第6話 再会
前回のあらすじ
キツネから送られた小さい松ぼっくりを見て不安に感じたユイは、キツネさんのところに行くと決心した。
翌日、やはり家には誰もいなく、ユイの姿しかなかった。あれからもう一週間は立っている。ユイは素早く外に出る準備をしている。
「…あれ?」
ユイは窓の外を見て驚いた。今まで、まだ夏で外は暖かかったはずなのに外は雪が降っていた。
「雪が降ってる…今日は外が寒くなりそう」
太陽の光も雪雲に遮られ外は午後のように暗い。
「でも…行かなきゃ。キツネさんが待ってる」
ユイは赤い毛皮の帽子と赤い手袋を着て、リュックの中に青い大きなコートと赤いマフラーを持っていった。
「よし、行こう」
ユイは家族の約束をここで初めて破ってしまうのです。しかし、ユイはその足を止めることなどは全く考えていなかったのです。
「出かけている時に、お父さんとお母さんが帰ってきたら怒られるけど…それはそれで私は安心できる。でも今は…」
ユイは歯を食いしばって外に続く扉を開けた。
外の雪は、一粒一粒が少し大きいがそこまで荒れた振り方をしていない雪である。その中一人で、雪の地面を一歩ずつ歩いていく。キツネさんのいるところへ。ユイの帽子やリュックに雪が積もっていく。積もっている雪が多くなっており、ユイの足を雪の地面が持っていく。ユイは足が埋もれながらもゆっくり目的地へと向かった。
「えっと…キツネさんの場所は、こっちかな」
と、今どこにいるか、方向はどっちかなどを正確に把握しながら進んでいく。森の中はいつも以上に静かで雪が降り積もる小さな音とユイの足が雪の地面に埋もれる少し大きい音しか聞こえない。
歩いていると、
(ザワザワ…)
とユイの右側から音がした。
「…だれかそこにいるの?」
と右を見ると森の大きな木と木の間に人影が少しだけ見えた。しかしその人影はすぐに木に隠れてしまった。
「だれだったんだろう…いや、そんなことよりキツネさんのところに行かないと」
ユイはそのあと、人影を気にすることなく進んでいった。
「はぁ、ついた!」
ユイはキツネと遊ぶ「いつもの場所」に着いた。そこはキツネと最初に出会った森の中にある少し広い空き地。しかしそこにはキツネの姿がなかった。ユイは大きい岩にリュックを置いた。
「少し寒いな…薄着で来すぎちゃった」
ユイはリュックの中から青い大きなコートを着た。
「マフラーはキツネさんに残しておこう」
ユイはリュックを岩の上に置き、マフラーを手に取った。
「おーい!キツネさーん!私来たよー!」
とユイは叫んだ。…キツネは来ない。
「おーい!キツネさーん!…」
ユイはまた同じように3回叫んだ。
「おーい!…」
ユイの声が森全体に響き渡る。
すると、ユイの真正面の木と木の間から影が見えた。その影は小さく、こっちにすごい速さで向かって来ている。
「あ、あれキツネさん?おーい!」
そう、その影はユイの思った通りキツネであった。キツネはユイの前まで来ると走るのをやめて止まった。
「やっと会えた!キツネさん、久しぶりだね!」
とユイは言った。…しかしキツネの様子がおかしい。キツネはユイを見て驚いた顔をしている。キツネは汗を垂らし、息をはぁはぁと切らしている。
「え…ユ…ユイちゃん…!?」
キツネは一歩後ずさりする。
「うん!私だよ!やっと会えたよ、よかったー…もう会えないかと思ったよ。さあいっしょに遊ぼう!」
「えっ…」
キツネはまた一歩後ずさりする。
それに続いてユイは前に一歩前進する。
「キツネさん?どうしたの?」
「えっ、ちょっ…ちょっと今は…」
「…?」
キツネはまた一歩後ずさりをする。
その時!
(カチャッ)
「!危ないユイちゃん!」
「え!?」
(ドスンッ!)
突然、キツネがユイの胸元に飛び乗って来た。すると…
(バキューン!)
「!?」
ものすごい音がユイの耳に響き渡った。その音はユイだけでなく森の中全体に音が広がった。その音と同時にユイの帽子がものすごい勢いで飛んで行った。ユイはキツネといっしょに後ろへ倒れこむ。その時、ユイの視界に見えたもの。キツネの後ろにそれはいつのまにかいた。それは沢山の人影だった。人影は9個くらいにみえた。その人影の一番真ん中にいた人が持っていたものは…
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