11#フラミンゴの元許嫁の秘密
「わたし・・・もう、あのフラミンゴの仲間の元へ返れないの。」
フラミンゴのベキィは、うつむいてボソッと言った。
「わたしも、死んだフラミンゴのショーさんと不倫したんだし・・・実はわたしも不倫してたの・・・
フラミンゴのショーさんが群れから追放されてから、わたしは元夫に別れを言われて・・・今度は仲間にも冷たくあしらわれ・・・遂にあのフラミンゴの仲間から爪弾きにされたの・・・」
「で、此処にあたしの仲間になれと?」
ハクチョウの女王様は言った。
「ごめんね。この湖は定員オーバーなのよ。」
「何言ってるの!!女王様!!『仲間』になりたいと言ってるんだから、『仲間』になりなさいよ!!」
ハクチョウの王様は、女王様のつれない発言に立腹した。
「皆、早合点しすぎよ。別に『仲間』にしないとは言ってないわ。
あそこなら、あんたを待ってる『ひと』が居るのよ。
彼処に行きなさい。連れてってあげるから。」
「ちょ・・・ちょっと!!女王様!!あんたは、『魔術』と引き換えに飛べない身体になってるんじゃ・・・」
「王様、あたいは『魔術』で飛べるの知ってるよね?
風船魔術でね。そうそう、あんたも飛ばすよ!!風船魔術で!!」
「わたし?」
クジャクのジャニスは、ハクチョウの女王様に翼で指をさされて困惑した。
「ねえ、ちょっと聞いていい?」
ウミガラスのアデルは、フラミンゴのベキィが持ってきたピンク風船を持って、ベキィの側へやって来た。
「この風船・・・嘴の鼻で嗅いでもゴムの匂いじゃなくて、海の潮の匂いが染み込んだプラスチックの匂いしかしないんだけど。
君は・・・噂に聞く・・・」
「そうよ。この場でカミングアウトするわ。
わたしも実は『魔術』使いなの!!
大海原のど真ん中で、翼が疲れて海に墜落した時、幸いにもシロナガスクジラに助けられたの。
そのシロナガスクジラの潮吹きから飛び出したのが・・・」
「ドードー?!」
「ハクチョウの女王様!!御名答。
「こんなとこで出逢うとは、奇跡だよねえ!」って。
ドードーは、海洋のプカプカ浮かんでる大量のプラスチックゴミに深く心を痛めててねえ、
「あんたに、プラスチックゴミをゴム風船に変える『魔術』を与えよう。漂白して浮かんでるゴム風船も、合わせて再利用可能の『魔術』をねえ。」
って。
で、わたしは故郷での皆のわたしの記憶と引き換えに、『プラスチックゴミをゴム風船に変えて、漂白ゴム風船をあわせて再利用しちゃう魔法』を会得しちゃったの!!
だから、この風船はぜーんぶ実は元プラスチック漂白ゴミなのよ。」
「ええっ?」「なぬ?」
水鳥達は、今までポンポンと翼に突いていたピンク風船の表面の匂いを嗅ぐと、
「ゴムじゃねぇー!!」
「なんじゃこりゃー!!」
と、どよめいた。
割れたピンク風船の匂いを嗅いだカナダガンのポピンも、
「ゴムの伸びが少ないと思ったら、そうだったのか!?」
と、仰天した。
「やっぱりね・・・」
ウミガラスのアデルは、フラミンゴのベキィの目の前で深くお辞儀をすると、こう頼んだ。
「フラミンゴさん!!お願いがあります!!」
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