混沌の牢屋
なんか捕まったら右隣のろうやにタコみたいなおっさんがいる! マジヤベーって! てか俺薬まだ抜けてないのかよ!?
俺は薬中だ。それで捕まったってわけ、だけどまあ取り調べ中に少しは抜けるもんじゃん。いつもならもう抜けてしまうくらいは時間経ってんのに明らかに顔がタコなんだよな。オタクの薬中仲間がよくやってたクトゥルフ?とかいうゲームに出て来るっていうキャラそっくりだ。現実なら俺じゃなくてオタクの仲間のとこに出てくれ。幻覚ならそんなのを意識に刻んできたオタク一生呪う、出所したらすぐ文句言いに行くからな!
「あの、……」
うわ、喋りかけてきた……。喋る幻覚はそこそこヤバい。精神。いや、もしかして現実なのか。なんかメチャクチャ不安になってきた。吐きそうだ。トイレが中にあってよかった。すぐ吐ける。
「あなたも私の顔がまともに見えてらっしゃらないのですか? 私もあなたの顔はよくわかりません」
「あ、はい、ええと顔が緑でタコのように見えています。私もあなたから見るとおかしく見えているのですか?」
「はい。認識できません」
絶対隣の奴も薬中だ、間違いない。それか頭おかしいだけの奴かもしれない。俺はペタペタと自分の顔を触る。人間の顔だ。俺の顔はある。でも同じような幻覚を共有することってあるのか? 怖くなって置いてあった毛布被ってガタガタ震えてたらいつの間にか寝てた。
少し寝たら隣はいなくなってた。それにちゃんと人間の顔の人がいたと思い出すことができた。もう薬はやめる!!!そんでヤベー幻覚を見るようなハメになった原因のアイツは殴る!!!
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