13#変換した風船を持って、『楽園』へ

 「ありがとう!!『異能力鳥』達!!お陰で、この海のプラスチックゴミは全部無くなって、綺麗になったよ!!」


 ウミガラスのアデルは、ウミガラス仲間と共に、ハクチョウの女王様が大量のプラスチックゴミから変換したゴム風船運びにアシストに呼んだペリカンのオギに軽く会釈した。


 「女王様、もう俺の嘴の袋が萎んだ風船でいっぱいで、こっちの嘴がはち切れてパンクしちゃうよ!?」


 「大丈夫よ!!ペリカンのオギちゃん!!

 『異能力鳥』のトビのバーグに頼んで、中の風船の重さをヘリウム並みにしたし、あんたの嘴の袋は無限に膨らむゴムに変換したし。」


 「ひとの嘴を何だと思ってンだよーー!女王様ぁーーー!!」


 ペリカンのオギは涙目になった。


 「酷いなあーー!!女王様。」


 「そこが女王様なんだよ。」




 「マガーク!ポピン!何言った?」




 「何でもないっす!!女王様!!」



 こうして、ウミガラスのアデルの願いを叶えた水鳥達は、ウミガラスの崖を後にした。



 「ばいばーいー!!ありがとーーー!!」


 飛び立つ鳥達の真下の大海原では、ウミガメのマークスが海面から顔を覗かせるザトウクジラのアパラカの鼻面に股がって、前足のフリッパーを大きく振ってエールを送っていた。



 「僕も付いていっていいっすか?ちゃんとウミガラス仲間の許可とってます。」


 結局、そのウミガラスのアデルも水鳥達に同行した。


 「で、何処に行くんですか?女王様。また湖に戻ってこの風船で早速あの『儀式』やるんすか?

 俺、一緒に風船膨らませたくてウズウズしてるんですけど?」


 「御免ね。私達が行くのは、湖でなくて息子のブルンガが作った『楽園』よ。」


 「女王様、貴方が吊ってる風船のガス抜けてる見たいですけど・・・高度下がってます。」


 「あ、クジャクのジャニスの風船もだ。

 クジャクさん!!『楽園』に行かせたいのはあんたなんだよ!!

 頑張ってー!!

 フラミンゴのベキィちゃん!!あんたもよ!!」


 そんなフラミンゴのベキィは、ランデブーした飛んでいるクジャクのジャニスの異変に気付いた。


 「クジャクさん、何か高度下がってますよ?」


 「あれ?ホントだ風船縮んで・・・あ、女王様!!あんたの風船が若干縮んでますよ・・・」


 ハクチョウの女王様の風船も、クジャクのジャニスの風船も、湖から飛んだ時より二まわりも萎んで浮力が無くなっていたのだ。


 「この風船を嘴で息いれても、風船は元通りに浮かばないし・・・」


 「『物理変換』のあの異能力鳥を・・・」


 「駄目だよ。あの鳥達は、『楽園』へ飛ぶ事に集中してるから、邪魔したら・・・それに『楽園』の行き先知ってるのは、息子のブルンガと異能力鳥達しかいないんだよ?」


 ところが・・・



 ぷくぅ~~~~~~~



 「みて!!クジャクの風船と女王様の風船が!!」


 「無限に膨らんで・・・全部合わさって・・・巨大なアドバルーンになった!!」


後続の水鳥達は、その不思議な様にとても驚いた。


 そう、これは先頭を飛ぶ『異能力鳥』達の魔術のなされた奇跡だったのだ。


 『破砕能力』のカワセミのタックとアカショウビンのピル、


 『物質変化』のトビのバーグ、


 『沼地造成』のマガモのリヤン、


 『時間操り』のトキのモモ。


 5羽の『異能力鳥』の合わせ技を密かに繰り出して、ハクチョウの女王様とクジャクのジャニスを危機を救ったのだ。


 「やるねぇ。あの『異能力鳥』。さすがあたいの弟子よ。それを各地で見つけ出して、今行こうとしてる『楽園』を作らせたのが、この先頭のあたいの息子のブルンガなの。

 お分かり?クジャクさん。」


 「女王様!!」


 「クジャクさん。なあに?「弟子にしてください」はお断りよ。

 また、あたいの気が向いたらね。」


 「じゃないんです。女王様。

 わたしは林育ちで短くしか飛べないから、長距離飛ぶのに風船が必要なのに、女王様が渡り鳥のハクチョウなのに何で飛ぶのに風船が必要なの?」


 「核心についてきたね。

 あたいは、ドードーから『魔術』を授かった時に『魔術』の等価交換に『空を飛ぶこと』を差し出したの。だからあたいは空を飛ぶことが出来ないの。

 あの『異能力鳥』達もね、何かしらの『等価交換』で異能力を持ってるんだわ。」


 「ふーん。」


 クジャクのジャニスは思った。


 ・・・・わたしは何か犠牲にしてもいい事柄は有るのだろうかな・・・?


 

 「みんなー!!みえてきたよ!!あの雲のバリアーの下が、あの『楽園』だよ!!

 最もこのバリアーを浮かばせたのは、俺だけどな。女王様の超巨大風船を膨らませて・・・ぐっ!!」


 鼻高々にハクチョウのブルンガ大王が自慢話をしようとしてるうちに、雲のバリアーが周りに絡み付いてきた。


 「うわーーーーーー!!」


 「息が苦しい!!」


 「錐揉みするぅーーー!!」


 水鳥達は、謎の雲のバリアーに翻弄されバランスを崩して、右往左往転々バラバラに墜落していった。


 「みんなあぶないっ!!」


 その時、また不思議な事が起きた。



 ぷぅ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!



 「割れた筈の・・・バリアー作りに使った超巨大風船が!!」


 「元通りになって、勝手にどんどんどんどん膨らんでいく・・・!!」


 女王様のお腹の羽毛に隠していた、あの『楽園』のバリアー作りに息子のブルンガ大王で嘴で膨らませ割った超巨大風船が羽毛から飛び出すと、ひとりでにどんどんどんどんどんどん膨らんでいく大きく大きく膨らんでいった。


 先頭を飛ぶブルンガ大王は、バリアーの中で吹き飛ばされながら頬っぺたをめいいっぱい孕ませて遠隔操作でその超巨大風船を膨らませていたのだ。


 「よし!!このくらい膨らめば良いだろう。

 皆!!この巨大風船に取り付け!!」


 息子のブルンガ大王がバリアーの中にもがいている他の鳥達を呼ぶと、一斉にむぎゅっと翼や脚に超巨大風船に掴まってきた。


 「これで皆だね。よし!!バリアー突きって、『楽園』へひとっとびだ!!皆しっかり掴まって!!こーーーーーーーーーっ!!」


 ブルンガ大王が大声で叫ぶと、超巨大風船の吹き口から、大量の空気が吹き出し、



 ぷしゅ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!




 「わぁーーーーーーーー!!」


 「ひぇーーーーーーーーー!!」


 「のぉーーーーーーーーー!!」


 「鳥糞ちびりそーーーーーー!!」




 超巨大風船は、しがみついた鳥達を振り落とさんばかりにバリアーの雲の中を縦横無尽に飛び回って地上の『楽園』へ吹っ飛んでいった。











 

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