8th contact せんき

「なんや最近、それぞれの話がええとこで終わらへんか?」


「そういうのは外伝でやりなさい」


 ウチの目の前には黒い衣装を身に纏った魔女が宙に浮かんどった。ぷかぷかと黒いクラゲみたいにウチを見下ろしとる。本物の魔女ってのはこれほど迫力があるもんなんやな、とちょっとびびってもうた。


「それも、最初の魔女やもんな」


 ウチは挑発するように言う。魔女はピクリと眉を動かした。


「年増」


 おお、わかりやすっ。


 アニメみたいに青筋が浮かんだで。


「もう20歳超えとるのに魔女とか言って恥ずかしくないんか」


「魔法少女でなかったことに感謝するべきね」


 皮肉った返しやった。


「でも、あなた如きでは私に勝てないわ。分かっているでしょう?」


「んなもん、やってみんと分からんやろうに!」


 確かに、いくらはざーどれべるを無理矢理上げる戦姫であっても、向こうは10年間も戦い続けた猛者。勝てる確率は低い。でも、負けると決まったわけやあらへん。


「ま、もしかしたらウチも負けるかもしれへんし、あんたらが何のために逃げとるんか聞かせてくれへんか?ウチにはあんたらがただ逃げとるだけやないと思うんや。ただ逃げるだけにしては無駄が多い」


「関西弁はバカだと思っていたけれど、あの3人の中では一番まともなようね」


「ちょいと聞き捨てならへんな。確かに、ウチはあいつらの中では一番可愛くて、美人で頭もええ。でもな、ウチにとっては大事なともだちや。今度バカにしたら、許さんで」


「持ち上げるだけ自分を持ち上げたわね」


 魔女は呆れたように溜息を吐いた。


「私たちはエボルワームを探しているの。魔女ザウエルが隠したエボルワームを。あの雑魚、私を騙していたのね。結界の中にいるって聞いていて、私はあんなものに近づきたくなかったから放っておいた。すると、結界の中にはいなかったっていうオチね。我ながらにバカだったわ」


「なるほどな。そんで、そのエボルワームを使ってなにするんや?世界を滅ぼすんか?それとも、脅しの道具に使うんか?」


「破壊するわ。この世界にとって危険なものだもの」


 ウチは魔女の目を見る。


 嘘をついてへんのはよく分かった。


「そうか」


 でも、ウチは魔女と戦う。


「あなたは一体何のために戦うの?」


 魔女はウチにそんなことを聞いて来た。




 ウチには夢らしい夢なんてない。あるとしたら、それはもう、夢でさえなくなった代物やろうな。


 話は2年くらい前に遡る。


 いや、3年前か。ウチが高町なのは小学三年生やったころのお話。


 ひとり語りやと、ツッコミがおらんのが難点やなぁ。


 毎年、秋ごろになると絵画コンクールが行われる。全国コンクールや。ウチは絵を描くんが好きで、何度か全国まで行ったことがあった。でも、まだまだ佳作とか、もしくは賞さえもらえんくらいやった。


 そして、ウチが小学三年生の時に行ったコンクールでウチは出会ってもた。


 世界で一番気持ちの悪い絵画に。


 それはグロテスクな絵とかそういうんとは違う。そういうんは小学生のコンクールには受賞せんってのもあるけど、そういう類のとは全く違った。ああいうんは、絵はグロいけど、書いている人の心は歪んでいてそれでも純粋で、見れば何となく気持ちが入っていくような、そういうもんやった。でも、今回銅賞に入った絵が掲示されとったんを見た瞬間、本気で吐き気がした。


 それは綺麗な絵やった。水彩で書かれた、緑いっぱいの町。清流が流れ、町の中央にはできたばかりのタワーが見えとった。そのタワーもまた、町と調和して、町全体が一つの生き物として映るような、そんな綺麗な絵やった。


 いいや。綺麗すぎる絵やった。


 絵には説明文もついとった。それによると、書いた小学五年生が転校した先の町みたいやった。


 みんながその絵をほめとった。実際、ウチより上手く描けとったと思う。けど、気持ち悪かった。絵の具が全部偽善の色に染まって、無理矢理に美しくもないものっを美しく書いとるような、自分さえ偽って偽りを描き出しとるような、そんな気持ち悪さがずっと残っとった。


 ウチはその絵をみとるんが苦しくなって、トイレに駆け込んだ。


 そして、吐いた。


 ウチはその絵が本気で許せんかった。


 そして、絵を描いたやつを本気でぶん殴りたくなった。


 ウチはその絵を描いたやつの名前を覚えた。


 赤井南空という名前やった。




 次の年、赤井南空の絵を見た。


 賞にさえ入らんかった。


 所々聞こえた話によると、去年の絵を気に入った選考員が、今後の期待を込めて全国入りさせたものらしかった。


 ウチはその絵に圧倒された。


 背景を塗りつぶす、赤黒い色。その色は不気味な渦巻きを立ち上らせとった。その背景の中に映る一人の人物。でも、そいつの腕は何個も生えとって、手には包丁やら槍やら、えげつないもんが握られとった。どうやっても評価されんやろうし、評価されることを考えて書いた作品でもなかった。去年の赤井南空とは全然違うものやった。自分さえ偽っていた絵が、自分さえ制御できない何かに圧され続けたような、そんな印象を受けた。


 コイツになにがあったんや。


 そう怖くなると同時に、その絵の魅力に引き込まれた。人の力を超えた何かが赤井南空を動かしたんやと思った。




 次の年もまた、似たような、えげつない絵を描いた。幾つもの建物がごちゃごちゃになって、歩いとる人もごちゃごちゃやった。前衛芸術とまで言えるレベルで、多分、会場でこの絵を理解出来る奴はおらんかったと思う。


 ただ、ウチだけはアイツの心の中にあるもんが悪化したんやと思った。


 きっと、この世界を正しい形で捕らえるのを拒んどる。世界への否定がその絵の中にあった。


 誰もがその絵の前に立ち止まり、首をかしげて去っていった。ずっとその絵を懐かしむようにみとったんはウチだけやった。




 そして、今年の秋。そいつの絵はとうとう全国コンクールにでんようになった。


 赤井南空がどうしとるんかウチはちょっと心配になった。


 そして、先月。


 ウチは地方の絵画コンクールのインターネットサイトで一つの絵を見つけた。


 そそぎ灘っちゅう町の小さな地方コンクール。その大賞に一枚の絵が選ばれた。


 それはすごくありふれた、平凡な、何も面白くない絵やった。


 5人の女の子が仲良さそうに遊んどる絵。でも、どこか悲しさが滲んどった。なんでこんな気持ちになるんかは分からんかったけど、ウチはこの絵を見たような気がした。少しも似てはおらんへんけど、似たような絵をずっとみとったような――


 その絵の作者はソラとだけ書かれとった。


 でも、ウチには分かった。それが赤井南空の絵やってことが。


「普通の絵を描くようになってもたなぁ」


 でも、すごく輝いた絵やった。何もかも救われたという気持ちが現れているような。


 絵に映っとる5人の女の子は楽しそうに笑っとった。そこに何らかの思い入れがあるんやとウチは確信した。弱気な顔をした子を中心に、つり目の黒髪、金色の外国人、男っぽい女の子、そして、赤い髪のポニーテール。みんな幸せそうやった。


 この中に赤井南空がおるんやと思ったけど、ウチは気付く。


 絵を描いとる人間は絵の中に存在できへんことに。


「ほんと、儚い夢だと思わないパフか?」


「だれや!」


 急に声が聞こえたから、驚いて振り向く。そこには白いイタチみたいなやつがおった。


「パフィーは妖精パフ」


 初めて妖精をウチは見た。思った以上にブサイクな存在やった。


「赤井南空は死んだパフ」


「は?」


 んなバカな。


 ウチは信じられんかった。でも、信じてもうた。


 この絵はそういう意味なんか、と悟ってしまった。


「君は赤井南空――魔法少女ソラが何を想い死んで行ったのか知りたくないパフか?」


 ウチは知りたかった。アイツになにがあったんかを。


 そして、アイツの横に立ってみたかった。ウチはいつのまにかアイツに憧れとった。


「魔法少女になるパフ。猪口真理。魔法少女マリに」


 ウチは魔法少女になることを了承した。


 全てはアイツに、魔法少女ソラの隣に立つために――




「とまあ、昔語りはこんくらいでええやろ。ええ尺稼ぎやったしな」


「ちょっとといいかしら」


 魔女はウチを見下ろしながら言う。


「外伝的雰囲気だからばっさり言うけど、昔語りした後って大抵のキャラ、死ぬわよね」


 ウチは黙る。


 確かに、これまでの本編の進み具合からすると、あんまりええことはあらへんかった。


「というか、大抵その作品も過去語りして終わるわよね。没後から語ると何とも言えないあれになるし」


「流石関西の女やな。気が合うわ」


「しっかりと本編読んでた?私は関西人じゃないから。第2傷の過去編をしっかり読みなさい」


 どちらにせよ、もうおしゃべりの時間は終わりや。


「ま、ウチは案外しょぼい理由で魔法少女になった。それを後悔はしてない」


 でも、ソラに並び立ちたいという気持ちは少し薄れとる。


 ウチは銃を構える。


「あなたでは私に勝てないわ。そのことくらい分かっているでしょう」


「ああ。ようわかっとる」


 通常の戦姫では、ウチは遠距離型。それも攻撃の補助に重点を置かれた設定や。つまり、接近されると元も子もないし、危険が伴う。装甲も他の戦姫二人に比べると薄い。


「やから!最初から最後まで!クライマックスやで!」


 ウチは戦鬼を開放する。


 タイプ・センキには二つのモードが存在する。一つは通常モード、戦姫。そして、もう一つは、能力を無理矢理開放するモード、戦鬼。


 肩のアーマーから怪しげな光が漏れ出る。ドクドクと体の中に得体のしれんものが入ってくるんを感じる。


「世界を塗りつぶすで!『キュービック・ルーム』!」


 肩のアーマーから魔法が放たれる。


 世界を塗りつぶす魔法。結界魔法。それが戦鬼の正体――


「さあ!ずっとウチのターンや!」




 世界は急に色合いを変える。


 赤、青、緑、黄色、白、水色の6色ばかりで構成された世界。ビビッドカラーのタイルが敷き詰められたような世界を見て、私は目がちかちかするという感想しか持てなかった。


「!?」


 世界の奇抜さに驚いていたせいで私は相手が動き始めていることに、すぐには気付けないでいた。


「結界系の魔法。世界を塗りつぶす力。でも、ちょっと度が過ぎているんじゃないかしら」


 結界系の魔法の本質は術者の精神世界に相手を引きずり込むことにある。その世界の中では世界のルールが変わる。だが、今のところ、世界がどのようなルールで動いているのか分からない。


 まずはそれを確かめることから始めなければ――


「よそ見しとったら、死ぬで!」


 魔法少女は正方形状の空間に張り付いているいくつものパネルを踏みながら、私に近づいている。パネルは魔法少女が踏むたびに色の配列を変える。一見するとその配列に規則性はない。あるとしたら、決して同色が隣り合うことがないということくらいか。


「あなた、それでも、遠距離攻撃型なのかしら」


 私は今いる場所から飛び退く。私が別のパネルを踏んでも色が変わった。


 魔法少女は一直線に私のもとに向かってくると思いきや、右に大きく旋回するような行動をとる。私の攻撃をけん制しているにしては動きが妙だった。


 魔法少女が別のパネルを移動するたびに私の踏んでいるパネル以外は全て色を変える。前の色には戻らない。これもまた、一つの発見だった。


「つまり、このパネルに意味があるということかしら」


 色分けされていること、そして、どうも魔法少女はそのパネルに左右されて移動を制限されているのは明らかだった。


「まだ、分からないわね」


「頭使うだけではウチに勝てへんで!」


 魔法少女は私に向かって銃を構える。刺さっているのは赤いボトルだった。


 新たな魔法少女、戦姫には同系統の魔法による干渉での能力の打ち消しは効果がない。なので、私は具現化系にて壁を作り出すことにする。


 だが、それだけでは少し不安だった。


 今のところ、パネル関係についてしかこの世界のルールが分かっていない。


 雑魚魔女のように魔法を使えなくするくらいならまだいいものの、何か特殊なルールがあった場合のことを考えて注意するべきだ。魔法を少しでも体に受ければ即死であるルールや何かしらの、普段以上のデメリットが付与される可能性がある。


 魔法においては制限を受けない世界のようなので、私は作り出した壁から離れる。


 壁に魔法少女の赤いスプレーが降りかかる。


 その瞬間、壁は溶岩のように赤くなり、はじけ飛んだ。それとともにあり得ないほどの爆風が吹き荒れ、私は空間の奥まで吹き飛ばされる。


「おかしい……変質系でもない変化系でこれほどまでに威力があるだなんて――」


 恐らく、さきほどの魔法は物体の温度を変化させる魔法なのだろう。少し変質系よりの魔法であれど、溶岩のように物体を変化させるなど、普通の魔法ではない。それは魔法少女でも魔女でさえもできることではない。


「つまり、この世界だけのルールということね」


 魔法少女は私のもとに向かってくる。強化系で強化された脚力を使って、幾つものパネルを超えて、踏みつけながら、私のもとに向かってくる。


 私は魔法少女から逃げることにする。だが、この空間に逃げ道はない。結界を作り出した張本人が解除を命令するか、術者を倒してしまう他にはない。


 結界系の術者は結界内では神にも等しい存在となり得る。


 でも、デメリットがないわけでもない。


「あなた、さっき、赤いパネルばかり踏んでいたわね。その効果のおかげかしら」


 魔法少女は緑色のパネルばかりを踏んでいた。


 私もまた、赤いパネルを踏んでいく。一度踏んだ。そして、魔砲を放つ。


 魔法少女は素早く移動し、魔砲を回避すると、再び別の緑のパネルを踏もうとした。私は近くのパネルを踏む。青色だった。


 魔法少女が踏もうとしていたパネルが緑から白に変わる。魔法少女は急いで体をひねって、起動をずらし、手で緑色のパネルに触れた。


「なるほど。赤いパネルは攻撃の威力が上がる。そして、どうも同色のパネルを踏み続けないと効果がないみたいね」


 魔法少女が銃で攻撃をする。ボトルは水色に変えていた。ボトルから放たれたスプレーの液は空中で氷の塊となって私のもとに降り注ぐ。


「あなたが踏んだ緑のパネルは8枚。そして、降り注ぐ氷は計8個!」


 私は青色のパネルを踏むようにして逃げる。だが、目の前のパネルは目まぐるしく変わっていく。


「意地の悪い子ね」


 どうも一度攻撃を放つと効果は消えるらしい。故に、パネルの効果が消えたので、近くのパネルを手当たり次第踏んでいるようだった。


「ああ。でも、私、空を飛べたんだったわ」


 私は宙に浮かび、氷の球を避けきる。そして、タイミングを見計らい、青いパネルに着地した。色を変えられてしまわないうちに、魔法少女がパネルを踏んだ直後を見計らって、パネルを踏む。


「6色のパネルの効果が何であるのかはわからないけれど、試してみるほかになさそうね」


 結界系の魔法のデメリットは、術者もまた、世界のルールに縛られることだった。


 もし、速度が遅くなる結界内であれば、術者もまた、結界内では動きが遅くなる。そして、術者は必ず結界内に存在していなければならない。


「故に、互角、といいたいところだけど――」


 強化系により身体能力を上げている魔法少女の動きは素早い。そして、短い距離を跳んで移動すればいいだけだから、短距離においては私よりも早い。


 そして、魔法少女の武器である銃は私に近づかなくても私を攻撃できる。


 故に、強い。


 つまり、彼女の武装は結界内で相手を倒すために武装だった。


「ルールは平等。けれど、はじまりの時点ですでに平等ではない、と」


 私は思わず鼻で笑ってしまった。


「世界の不条理をそのまま再現したような空間ね」




 私は魔砲を放つ。どうもパネルは身体能力には影響しないようだった。影響があるのは攻撃する意志を持った攻撃のみ。つまり、殴る攻撃にはパネルのボーナスはあるけれど、移動などにはボーナスが出ない。


 計5枚のパネル攻撃。


 魔砲は目で追えないほどの速さで魔法少女に突き刺さる。


「ちっ」


 魔法少女は辛うじて攻撃をかわすが、右肩に魔砲を浴びる。装甲で守られているのでそれほどダメージはないようだった。


「もうルールが分かり始めたようやな」


「ええ。大体は。そして、あなたの時間制限についても」


 パネルは色が変わるごとに能力がリセットされていく。つまり、ボーナスがなくなる。そして、踏んだパネルによってそれぞれ効果が違う。その効果は枚数が増えるごとに威力を増す。枚数は無制限。効果は無限大。


「こんな常識はずれな能力、維持するのは難しいでしょう。それに、顔がブサイクな犬みたいだわ」


 遠くから見ても、魔法少女の異常がよく分かる。顔の血管は浮き、服の袖から伸びる腕にも太い血管が浮いている。そして、目つきは狂犬のようにギラギラしていた。


「まあ、な。もともと結界系なんて使えへん上に、無理矢理、薬で闘争本能を掻き立てられとるからな。もう、ウチは止まらへん」


「特攻フォームってやつかしら。そのくせ、冷静なのは癪なんだけど」


 私の目には魔法少女が闘争本能を制御しているように見えた。それは結界のルールの公平さゆえか。それとも――


「あなたに時間がないのは分かっているわ。だから、これは時間稼ぎだと思ってちょうだい」


 魔法少女は息を切らしながらも高速で移動を始める。私は足元のパネルを踏みまくって妨害するけど、魔法少女はなれているのか、すぐにパネルを数枚踏んでしまう。


「あなたは何のために戦っているの?あなたが言った、憧れの人に並び立ちたい、というだけではあなたを蝕む狂気を抑えられないと思うけれど」


 私は赤いパネルを中心に踏んでいく。魔法少女もまた、赤いパネルを踏んでいた。


 恐らく、最大最高の一撃で勝負を決めるつもりなのだろう。


 だから、私も最大最高の一撃で答えなければならない。


「そうやな。ウチは――」


 魔法少女は止まり、銃を私の方へと向ける。黒いボトルを装備していた。


「きっと、あいつらが好きやった。やから、守りたいと思った。あいつらの願いを叶えてやりたいってな」


 魔法少女は引き金を引く。銃から極大の黒い魔砲が放たれた。


「世界を敵に回しても、なのね。ただ、ともだち想いの気持ちだけは私も負けてないから!」


 私は魔方陣を展開する。魔砲の上にさらに強化系の魔法を重ね掛けする。


「だから!退いてもらう!」


 私の魔砲は最大最高をもって放たれた。


 私と魔法少女の魔砲はぶつかり合い、干渉する。


 魔法少女の干渉無効はこの結界内では反応しない。戦姫たちの干渉無効は結界系の応用によるものだった。だが、結界系内で、特に自らの結界内で結界を新たに張ることはできない。つまり、彼女たちは戦鬼を使う際、最大にして最高の優位を捨てていた。


「そこまでして、守りたいものなの?」


 正方形の空間はぶつかり合う光に飲み込まれて行った。

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