第44話

体育館裏倉庫___


ガラガラ_、


角倉「もうすぐか?運動部が戻って来るの……?」


角倉は倉庫の中に入り、中で黒いビニール袋の中から真っ青な表情の八木を引っ張り出す。


詩織「えぇ…、」


上村は眉をひそめながら不安な面持ちでそれを見つめる。


角倉「…それ…貸せ…、」


詩織「……うん……、」


角倉が手際良く軍手を装着すると、上村が持っていたマイバットを要求する。


遊也「う…うぅ……う……、」


角倉「…周り見張ってろよ…すぐに終わる……、」


詩織「……えぇ…後はよろしく……、」


ガラガラ__、


上村はゆっくりと閉まっていく倉庫の扉の隙間から“未だ微かに意識が残っていた”八木を冷たい目で最後まで見届けた___、


その後すぐに、倉庫内からグチュッと生肉を叩いたかのような鈍い音が1〜2分程続いた___。



ガラガラ__、


倉庫の扉がゆっくりと開いていく。


角倉「…どうだ…?」


詩織「問題ないわ……さ、戻りましょう……、」


角倉は無惨に血まみれに染まったバットを予め用意してあった黒いビニール袋にしまうと、辺りを警戒しながら上村と共に裏門に移動する___。





潮彩高校裏門___

PM20:10______


角倉「……もう待ち構えてやがる……、」


詩織(……カレンさん……、)


二人が裏門から出る前に、すでに水嶋は両手を組みながら裏門のフェンス辺りにじっと佇んでいた。


カレン「ご苦労様…まずはこれ…約束の報酬……、」


水嶋は紙袋を角倉の前に突きつける。


角倉「……ふん、20万か……随分と安い命だな……、」


カレン「八木 遊也は…その額で十分……もしアンタが不満なら倍…上乗せしてあげてもいいけど……、」


角倉「いや、遠慮しとく……充分すぎる額だ……、」


角倉は紙袋の中身を確認して、そう吐き捨てながら水嶋の脇を通り過ぎて行く。


角倉「で…“これ”はどうする?」


角倉は水嶋の背後から黒いビニール袋に包んだ血まみれのバットを差し出す。


水嶋「あとでメールで指定した場所に適当に捨てといて……、」


水嶋は振り向く素振りも見せずにそう言い捨てる。


角倉「……了解………また何かあったら連絡してくれ……、」


角倉はゆっくりと裏門から去って行った___。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る