23#それぞれの鳥達、それぞれの風船達

 ハクチョウの女王様が暖める4つの卵。


 「女王様、雄の俺には解らんけど・・・卵を暖めるのはどんな感じ?」


 ガチョウのブンは、お腹の下で何度も卵を転がして満遍なく暖めるハクチョウの女王様に話しかけてきた。


 「そうね・・・命を卵という風船に入れて、愛情で膨らます感じかな?」


 ハクチョウの女王様はそう言うと、ガチョウのブンを向いてニッコリと笑顔を見せた。


 「天使だ・・・女王様の周りに天使が舞ってる・・・」



 ・・・・・・



 ・・・・・・




 「ママー!!」「ママー!!」「ママー!!」「ママー!!」


 ハクチョウの女王様と王様の間に4羽の雛が産まれた。


 「ほーらほら!!皆、ついておいで。」


 ハクチョウの女王様は、よちよち歩きの雛達を先導して湖の畔を散歩していた。


 ハクチョウの女王様は、ふと空を見上げた。


 ・・・クジャクのジャニスちゃん・・・


 ・・・『不死鳥』の能力に目覚めてから、貴女は何処に居るんだろ・・・


 ・・・「また来るよ」って、何時でもひょっこりと来てね・・・待ってるよ・・・


 ・・・フラミンゴのベキィちゃん・・・


 ・・・無事にアフリカに着きましたって、風の噂で聞いたよ・・・


 ・・・今は、何万ものフラミンゴの『女帝』になったんですね・・・素晴らしいわ・・・


 ・・・ヒドリガモのさん・・・


 ・・・アホウドリのソアラさん・・・


 ・・・海の漂泊ゴミ処理に困ったら、また駆けつけるよ・・・『バードランド』の弟子と『風船カモメ倶楽部』の連中も一緒にね・・・


 ・・・それと・・・


 「おい!『カラス』同士仲良くやろうぜ!!」


 「僕は『ウミガラス』だけど、『カラス』じゃねぇ!!」


 ウミガラスのアデルは、ハシボソガラスのカーキチとカースケに絡まれて揉めていた。


 「カラスさん!!」


 「なあに?!」


  3羽の『カラス』は、ハクチョウの女王のの呼び掛けに異口同音で答えた。


 「『カラス』は『カラス』でも、『ウミガラス』の方よ。

 『ウミガラス』のアデルさん。

 修行に来たんでしょ?海の漂泊ゴミをゴム風船にしたいんでしょ?」 


 「うん!!」


 ウミガラスのアデルは、笑顔でハクチョウの女王様の懐へ飛んでいった。


 この不思議の湖に集った鳥達。


 各地で散らばって思い思いに、同じ空で暮らしている。


 そして、鳥達の其々の生きる喜びが膨らんでいく。


 まるで、ゴム風船のように。


 ハクチョウの女王様は祈った。


 何時までも鳥達の夢がゴム風船のように、膨らみ続け、何時までも幸せに暮らしていけるこの世の中になることを・・・












~ハクチョウの女王様とクジャクと風船~


~fin~

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