第4話 メッセージ

前回のあらすじ

帰るのが遅いと言われたユイはお父さんが帰ってくるまで家出禁止になってしまった。


翌日、

「ユイ!朝ごはんよー起きてー!」

お母さんの声がリビングから聞こえる。ユイはお母さんの声を聞いて起きた。ユイは部屋を出てすぐにリビングに向かった。

リビングに行くとお母さんと机の上にお母さんが作ってくれたクリームスープが2つある。周りを見渡すとお父さんはいない。

「ユイ、おはよう」

「…」

ユイは眠そうにしている。いや、浮かない顔をしている。

「ユイ、ご飯食べたらお風呂入ったらどう?」

「…うん」

ユナは昨日帰って部屋に引きこもってお風呂にも入っていなかった。

ユイはご飯を食べ、お風呂も入り、さっぱりしたかと思いきや、やはり浮かない顔をしている。すると…

「ユイ、そんなに落ち込むことってあるの?何かあったらお母さんに言うのよ」

「…なにもない」

「ユイ…」

ユイは自分の部屋に入って布団の上で本を読んだ。


それから何も起きず、夜になった。ユイは、ある計画を実行しようとしていた。その計画は、お母さんが寝ている真夜中にこっそり家を出ると言う計画だった。

「よし、準備は万全!待っててねキツネさん」

と静かに部屋の扉を開ける。

「…」

部屋の中はすごく静かだ。今の時間は夜の2時、すごい真夜中でお母さんも寝ている。

「キツネさん…私のこと心配してるんだろうな…」

と物音を立てずに廊下に続く扉を開ける。そして廊下を忍び足で渡り、外に出る扉を開ける。

「よし!ここまで行けた!」

ユイは外に出る扉の手前まで来た。

「ふぅ…よし、行こう!」

ユイは懐中電灯を持って外に続く扉を開けた。外は真っ暗で何も見えない。

ユナは懐中電灯をつけようとしたが、

「あれ?この懐中電灯どこ押せばいいのかな?」

ユイの今持っている懐中電灯はリビングから勝手に取ったものため、ユイは使い方を知らなかった。

「ここかな?うわぁ!?!」

懐中電灯についてたおおきな黄色いボタンを押すとものすごい光がユナを照らし、ユナはびっくりして腰を抜かし、懐中電灯を落とした。

(まずい!)

懐中電灯を落とした音が結構大きかったがお母さんは幸いにも起きなかったようだ。

「はぁ…びっくりした」

懐中電灯は扉の向こうを照らしている。

「ん?」

ユナは懐中電灯を拾おうとした時、懐中電灯が照らす先に何か物が置かれていた。それは、大人の手のひらサイズの大きさの松ぼっくりだった。

「これって…もしかして…」

ユナは察した。これはキツネさんのメッセージだ、と。もちろんそれはキツネがやったもの。玄関前に大きい松ぼっくりを置いていくのはキツネしかいないからだ。

「…うん、わかった。キツネさんはまだ待ってくれるんだね。ごめんねキツネさん、私が戻ってくるまで待っててね。その時はちゃんと謝るから…約束、守れなくてごめんね」

ユイは少し元気が出た。そしてお父さんが帰ってくるまで待つと決めた。


それからユイは松ぼっくりと懐中電灯を持って自分の部屋に戻り、ベットの中に入った。

「キツネさん…今頃何をしているんだろう…」

ユイは目を閉じて寝落ちてしまった。


あの時のことはユイでもわからなかった。なぜあの松ぼっくりでキツネが待ってくれるとわかったのか。あの松ぼっくりになにかがあったのか…それは、ユイにしかわからないことである。

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