第20話 滅多に怒らないような人の怒った時が一番ヤベーイ!

チームクマノミ、チームウツボがそれぞれ決められた物を買い出しへと向かっている一方

継月、フルル、海月の三人も自分の割り当てられ(継月が割り当て)た肉や魚を買うため、海月の案内のもと商店街へ


継月「とりあえず肉の方から行くか」


海月「ここからなら魚屋の方が近いですよ?」


継月「魚って中には足の早いやつもあるからな」


海月「足の速い?鮪とかですか?」


フルル「その速いじゃなくて鮮度が落ちやすかったり腐りやすいってこと、それを足が早い

っていうんだよ」


継月「だから帰り道で買った方が旅館に着いてあとでも美味しく食べれるんだ」


海月「そういうことでしたら心配ありませんよ?」


継月 フルル「「え?」」


……


魚屋


海月「甚平さん、こんにちは」


??「おう!…お?なんだ海月、もしかして

そいつぁ彼氏さんか?」


海月「違いますよ///このヒトは異世界から来たんです。外口の辺りで倒れてて、今案内の途中なんですよ」


??「そうかそうか!」ケラケラ


継月「海月、この人は?」


海月「甚平鮫の甚平さん、ここの大将なんです」


フルル「甚平のおじさん、継ちゃんはフルルの恋人だよ?」プクー


フルルは頬を膨らませながら継月の腕に抱きついた


甚平「そうかそうか!そいつぁすまねぇ!」


継月「と、とりあえず買い出しに必要な魚を買いたいんですけど…」


甚平「いいぞ、何がいるんだ?」


継月「えっと…金目鯛と鯒と…」


継月は甚平に欲しい魚とその量を伝えた


甚平「あいよ!」


すると甚平は奥から機械と袋を取り出した


真空パックか?


甚平が魚を袋に入れ機械にかけると空気が抜かれるだけでなく袋が凍った


継月「え!?」


フルル「なにこれ~不思議~」


海月「真空冷凍です。こうすれば鮮度が落ちませんから」


継月は先ほど海月が言ってたことの理由を知り

納得した


甚平「なんだ、お前さんの住んでる世界じゃこの技術はないのか?」


継月「ええ。やっぱ科学の力ってすげー…」


甚平から真空冷凍された魚を受け取って料金を支払うと、継月たちは精肉店へと向かった


……


精肉店


海月「こんにちは~」


??「あらこんにちは海月ちゃん!」


継月「海月、この人は?」


海月「ここを切り盛りしてる河豚さんです」


河豚「海月ちゃん、この子は?」


海月「このヒトは外口の辺りで倒れてて…」


海月は精肉店のおばちゃんにここまでの経緯を話した


河豚「そうかいそうかい!てっきり海月ちゃんに彼氏さんができたかと思ったよ!」


海月「け、継月さんは彼氏じゃありませんよ!///」


フルル「河豚のおばちゃん、継ちゃんはフルルの恋人だよ」ホッペプクー


フルルはそう言って頬を膨らませながら継月の腕に抱きついた


河豚「あらあら、継月…だっけ?」


継月「はい」


河豚「そのフルルって子、大事におしよ」


継月「分かってますよ。こいつの笑顔だけは

誰にも奪わせません。こいつが泣くのはもうごめんなんで」


継月は河豚にそういいながらも、改めて決意を固めた


フルル「~~~っ!継ちゃんっ!」


継月「おわっ!…ったく」


継月の言葉が嬉しかったのか、突然抱きついたフルルを継月は少し困りながらも受け止めフルルの頭を撫でた


海月「とりあえず、お肉を買いましょうか」


継月「そうだな」


継月はメモに書いてある物を河豚に言った


河豚「あいよ、ちょっと待っててね」


河豚は継月に言われた物を用意し、継月は代金を払い品物を受け取った


「それと、これはあたしからのサービスだよ」


河豚はコロッケを三人にひとつづつ渡した


継月「あ、わざわざすみません」


河豚「いいんだよ!またおいで!」


三人は精肉店を後にした


……


コロッケを頬張りながら歩く三人


継月「なんか古き良き商店街って感じだな」


海月「でしょう?ここの治安もいいのでみんな笑顔が絶えないんです」


継月「そりゃいいことだ」


フルル「コロッケおいし~」


しばらくすると甘味処に差し掛かった


海月「ちょっと休憩しません?実はここの和菓子、この商店街の目玉のひとつなんですよ」


継月「へぇ、なら食べてみようかな」


フルル「さんせ~」


三人は甘味処の入り口に用意されてる長椅子に座った


海月「この時期だと葛団子や水まんじゅうが

おすすめですね」


継月「分かる気がする。じゃあそれにするか」


海月とフルルが水まんじゅう、継月が葛団子を注文した


……


三人「「「ごちそうさまでした」」」


海月「じゃあそろそろ行きましょうか、他のみなさんも待ってるでしょうし」


継月「そうだな。…あ、店員さん!」


店員「はーい!」


継月「持ち帰りって出来ますか?」


店員「できますよ」


継月「じゃあ…葛団子を26本お願いしていいですか?」


店員「わかりました!」


店員が店の奥へ


海月「そんなに気に入ったんですか?」


継月「いやいや、俺たちだけ食べて他のメンバーは無しってのは不公平でしょ。だからあんかけさん達にも、ね。あとは一泊とはいえお世話になるリュウグウさんにも」


海月「律儀なひとですね…」


店員が品物を持ってきた


店員「お待たせしました!代金は…」


継月「じゃあこれで」


店員「はい!ちょうどいただきました!」


継月「それじゃ、ごちそうさまでした」


店員「またのお越しを~!」


三人は甘味処を後にした


海月「良かったんですか?わたしの分まで」


継月「いいのいいの。ここ案内してもらってるし、このくらいはね?」


……


街の入り口に着くと他のメンバーもほぼ同じ

タイミングで合流した


継月「みんな指定したのは買えたか?」


パラド「ばっちりだ!」


ダルタニャン「うん!」


するとクマノミが継月の持ってる袋に気づく


クマノミ「あれ?それって…」


継月「ああ、海月がおすすめの甘味処だって

言ってたから買った。みんなの分もちゃんとあるぜ」


ガブリエル「継くんそういうところ本当に気が利くよね」


クマノミ「あ、そうだ」


クマノミは継月、フルル、ダルタニャン、ガブリエル、雪衣にウォーターストーンを渡した


継月「これは?」


海月「ウォーターストーンといって、所謂お守りですね」


雪衣「私たちのこの先の安全を祈って、でしょうか?」


成る程ね…リュウグウさんも中々粋なことしてくれるじゃないの


継月「さてと、じゃあ旅館に戻りますか!」


……


旅館へと戻る一行


「今更だけどよ、海月大丈夫か?」


海月「このくらいなんともありませんよ」


ガブリエル「そういえば継くん」


継月「なに?ガブ姉」


ガブリエル「さっき雪衣ちゃんの財布が子供に盗られてさ」


継月「ええ!?…それで大丈夫だったの?

雪衣ちゃん」


雪衣「大丈夫でした。ウツボさんがすごい速さで捕まえてくれたので」


ダルタニャン「あの時のウツボちゃんすごかったよ?」


ウツボ「は、恥ずかしいよお~…」


ウツボは顔を赤らめた


しばらく歩いていると突然


ドンッ!


フルル「きゃっ!」


フルルが誰かにぶつかられ転んだ


継月「フルル大丈夫か!?」


フルル「うん、へーき」


不良「ちっ、ボケッとしてんじゃねえよ!」


どうやらこの不良がぶつかって転んだようだ


フルル「ご、ごめんね」


不良「ごめんだぁ?そんなんで済むなら警備隊は要らねえよ!」


継月「すまない、こちらの注意不足だったようだ。どうか穏便に…」


継月は事を荒げないように不良に引いてもらうよう伝えた


不良「はっ!…ったく鈍そうな面しやがって…おうちにかえってゆっくりしてるんだな」


刹那─


プチッ


継月の中で何かが切れた


継月「海月、ちょっと持ってて」


海月「え?…ちょっと継月さん!?」


海月に荷物を預け不良のところへ


継月「おい」


不良「あん?」


立ち去ろうとする不良を継月が呼び止める


継月「フルルに謝れよ」


不良「は?ぶつかったのはそっちだろ」


継月「そのことじゃねぇ…フルルへの今の発言を取り消せっつってんだよこのタコ」


烏賊「なに!?俺は蛸じゃねぇ!烏賊だ!」


継月「どっちでもいいそんなもん!」




あんかけ「継月さん、どうしたんだ?」


ガブリエル「継くん、家族のことバカにされるとああなっちゃうの…」


あんかけ「え!?」


あんかけと雪衣とダルタニャンは普段の継月からは想像もつかない継月の変わりようにただ驚いていた

海月、ウツボ、クマノミ、フルル、ガブリエルはそれぞれハラハラしながら様子を伺う




継月「もう一度だけ言う、フルルに謝れ。

こいつは警告だ」


烏賊「はっ、誰が。…てめぇ俺を誰だと思ってる?俺は泣く子も黙るアラウミーノのボス、

イカスミー様だぞ?」




ウツボ「アラウミーノ!?」


雪衣「って、なんですか?」


クマノミ「巷で噂のギャングだよ!…まさか

そのボスと会っちゃうなんて…付いてないなぁ」


パラド「…あいつ、終わったな」


ガブリエル フルル パラド以外「え?」




継月「…そうか。反省する気なし…か。

……ならこっちも考えってもんがある」


『♪~(ビルドドライバー装着音)』


『ハザードオン!』


『ラビット!タンク!スーパーベストマッチ!』


『ガタガタゴットンズッタンズタン!』


『Are you ready ? 』


「変身」


『(チン♪)ブラックハザード!ヤベーイ!』


継月はラビットタンクハザードに変身すると

もう一度ハザードトリガーのボタンを押した


『マックス!ハザードオン!』



パラド「いきなりオーバーフローだと!?」


フルル「継ちゃん、ハザードレベルが最高値?に達したとかでオーバーフローを好きなタイミングで使えてしかも暴走しないんだって」


フルルの言葉を聞いてビルドを知っている

一部のメンバーは思った


じゃあもうラビットラビットやタンクタンクにならなくてよくね?……と



『ガタガタゴットンズッタンズタン!』


『Ready go ! 』


『オーバーフロー!』


継月はオーバーフローモードになり、イカスミーに急接近すると反撃する暇を与えないほどの

連撃を繰り出していく


ガン!バキ!


イカスミー「ぐっ!があっ!」


『ヤベーイ!』


バン!


「ぐああああああああっ!」


ズザザザザザザザーっ!


「うっ……ううっ…」


継月は必殺技を出すためにレバーに手をかけた


「も、もういいだろ!勘弁してくれ!」


継月「もう遅い…お前は完全に、俺の心を滾らせた…」




パラド「あいつ、俺のセリフパクりやがった…」


『ガタガタゴットンズッタンズタン!』

海月「っ!いけない!」


フルル「継ちゃん……っ!」



『ガタガタゴットンズッタンズタン!』

あんかけ「海月さん!?」


ダルタニャン ガブリエル

「「フルルちゃん!」」


海月はウツボに、フルルはガブリエルに荷物を預け継月のもとへと走り出した



『Ready go ! 』


継月「はっ!」


『ハザードフィニッシュ!』


イカスミー「うわああああああああっ!」


継月は右足に貯めたエネルギーをジャンプ回し蹴りで放つハザードフィニッシュをイカスミーに食らわせようとするが


海月「『ポイズンバリア』!!」


ガキン!


海月が咄嗟に間に割って入り、ポイズンバリア

を展開し、受け止めた


「はあっ!」


バシン!


継月「くっ!」


ズザザザザザザザ…


跳ね返された反動で地面を後ろに滑って止まったところにフルルが追い付き、継月に後ろから抱きついた


ギュッ


フルル「継ちゃん…もういいよ…フルルは

大丈夫だから…だからイカスミーさんを許してあげて?」


フルルの目には涙が


継月「フルル…」


継月は変身を解除し、フルルを抱き締めた


「ごめんフルル、こわい思いさせちまったな

……おい烏賊」


イカスミー「は、はい!」


継月「フルルの優しさに免じて許してやる、

だから…とっとと失せろ」


イカスミー「し、失礼しましたあああっ!!」


イカスミーは逃げ出した


継月「すまないみんな、俺としたことがまた…フルルもごめんな?」


フルル「ううん、いいよ。継ちゃんがいつもの優しい継ちゃんに戻って良かった」


クマノミ「でも継月~、さすがにあれはやり過ぎだよ…」


継月「だな、結局フルルのこと泣かせちゃうし…ほんっとそういうとこ駄目だな俺って」


ダルタニャン「そんなことないと思うよ」


ダルタニャンが継月に歩み寄る


継月「ダルちゃん…」


ダルタニャン「だって、私だって紫苑ちゃんの事悪く言われたら怒っちゃうもん。継月君も

フルルちゃんが大事だからひどいこと言われて怒っちゃったんだよね?」


継月「ああ。…確かにあいつの言う通りこいつは天然でマイペースで時々何考えてるか分かんないし、なのにたまーに物事の要点突くこと

言うしで俺でも掴めない奴だよ。…でもさ、

そんなんでも俺にとっちゃかけがえのない

家族なんだ、だから…」


フルル「継ちゃん…」


ガブリエル「誰かのことを思って怒れるって

良いことだと思うな私は」


継月「ありがとうガブ姉。…よし!早く戻ろうぜ!田中君と松前君が待ってるからな!」


継月以外「うん!(ああ!)(はい!)」


イカスミーのことで立ち往生してしまった時間の分を取り戻すべく、俺たちはなるべく早く歩いた

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