第26話
「田城ー、」
優「えっ、」
「前川…呼んでるぜ?事情聴取だとよ、」
1組の男子生徒が優を呼びに来た。
優「あ、俺…行かなきゃ……、」
カレン「ありのままのことを話した方がいいよ……、」
優「う、うん…、」
優はそのまま席を外し、購買所を後にした。
カレン「………………………………、」
去って行く優を心配そうな面持ちで水嶋は見つめていた。
明日香「ねぇ?アンタ?」
カレン「………?」
水嶋の背後からゆっくりと佐々木と渡辺が歩み寄ってくる。
カレン「……何……?」
明日香「アンタ…名前なんだっけ?確かハーフタレントみたいな名前だったよね……なんだっけ…ローラ、マギー、ベッキーみたいな……、」
佐々木は全く見当違いの名前をわざとらしく聞いてきた。
カレン「水嶋カレンだよ……存在感薄くてごめんね……、」
明日香「………、」
佐々木は一瞬水嶋を睨みつける。
明日香「ねぇ?アンタさ?いま金…持ってない?今月ウチピンチでさー、とりあえず1万貸してほしいの……、」
佐々木は猫なで声でゆっくりと話しながら水嶋と向かい合うように席に座った。
カレン「……1万か…ずいぶんリッチな昼食でも食べるんだね…、」
水嶋はずっと変わらぬトーンで話し続ける。
明日香「別に何食おうかなんていいじゃない?…ねぇ、1万貸してくれない?」
佐々木が少しずつ苛立つ。
カレン「いま手持ち3千円しかないから…教室にあるから取ってくるよ……、」
水嶋はそれだけ伝えるとゆっくりと腰を上げ、購買所から離れようとした。
理好奈「ね、ねぇ?いきなり転入早々酷くない?…1万なんて…か、可哀想だよ……?」
渡辺は眉をひそめながら弱々しく佐々木に聞いた。
明日香「いいのよ…元々転入早々気に食わなかったし…ああいう気取った女見ると腹立つの…如何にもアタシ、他の子とは違うからって感じがさ……1万なんて安いもんよ……世間の厳しさってもんを教えてやるわ……、」
明日香はテーブルに頬杖を付きながら、ニヤニヤしながら嫌味ったらしく呟いた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます