第7話 お父さん

前回のあらすじ

キツネとやっとのことで会えたユイ。しかしキツネさんの様子がおかしく、いきなりユイに飛び乗った。そしてとてつもなく大きな音がした。そこにいたのは沢山の人影…



その人影の一番真ん中にいた人が持っていたものは、大きく長い鉄の銃だった。銃口からは黒い煙が出ている。

「ユイちゃん!大丈夫!?」

「う、うん…何が起きたの?」

ユイは何が起こったのかよく分からなかった。

「おいおい、お前ここで何しているんだ?」

どこからかユイの知っている声が聞こえる。ユイは人影の人たちの顔を見ると、中央より2左の人、その人影はなんと、ユイのお父さんであった。

「お…お父さん…!?」

お父さんは見慣れない格好をしている。そこらじゃ売っていない白黒の迷彩の服、帽子、靴、全部の迷彩が白黒である。左腰には大きなロープを持っている。

「あーあ、大人しく家にこもっていればよかったのに、ここまで俺の言うことを聞かないとは、まったくいつからそんな悪い子になってしまったんだろうね」

その時のお父さんの目はまるでユイを他人で見るような目をしていた。キツネはユイの前に立った。

「ユイ、何か言うことはあるよな?」

「ユイちゃん…」

ユイは座り込んで頭を下げて泣きながら言った。

「…お父さん…ごめんなさい!本当にごめんなさい…私、もう家の中で一人でいるのが怖かったんです…だから、外に出てキツネさんにあって来たんです…。だからお願いします!このことは秘密にしてください!家事でも料理でもなんでもします…お願いします!」

「ほう、家事でも料理でもするか…まあ良さそうだが、残念ながらもうその秘密をする必要はないのだよユイ」

「え…」

「なぜなら…お前はもう、俺の家族じゃないからだ」

ユイはその言葉を聞いてすごく驚いた顔をした。

「ユイ、お前は俺にとって凶悪すぎる存在だ。少し前までだったらまだ間に合ったんだがな。…いや、もうその前から手遅れだったのかもしれんな」

「ど…どう言うことだ!ユイちゃんは何もしていないじゃないか!」

キツネが問いかける

「そう、ユイは何もしていない。だが、何もしてなさすぎた。何も知識を得ず、何も現実を知らない」

「…!?」

「ユイ、俺はお前を立派な狩人にしたかったんだよ。この森の中で暮らすためには、動物を殺して生きていくと言う高度でかつ危険な行為をしなくてはいけないのだよ。そしていちばん大切なことが、命を奪うと言う罪悪感を一切感じることがない精神力が必要だったんだよ。…だがユイ、お前は俺の想像をはるかに上回った行動をした。動物の怪我を治したり、今のように動物と友達になったり。お前は動物と心が通じ合っているとでも言うのか。そんなお前に、狩人という仕事ができるわけがない」

「かりうど…ってなに?一体…なんのために動物たちを殺すの?」

「…」

「…」

「…」

ユイがそう発言すると森の中全体が静まった。

「ああ…そうか!そういうことか!」

いきなり気が狂ったようにお父さんが叫んだ。

「ユイ、俺は何度も考えた。なぜお前がなんのためらいもなく動物に近づき、人間のようにふるまおうとするのか!俺はユイになにか足りないものがあるのではないかと考えたんだ!そして…今、その足りないものがやっとわかった。…だが、もう俺の理想のユイはいないし、作れもしない。だが、お前はこの先これを聞いたら変わるかもしれない。いいだろう、教えてやろう」

ユイはこの時、ありもしない最大の恐怖を感じた。前身を震えさせるような巨大すぎる恐怖。ユイはその恐怖を噛み締め、お父さんの話を聞いた。


「この世界のルールだ。よく覚えておけ。それは…

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