12#プラスチックゴミよ、ゴム風船になあれ?!

 「俺の故郷へ同行してください!!」


 ウミガラスのアデルは、フラミンゴのベキィの目の前で深く土下座をした。


 「解ったわ。女王様、いいでしょ?女王様が連れていく場所のついでに、この子の頼み事を聞いても。」


 「百も承知よ。元々このウミガラスは、故郷の海をプラスチックで汚れを保全したいと、この湖へやって来たんですから。」


 ハクチョウの女王様は、気前よくお腹に息を吸い込んでポン!と翼で叩いた。


 「じゃあ、来てくれるのですね!!」


 「いいわよ。わたしのドードー仕込みの『魔術』みせてあげるわ。」


 「ちょ、ちょっと待って!!その前に・・・」


 ハクチョウの女王様とクジャクのジャニスは、一緒に湖からかき集めたゴム風船を膨らませて身体に結んだり、何か『魔術』をかけたりコツコツと飛ぶ準備をした。


 「ふう・・・これであたしとクジャクは長い飛行が出来るわ。」


 ハクチョウの女王様とクジャクのジャニスは、プカプカと上空を浮かんでいた。女王様の『魔術』でヘリウムに変換した吐息で膨らんだ風船を身体にくくりつけていたのだ。


 「さあ、ウミガラスのアデルちゃん!!空の道案内宜しくね!!じゃあ!!しゅっぱーーーつ!!」



 ・・・・・・



 「な、なんじゃこりゃー!!」


 ウミガラスのアデルの故郷の海は、1面のストローや容器やペットボトルや発泡スチロール等の漂白ゴミが大量にプカプカと浮いていたのだ。


 「ぜーんぶ、人間のせいだよ!!人間は、利便性ばかり!!飲み食いして要らないゴミはポイポイとそこらじゅうに捨てまくる!!

 で、結果がこれだよ!!」


 断崖のアデルの仲間のウミガラス達も、恨めしげに大海原1面のゴミの山を睨み付けていた。



 プカプカ・・・


 プカプカ・・・



 「ぷはーーーーーっ!!ダメだ!!どうしても口に変なのが入ってくる!!

 きもっ!!きもっ!!きもっ!!きもっ!!きもっ!!」


 海面から、1匹のウミガメが困った顔で浮かび上がってきた。


 「紹介しまーーす!!このウミガメ!!僕の友達!!不死身のマークス!!」


 「どーもー!!4輪駆動車に轢かれても死なない不死身のウミガメ!!マークスどぇーす!!」


 ウミガメのマークスは、ニターッと上空の水鳥達に満面の笑みを浮かべた。


 「あー気持ち悪っ!」


 カナダガンのポピンが嫌な顔をして、目を反らした。


 「・・・・・」


 「ん?」


 上空を旋回する水鳥達は、ウミガメのマークスが突然動かなくなった事に気付いた。


 「ぶぶぶぶ・・・」


 「?!」


 「ぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶぶ!!」


 突然ウミガメのマークスは、鼻の孔をパンパンにしてめいいっぱいどんどん頬っぺたを孕ませたかと思うと、



 ぷぅ~~~~~~~~~~~~!!



 ぱぁーーーーーーーーん!!



 「ひゃっ!!」


 「ビックリしたぁ!!」


 「いきなり、ウミガメの口からゴム風船が吹き出して大きく膨らんで直ぐにパンクしたぞ?!」


 水鳥達は、ウミガメのマークスが口で膨らませた風船が割れた音で体制を崩す程、騒然とした。


 「めんごめんご、鳥さん達。この海には、人間が飛ばしたヘリウム入りのゴム風船が浮力無くして落っこってして、よく漂泊してくるんだ。

 それを間違えておいらがよく呑み込むんだけど、定期的にこうやって胃の中から呑みこんだ風船を吐き出す際に、口から息を吹き込んで吐き出した風船を膨らませて、破裂させて木端微塵にしておいてるんだ。

 これは、おいらが海岸で車に轢かれてから出来るようになった技でね・・・他のウミガメは・・・漂泊してきた風船を胃に詰まって・・・命を落とす・・・んだ・・・うううううう・・・うわぁぁぁぁ!!」


 ウミガメのマークスは、嗚咽したかと思うと、突然目から涙を流して大声で泣いた。


 「ウミガメのマークス君。ありがと。それが、君達の頼み事なんだ。

 ここ一帯に大量に貯まって夥しく漂ってる、プラスチックゴミを何とかして欲しいって頼みに来たんだ・・・

 お願い!!僕らを助けて!!

 ドードーという鳥から授かった『魔術』で!!」


 ウミガラスのアデルは、フラミンゴのベキィに改めてお辞儀をした。


 「お願い!!この崖の仲間達の為にも!!」


 「お願い!!」「お願い!!」「お願い!!」「お願い!!」「お願い!!」「お願い!!」「お願い!!」「お願い!!」「お願い!!」「お願い!!」「お願い!!」「お願い!!」「お願い!!」「お願い!!」「お願い!!」「お願い!!」「お願い!!」「お願い!!」「お願い!!」「お願い!!」「お願い!!」「お願い!!」「お願い!!」「お願い!!」・・・・・・


 岩壁のウミガラス達は、一斉に水鳥達に何度もお辞儀をして単願した。


 「ちょ・・・ちょっと!!女王様!!」


 「そんなに頼まれても・・・!!」


 「うわー無理ゲー!!無理ゲー!!」


 「女王様は『変換魔術』とかいうの覚えてないし・・・あれ?女王様が居ない?!」



 ふうわり・・・



 「うわ~っ!!飛んでるーー?おいら飛んでるーー?!」


 ウミガメのマークスは、ハクチョウの女王様の胴体に結んであった筈の無数のカラフルなヘリウム風船を甲羅にいつの間にかくくりつけられて、海面から舞い上がってプカプカと上空に浮かんでいたのだ。


 「あー何かガメラになった気分。」


 空中遊泳をにてるウミガメのマークスは、気持ち良さそうに満面の笑みを浮かべて、御満喫の有様だ。


 「じゃあ・・・女王様は?」


 ででーーん。


 「?」


 ででーん・・・


 「??」


 でででででででででん!!



 ざっぱーーーーーーん!!




 「ひゃーーーーーっ!!」


 「サメぇぇぇぇーーーー!!」


 水鳥達の飛んでいる直ぐ下の海面から、巨大なホホジロザメが鋭い牙の密集する口を大きく開けて這い上がってた。


 「やあ、メグさん。お久し振り。」


 ウミガメのマークスは、前肢のフリッパーを巨大なホホジロザメの表面の鮫肌をポンポンと優しく叩いた。


 「ウミガメさん?!こ、このさ、サメと仲良し・・・なの?!」


 マガモのマガークとカナダガンのポピンは、お互い翼で抱き締めあってブルブルと震えながら聞いた。



 「けけけけ!!そうだよー!!」


 巨大なホホジロザメの隣に水面から顔をだした1匹のバンドウイルカが笑いながら言った。


 「このサメは有名な狂暴な人食ザメ『メグ・ザ・モンスター』・・・」



 ぽん!ぷしゅ~~~~~~~~~。


 ぽん!ぷしゅ~~~~~~~~~。



 巨大なホホジロザメとイルカの尾鰭の空気栓が開き、空気が抜けて萎んでしまった。



 「に化けた僕、ハクチョウの王様フリード様とハクチョウの女王様のメグ嬢でーす!!」


 「ズコーーー!!」


 空気フロートのサメとイルカの空気抜けてシオシオになったかと思うと、突然ムニュムニュと変化して元のハクチョウに戻ったハクチョウの女王様と王様はお互いみつめあうと、拍子抜けしてズッコケた水鳥達を尻目に、お互い仲直りのキスを黄色いでチュッチュッチュッチュッと何度もした。


 「あ、」


 「夫婦復活だ。」


 水鳥達は、よりを戻した湖でクジャクの風船を巡って離婚調停中の女王様と王様に翼で盛大な拍手を送った。


 「う、ううん!!」


 側で、ウミガラスのアデルが咳ばらいをひた。


 「そうだ!!この海のプラスチックゴミの事でここに来たんだっけ?!」


 「私達、『変化魔術』でサメとイルカになってこの海の中調査したら・・・こりゃ酷いわ!!

 もう絶句ものよ!!」


 ウミガメは目をショボショボさせて、元のハクチョウの姿でプラスチックが夥しくプカプカ浮かぶ海面を泳いでこっちへ向かってくるメグ女王様を見詰めていた。


 「通りで痛くない鮫肌だと思った。おいらの知り合いの巨大ザメの『メグ・ザメ・モンスター』は鮫肌も牙同様『凶器』だからねえ。」


 「いやあ、この世界は不思議で溢れてますなあ。あん時死ななくて良かったわい!!」


 「だから!!話を脱線させないで!!このプラスチックを何とかしてよ!!

 その為にこっちに来たんでしょ?!」


 遂にウミガラスのアデルの堪忍袋はぶちギレた。


 「だぁかぁらぁ!!この『変化魔術』を応用して、このプラスチックゴミを全部ゴム風船に『物理変化』させようとする壮大な大作戦を思い付いたの!!」


 「えっ?!風船?!」


 『飛行魔術』が溶けそうになって、胴体をいっぱいの風船で吊り上げてるのがバレバレのフラミンゴのジャニスは目をキラキラと輝かせた。


 「ちょ・・・ちょっと待った!!」


 「なんだい?、ウミガラス。」


 「俺ら、その風船・・・漂泊してきた風船にも驚異を晒されてるのに、何で全部風船にするんだよ!!」


 「うん。何故なら、その風船に需要がある場所があってね。

 その手伝いを兼ねて、私達の弟子が・・・ほら!!」


 水鳥達は、遥か向こうの空から鳥達がこっちへ向かって飛んできた。


 「メグママ!フリードパパ!・・・じゃなくて、女王様!王様!お久し振りです!!

 ついでに『楽園』作るために貸してくれた、割れた超巨大風船を返しに来ました!!」


 「パパママって・・・」


 「女王様の王様の愛の結晶の・・・」


 「雛の成長した姿!!」


 「皆さん!!こんにちわ。僕はあの湖ともうひとつの『楽園』をこの『異能力』を持った鳥達と作った!!

 女王様と王様の息子の『ブルンガ』ですっ!!」


 「あ、はじめまして!!私はアカショウビンの『ピル』と、」


 「カワセミの『タック』です!!お互い『破砕能力』でこのプラスチックを破砕して風船にしやすくしまーす!!」


 「ぴーひょろろ!!俺が『物質変換』能力持ちのトビの『バーグ』だ。

 この1面のプラスチックをゴム風船に変換させてみせるぜ!!」


 「そして、わたくしめがマガモの『リヤン』。『沼地造成』能力を応用して、プラスチックから染みだした汚染物質を浄化させてあげる。」


 「そして僕がトキのモモ。『時間操り』を使って、プラスチックゴミに混浮かんでいる漂泊風船を使用前に戻してやります!!」


 「おおおお・・・!!」


 水鳥達やウミガラス達、そしてクジャクのジャニスもこの『異能力鳥』達を羨望の目で見詰めた。


 「どないだ!!僕だって、この超巨大風船を『楽園』の仕上げで『魔力』でバリアー作りに嘴ででっかく膨らまし割ったんだ。

 この奴等の活躍をお前たちに教えてやる。」


 「ふむふむ。」


 「アカショウビンのピルカワセミのタックは、観覧車やメリーゴーランドといった錆び付いた施設を『破砕能力』で次々と、小型誘導ミサイルの如く突っ込んで破壊して、次々と粉々な鉄屑にしていった。」


 「ほう、それで?」


 「トビのバーグは『物質変換』能力で、鉄屑と化した施設を鬱蒼とした緑豊かな山林に、ひび割れた地面を草原にそして水の無い大型プールを湖に、変換していった。」


 「はいはい。」

 

 「マガモのリヤンは、トビのバーグが造ってくれた元プールの湖の岸辺を『沼地造成』の能力で、1面の広大な干潟にした。」


 「うん。すごいね。」


 「この廃墟遊園地の周辺の山を切り開いて岩肌剥き出しの荒れ果てた土地をトキのモモは『時間操り』の能力で、元の緑豊かな樹海へと元通りにした。」


 「ふーん。」


 「そして!!いよいよ!!俺の番だ!!女王様、いやママ。ここで封印した『魔術』を使わせて貰うよ。と俺は、羽毛の奥の奥から1個の萎んだゴム風船を取り出した!!

 そこで、『異能力鳥』に断った。


 皆、悪いんだけどここで俺、このゴム風船を口で膨らますんだ。

 物凄くでっかくなって、ドデカイ破裂音するけど、大丈夫?ってね。

 そしたら、『異能力』の鳥達は、ゴム風船を翼で摘まんで伸ばして鞣しながら問いかけるハクチョウのブルンガに、一同冷汗をかいて心配そうに頷いた。

 しょうがないじゃん。だって、これはこのままじゃ、ただの自然豊かな山林だよ。

 『楽園』にするなら、『楽園』にするバリヤーが必要なんだ。

 この風船に此の世とあの世の中間の『楽園』にする元の吐息を『魔力』で形成して、この風船の破裂と共に吐息を周辺に分散拡散させて・・・


 と、俺はこの超巨大風船を嘴で大きく大きく大きく大きく大きく大きく大きく大きく!!

 ひと息でぷーーーーーーーーーーーーーっ!!」


 「で、途中で息切れしたんでしょ?」


 「ズコーーー!!女王様!!本当の事言わないでよ!!ここから、俺の勇敢な・・・」


 「ブルンガ大王様!!大切な『楽園』を留守にしてこっちに僕ら来たんだから、こうう英雄譚は後でやってよ。」


 「こっちは、このプラスチックゴミを全部風船に処理したくてウズウズしてんだから!!」


 「うわー早く!!」


 『異能力鳥』達は、一斉にブルンガ大王にブー垂れてきた。


 「そうだな。皆!!そこのウミガラス達!!女王様王様そして、そこの女王様の仲間も!!よく見たらせ!!

 この1面のプラスチックゴミを全部一気によく伸びて大きく膨らむゴム風船に変換してやるぜ!!」


 こーーーーーーーっ!!


 ブルンガ大王様が大きな声で号令をかけると、『異能力鳥』達が一斉に大量のプラスチックゴミがプカプカ浮いてる海に飛び込み、



 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!!!!



 「わぁーーーーー!!なにこれ?!」


 遅れてやって来たフラミンゴのベキィは、大海原を飛ぶのにアシストしてくれた、ザトウクジラのアパラカと共にこの光景に暁天した。


 『異能力鳥』と、水鳥達そしてあのクジャクのジャニスも手伝って、大量のプラスチックがカラフルなまだ膨らませてないゴム風船に変わっていくのを、目を丸くして凝視していた。


 「うわーーーーーー!!この大海原にはーーーー!!あのようなプラスチックのゴミがいっぱいいっぱい浮いててーーー!!わたーーーしもオキアミと一緒に間違えて飲み込んで腹を降した事あって困ってたんだがーーーー!!

 でもーーー風船ってーーーークジラにとっちゃ、漂泊した風船はちょっとねーーー!!」


 「大丈夫よ、クジラさん。あの夥しい風船はみーーんなであの鳥がみーーんな使うんだよ。目的があってね。

 そう思ったら、私ゴム風船を1個嘴で膨らませたくなったわ。あの鳥達と円座を組んでね。」



 


 



 









 

 



 

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