22#みんなで揃って『儀式』!!

 「あ、『不死鳥』クジャクのジャニスさん。こんな能力あったの?!」


 フラミンゴのベキィはキラキラと輝き、まだあの奇跡の余韻が残るクジャクのジャニスの側に降り立った。


 「貴女、生まれ故郷のあふりかに帰るって、ホント?!」


 「うん・・・あのアホウドリのソアラさん・・・皆にブーイングされても最後は仲良く打ち解けたのを見て、私勇気が沸いてきたの。

 やっぱり、『私』から逃げないで『私』と正面に向き合うの。」


 「えらいね。フラミンゴさんは・・・」


 クジャクのジャニスは、あの身体に風船を付けて同行した『バードランド』でフラミンゴのベキィが死んだ『不倫相手』のショーの霊と再開した時を思い出していた。


 「でね、私の心を成長させてくれたこの湖を、今一度観たいとずっとここ周辺を飛び回ってたの。あの山脈からここまで。」



 ふうわり・・・



 ドテッ!!ギッタンバッコン!!ドドドド!!ズテッ!!


 「女王様ぁーーーーー!!例の風船岩何で用意しなかったの?!」


 「その声は?!」


 飛んできて不時着したアホウドリのソアラは、腹這いになってバタバタと暴れていた。


 「起き上がれない!!起こして!!起こして!!」


 「はいよ!!アホウドリさん。」


 ハクチョウの女王様は嘴で、アホウドリのソアラをバタンと起こした。


 「ごめんねー!!アホウドリさん。まさか来るとは思わなかったの!!」


 「女王様!!俺も『儀式』出るって前から言ってたでしょ?!」


 アホウドリのソアラは、嘴をカチカチ鳴らしてイライラした口調で言った。




 ばさばさばさばさばさばさばさばさばさばさ・・・



 「こんちはです!!女王様!!」


 「女王様!!逢いたかったです!!」


 上空から、ヒドリガモのカロとウミガラスのアデルがやって来た。


 「ヒドリガモさん。レンコン畑の件。順調?」


 「女王様!!おかげさまで・・・」



 ばっ!!



 「女王様!!僕を弟子にしてください!!」


 ウミガラスのアデルは、ハクチョウの女王の前で土下座して頼んだ。


 「修行・・・ね。ごめんね。この『儀式』終わったら、王様と子作りするのよ。産んだ卵暖めるので忙しいから、また今度ね。」


 「だって!!ウミガラス。残念だったな。」


 しょんぼりするウミガラスのアデルの後で、女王様の子のブルンガ大王が『能力鳥』と一緒にやって来ていた。


 「女王様・・・今だけ『ママ』て呼んでいいか?」


 「いいわよ。おかえりなさい。」


 息子のブルンガ大王にニッコリした女王様は、嘴と嘴でキスをして再会のの挨拶をした。


 「ウミガラスにママへ修行するように言ったのは、俺だ。住処の海の漂泊ゴミを波の障壁に変換したいんだと。

 ゴム風船に変換させてくれりゃ、俺の『バードランド』で使えるんだけどな。」


 「ゴム風船でいいです!!波の障壁はそれっきりだから、ゴム風船に変換すれば、ハクチョウのブルンガさんが取りに来るて。」


 「え?俺が?」


 「まあまあ、今は落ち着いて。『儀式』なんだし、一緒に膨らまそうゴム風船!!」


 「ゴム風船?俺!肺活量に自信あるぞ!!」


 ・・・『儀式』が宗教臭いと、この湖を出ていったブルンガ・・・


 ・・・結局、風船恋しさに帰ってきたんだ・・・


 ハクチョウのブルンガ大王は、鼻の孔をふん!ふん!と気合いを入れた。



 ばさばさばさばさばさばさ・・・



 「俺らも来た!!」


 「あ!!『風船カモメ倶楽部』の皆さん!!」


 「俺ら『儀式』やると聞いて、風船を思いっきり膨らませられるから!!来ちゃった!!」


 セグロカモメのトフミ隊長が目をキラキラ輝かせて、ハクチョウの女王様を見詰めた。


 「風船!!風船!!風船!!風船!!風船!!風船!!風船!!風船!!風船!!風船!!風船!!風船!!風船!!風船!!風船!!風船!!風船!!風船!!風船!!風船!!風船!!風船!!風船!!風船!!風船!!」


 「俺!!風船嫌ぁーーーーー!!風船割れる音嫌ぁーーーーー!!」


 「お前もやるんだよ!!『儀式』!!」


 鳥達が『儀式』で膨らまし割る風船をせがむ中、激しく取り乱して嫌々するガチョウのブンを羽交締めして、マガモのマガークとアヒルのピッピがやってきた。


 「みんなーーー!!おまちかね!!『儀式』で膨らますゴム風船を配りまーす!!

 好きな色選んでねーーー!!」


 ハクチョウの女王様は、鳥達に『儀式』に使うゴム風船を配った。


 「おひとり一個までよ!!カワウのアルゼ君!!何個も風船取らないの!!」


 ゴム風船は、全部の鳥達に行き渡った。


 鳥達は渡されたゴム風船を翼で引っ張って鞣したりして、早く膨らましたくて興奮状態だ。


 ハクチョウの王様と息子のブルンガ大王は、


 「パパ、俺の方が先に膨らまし割る自信あるからね!!」


 「ブルンガ、あたし風船の王様として息子のあんたに受けてたつよ!!」


 マガモのマガークと『能力鳥』マガモのリヤンは、


 「おい、マガモ同士どっちが大きく膨らませられるかだ。」


 「俺は『干潟作る能力』使ってでも大きく膨らまして派手にパンクさせてやるぜ!!」


 既にライバル同士火花を散らす鳥達。


 「カワセミ!体が小さい僕達は、共闘で1つの風船に嘴突っ込んで膨らまそうぜ!!」


 「ほいきたアカショウビン!お互い風船しっかり付かんで空気漏らすなよ。」


 「トキのモモだっけ。『時を戻す』能力で、自分だけ早く膨らまし割るとかしないだろな?」


 「するかアホウドリ!!『アホウ』な事して膨らますの妨害するなよ。」


 「まあまあ、トキさんアホウドリさん。『絆の儀式』なんだから、喧嘩は駄目だよ。」「はーい。」「アヒルさんごめんなさい。」

 

 「じゃあ、準備いい?」


 「いいぜぇー!!」


 「おっけい!!」


 皆の返事が聞こえた。


 「じゃあ、息を深く吸って、吸って、吸ってぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーー!!!

 せぇーーーーーーーのぉっ!!!



 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!


 ハクチョウの女王様と王様、息子のブルンガ大王は白い風船。


 アヒルのピッピは、肌色の風船。


 マガモのマガークとリヤンは、緑色の風船。


 カルガモのガスタは、赤い風船。


 ハシボソガラスのカーキチとカースケは、黒い風船。


 ウミガラスのアデルは、透明な風船。


 コクチョウのブラッキィは、オレンジ色の風船。


 カナダガンのポピンは、紫色の風船。


 フラミンゴのベキィは、ピンク色の風船。


 クジャクのジャニスは、青い風船。


 ヒドリガモのカロは、黄色い風船。


 アオサギのニードルは、水色の風船。


 カワウのアルゼは、黄色い風船。


 トビのバークは、茶色の風船。


 トキのモモは、ピンク色の風船。


 カワセミのタックとアカショウビンのピルは、黄緑の風船。


 そして、セグロカモメのトフミ隊長と『風船カモメ倶楽部』の面々は皆、赤い風船。


 其々の鳥達は気嚢に渾身の肺活量を込めて、それぞれの色のゴム風船を大きく大きく大きく頬を膨らまし顔を真っ赤にして嘴でありったけの息を入れて膨らました。



 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!! 

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!




 まだまだ膨らむ。



 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!! 

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!! 

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!




 もうちょっと。



 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!! 

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!! 

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!! 

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!! 

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!




 もうパンパンだ。



 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!! 

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!! 

 ぷぅーーーーーーーーーーーっ!!



 パァーーーーーン!!


 パァーーーーーン!!


 パァーーーーーン!!


 パァーーーーーン!!


 パァーーーーーン!!



 鳥達が嘴で息を入れて膨らませて大きくなりすぎたゴム風船は、次々と破裂した。


 しかし、風船が割れる音が大の苦手のガチョウのブンは、少し膨らましてはすぐにぷしゅーっ!!と萎ませた。


 「またブンか。」


 「まーたガチョウのブンが風船が割れるの怖くて、膨らますの戸惑ってるよ?!」


 「ねえ、ブン!膨らます気がないなら、この儀式が成立しないし、女王様に『ぺしぺし』されるどころでは済まなくなるよ。

 今度は王様にも『ぺしぺし』されるよ?それでもいいの?!」


 


 「ひいいいいいいいっ!!」


 ガチョウのブンはその場から逃げたが、マガモのマガークは風船を膨らませながら、ブンを追いかけまわした。


 「ほら逃げんなよーー!!割っちゃうぞーー!!」


 その逃走劇に、周りの鳥達はやんややんやと笑い転げた。


 「頑張れーガチョウ!!」


 「割っちゃえカモ!!」


 風船を膨らませながらどんどん追いかけていくマガークから、もう逃げられない!!と悟ったブンは、頬っぺたをめいいっぱい膨らませ、顔を真っ赤にして、やけくそにバワフルに嘴から風船に吐息を送り込んだ。


 やがて、ガチョウのブンの膨らませている風船も、どんどん大きくなり、マガモのマガークの風船よら大きく膨らんだとたんに、



 パァーーーーン!!



 と破裂した。


 「あひゃあ!!」


 ガチョウのブンは気絶してしまった。


 「まーた、『儀式』の終りはこのパターン?!ガチョウのブンちゃん。少しは風船を割れる音への恐怖を克服する鍛練してみれば?」


 派手に割れた白い風船の破片をヒラヒラさせて、ハクチョウの女王様は呆れ顔をした。


 「さあ、『儀式』のエンドは、草原の片隅に割れた風船を『花』に変換して埋めましょ。

 『風船の花畑』よ。」


 「いよっ!!待ってました!!」


 ハクチョウの女王様と王様、アヒルのピッピは鳥達が膨らまし割ったゴム風船の破片を『魔術』で花に変換して、花壇にした。


 「みんなありがと、これで皆の『絆』は永遠よ。

 『儀式』の風船で1つになった皆、『愛の仲間達』。皆、翼を持った夢見る風船よ。

 皆ひとりじゃない。皆仲間!『愛の仲間達』!!

 さあ。其々の夢へ向かって羽ばたこう!!」


 「はーーーーい。」



 皆羽ばたく。



 其々の空へ。



 ハクチョウの女王様は見上げる。



 其々の鳥達の、『愛の仲間達』の、空を。

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