真っ黒なリムジンが止まっていた。スーツの男の一人がリムジンのドアを開けて中に入るよう促した。


髭の男「ありがと。さぁ、お二人ともどうぞ乗ってください。」


 源蔵とたえがリムジンに乗り込み、髭の男が乗り込むとリムジンのドアは閉められた。そしてリムジンは動き出した。


源蔵「あのスーツのやつらはいいのか?」


髭の男「えぇ。」


 リムジンの中は薄暗く、静かで何とも言えない思い空気が漂っていた。少しすると髭の男がスマホを取り出しどこかへ連絡し始めた。


髭の男「もしもし。・・・はい。・・・それはあなたが。・・・大丈夫です。今、あ、はい。・・・でしたら、もう・・・はい。では後程。」


-----ピッ

 男はスマホでの連絡が終わるとコートを脱いぎ、サングラスも外した。コートの中はすごい派手な服でメイクも。髭の男はリムジンに備え付けてあったシャンパンを開け、グラスに注いで飲み始めた。グラスを持つ手は小指がピンと立っている。


髭の男「シャンパンうまっ!あんたたちもどう?」


源蔵「いや、結構だ。それよりも一体あんたたちは何なんだ?」


髭の男「あたしたち?そうよねぇ~。もう言っていいって言われたし~。言っちゃおうかしら~。でも改まると緊張しちゃうわ。深呼吸よ、あたし。ふぅ~。じゃあ言うわよ。」


 源蔵とたえは何を言われてもいいように身構えた。


髭の男「こう見えてあたし、オカマなの!オ・カ・マ」


たえ「見りゃ分かるわ!」


髭の男「あら、ばれてた?」


 髭の男はびっくりしたような顔をした。が、ハッと何かに気づきごそごそと何かを探し出した。その様子を源蔵とたえは黙って見ている。髭の男はピストルを取り出した。


源蔵「えっ!?」


髭の男「っと、これじゃない。」


 髭の男はさっき飲んでいたシャンパンのグラスの横に雑にピストルを置いて、また何かを探し始めた。そしてポーチを取り出し、化粧をし始めた。源蔵とたえはその様子を黙って見ているしかなかった。


髭の男「ん?何?オカマの化粧が珍しい?」


 髭の男は化粧をしながら2人の方を気にしている。


源蔵「だから、あんたたちは・・・。」


髭の男「あっ!そうよね。ごめんなさいね。あたしったら、やだもう!まぁ〜たやっちゃった!てへぺろ(笑)いっつもこうなのよぉ〜。もうダメね!ダメダメよね!あたしのバカ!バカバカバカバカバカ!」


 髭の男はそう言いながら自分の頭をポカポカたたいている。


源蔵「あ、あの・・・。」


髭の男「え?あ、そうそう!」


 髭の男は両手をパンとたたいた。


髭の男「あたしの事だったわね!あたしはレイモンド。気軽に『レイちゃん』って呼んでね!年齢はヒ・ミ・ツ!えっと〜、趣味はたくさんありすぎて(笑)」


 レイモンドは笑いながら舌なめずりをした。


レイモンド「それから髭とこの髪型は好きでやってるの!スキンヘッドのイケメンが好きで、私の部下にはスキンヘッドにさせてるの。」


源蔵「あのスーツの男たちはあんたの部下か。」


レイモンド「それからね・・・」


 レイモンドはべらべらと話しいっこうに止まる気配がない。これぞマシンガントークと言うのだろうと思いつつ、源蔵はそのマシンガンの中に飛び込んだ。


源蔵「レイモンドさん!」


レイモンド「レイちゃんって呼んでくれなきゃや~だ!」


源蔵「あ、あんたのことは十分わかった。それよりあんた達のことを聞かせてくれんか?」


レイモンド「あたしたち?」


源蔵「そう!あんたじゃなくて、あんた達のことだ。」


レイモンド「そうね。そっちの方が大事かもね。あたしのことはまた今度!」


たえ「(まだ話すことがあるのか)」


 レイモンドは声のトーンを落とし、真剣な顔になった。

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