第3話 妹と線形代数
「事情はわかった。まぁ、気が済むまでここにいればいいよ」
玄関先でするような話でもなさそうだったので、とりあえず空を家に上げた。要約すると、父さん母さんと喧嘩して家出してきたらしい。
俺の一言に一安心したのか、先程まで強張っていた空の顔がふにゃりと緩んのが俺にもわかった。
一応親には連絡しておくか。あんまり気乗りはしないけど仕方ない。
「それにしても珍しいな。空が父さんたちと喧嘩するなんて」
「別に、そんなことない」
空は頬を膨らませながら言った。
「まぁいいや。適当にくつろいでってくれ。部屋は狭いけど」
「言われなくてもそうする」
さてと、一段落ついたし俺は買い物にでも行こうかな。
「お兄ちゃん。この本なに?」
妹は俺の机に置いてあった本を持っていた。表紙には「線形代数の基礎」と書かれている。
「あぁ、それは
「せんけい……だいすう?」
「そうそう。数学の本だよ」
「数学……そっかこれが」
「ん?どした?」
妹はふふふっと小さく笑った。
「お兄ちゃん、あのね。今から私に、
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