第13歌 魔法少女倶楽部 part3

 第13歌 魔法少女倶楽部 part3






「さて!我が同胞たちよ!とうとう宴の時が来た!」


 暗い部屋で息を潜めていた男たちは各々に叫び声をあげる。


「まあ、沈まれ。ここで己を開放してしまえばクズな作者の二の前ではなかろうか!」


 密かに嘲笑う声がこだました。


「解説も何もいらないという読者のための総集編だ。さて、どこから始めようか」


 男はスクリーンに映像を映す。


「まず、第1歌から第12歌までを振り返ってみよう。要約すると、心に傷を負ったキャラクターたちがそれぞれの道を歩むというものだ。そしてフキは過去へと飛んだ」


「あの、質問があるんだけど」


「なんだね」


「第12歌でフキの服がなくなったじゃないですか。あれは矛盾しないんですか」


「ああ。矛盾しない。なぜなら、ここに10年間瓶詰にされていた衣服があるからだ」


 おおお、と驚愕の声が上がる。


「先刻、とある少女から寄贈していただいたものだ。10年来丁寧に保存していたことがうかがえる一品。さて。何円で買い取る?」




『って、何してくれてるんですか!』




「では、新しいキャラクターである魔女について解説していこう。つい最近までその存在は不明とされてきたが、とうとう我々に明示された。魔女とは心の花の一部を残された魔法少女の残骸だったのだ!」


 そこで、ひとりの少女の姿が映し出される。


「彼女はコルト・パイソン。これは第一唱にて消失した魔法少女だ。詳細はスピンオフか外伝を参照のこと。我々はもっと特殊な観点から観察していかなければならない」


 次に写されたのはコルトの背面であった。


「見ての通り、背中が防御力ゼロではないか!」


「オオ!穢れ一つない肌!」




『テメェら今すぐぶっ飛ばすぞ』




「次に、新たに確認された――」


「何か楽しそうなことをしているね。ぱf……私も混ぜてくれないかな?」


 開け放たれた扉から現れたのは白い衣に身を包んだ少女だった。


「君は一体……」


「ここはフラグだから、伏せておいて欲しいかな。それより、私たちに協力して欲しいんだ」


 男たちは一歩後じさる。


「お願い。おにいたまたち」


 少女のウインクは男たちの心を簡単に射抜いた。


「是非とも協力させてください!」


 男たちは一斉に少女に向けて土下座をする。男たちはちらと少女のスカートの中を見ていたが、少女は気にもしていなかった。


「さて。次なる幕までしばし、愚者の舞をご覧あれ……」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る