第10話(最終回) 崖 約束
あらすじ
ユイと子ギツネは銃声が鳴り響く中、狩人から必死に逃げた。それからしばらく、いつの間にか銃声が聞こえなくなったユイは後ろを振り向き狩人がついてきていないことを確認する。しかし、その先には’’崖’’があった。
「危ない!ユイちゃん!」
「えっ!?」
ユイは前を向くとすぐそこに崖があった。ユイは走るのをやめようとするが、足が疲れ果ててしまい、止めることができなかった。そして...
「うわぁぁぁ!!!」
「ユイちゃん!」
ユイはそのまま崖に突っ込んでしまい、落ちようとしていた。そのとき、ユイの右手がぎゅっとつかまれた。ユイの右手をつかんだのは子ギツネだった。子ギツネは、おなかを地面につけ、両手をのばしてユイの手を必死につかんでいる。
「うぅ…だ、大丈夫…?」
「う、うん!大丈夫!」
子ギツネはきつそうにしている。それもそう、人間と子ギツネの力と体重は全く違うのだ。子ギツネはユイの手を掴んだが、持ち上げることができない。
「うぅ…ダメだ…」
「キツネさん…」
ユイはきつそうな子ギツネを見て何か手はないかと思い、恐る恐る下を見る。そこは高さ50mくらいの崖だった。そしてユイは気づいた。
「あ、下にネットが貼ってある!」
「うん、そうだね…」
崖の下には安全用の緑色のネットが敷かれている。
「キツネさん!一緒に飛び降りよう!」
ユイはそういうと…何気ない顔で子ギツネは
「う、うん…」
といった。
「キツネさん…?どうしたの、私とキツネさんなら怖くないよ!」
子ギツネはユイの手を抱えながら俯いた。そして…
「…ごめんねユイちゃん。こんなことに巻き込んじゃって…僕、やっぱりユイちゃんを危険な目に合わせたくないんだ」
「えっ…?」
「あの人達は僕を狙っているんだ」
「キツネさん…何を言ってるの…?」
子ギツネはユイを見つめる。
「…ユイちゃんは、先に逃げてて」
「え!?」
ユイは、驚いた顔をした。
「でも、そしたらキツネさんは…」
「大丈夫!僕なら心配いらないよ」
「で…でも…」
ユイは涙目になった。
「絶対に大丈夫!…だから…だから…」
子ギツネも涙を流す。
「ユイちゃん、また絶対に会おう!絶対に…絶対にユイちゃんのところに行くから!約束だよ!」
「…うん!約束…!」
そうユイが言うとキツネは手を離した。ユイはふわっと落ちて行く。
「じゃあね。ユイちゃん…」
ユイの体はどんどん落下速度が増して言った。ユイは涙を流し、キツネが見えなくなってしまった頃、ユイの視界は何も見えなくなった。
「うぅ…頭が…痛い…」
ユイは目覚めた。ユイはネットの上で横たわっていた。ユイは頭から落ちてしまったものの、ネットの下には雪があり、それはネットと一緒にクッションとなって衝撃を抑えていた。
「…キツネ…さ…ん…」
ユイは頭がぼーっとしてしまっている。しかし、ユイはネットを降りて歩いた。ユイの視界はクラクラしており、何も見えていない。それでもユイは友達を探すために、歩き続けるのであった。
ユイと子ギツネ(一期) キオギツネ @kiogitune
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます