第23話

1階廊下__

PM12:10__


未だ3つのクラスで立て続けに事情聴取が行われる中、優は一人重い腰を上げ、購買に向かっていた_、


雅紀「あ…田城……、」


優「ま、……長谷川……、」


普段は八木の前でのみ雅紀と呼び捨てしていたのでその会話の癖で雅紀と言いかけたがすぐに言い直した。


雅紀「……八木……殺されたって……仲良かったよな?お前ら……、」


神経質そうに眼鏡を調節しながら、何かを疑うように優に問いただす長谷川。


優「ま、まぁ…うん……仲良かったけど……え、疑ってる…の?俺を?」


雅紀「別にそういう訳じゃねぇよ……仲良かったから…なんか知ってんのかなってさ……、」


優「俺も何も知らないんだよ……、」


雅紀「俺…もう警察の事情聴取受けたんだけどさ、警察にお前らが仲良いこと言ったからな?」


優「はぁ!?お前…なに勝手に…、」


雅紀「いや…だってお前らほんとに仲良いじゃん……え、聞かれたらまずいことでもあんの……?」


長谷川はどういう訳か何か見下したような目付きで優を見つめる。


優「……ねぇよ…全部正直に言うけどな……、」


優は何か腑に落ちない感じだった。


?「雅紀くん!」


優·雅紀「?」


優と長谷川の背後から黒髪のセミロングで少し落ち着いた端正な顔立ちのいかにも妹系の女子:上村 詩織が走ってきた。


優(うわ、何あの子…可愛い……、)


男の本能だろうか、咄嗟に優がそう思ってしまう程可愛らしい子だった。


雅紀「詩織…あんま大声で呼ぶなって…ったく…、」


優(んだコイツ…、)


長谷川はやれやれと言わんばかりの表情を浮かべながら水嶋をチラ見する。

その感じが何とも癪に障る。


詩織「一緒にお昼食べよって言ったのに待ってくれなかったから……、」


上村は二段重ねの弁当箱を両手で持ちながら俯きながら頬を膨らます。


雅紀「大丈夫だって…俺、“詩織と一緒に飯食ってる時が一番幸せ”だと思ってるから…心配すんなよ…、」


優(えぇぇ…ちょっとコイツマジなん……、)


優は引きつった顔でその様子をただ見つめていた。


優「お、俺…そろそろ事情聴取あるかもしんないから…行くわ…、」


長谷川と上村のイチャイチャする感じに嫌気がさした優は足早に二人の脇を通り過ぎる。


詩織「今の人……誰さん?」


雅紀「…ん?……田城 優……冴えねぇ奴だよ……、」


見た目は完全に冴えない長谷川がそう吐き捨てた。



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