第15話 宿屋にて

それにしても…


継月は呇山の麓でのことを思い出していた


……………………………………………………


海月『私は海月だぞ?お前を殺そうと思えば殺せる』


あんかけ『……申し訳ありませんでしたぁ』


海月『いいですよ♪』ニコッ


……………………………………………………


普段大人しかったり物静かな性格のやつに限って怒らせると怖いって聞いたことあるけど…、まさかそれを実体験する日が来るなんて…


継月「海月を怒らせないようにしないとな…」


海月「継月さん何か言いました?」


継月「いやなにも?」


海月「…?そうですか、では入りましょうか」


この時一同は知らなかった、継月もまた海月と同じく怒ると怖い人物であることを


ガラガラッ


「ごめんくださーい」


中に入ると


??「ようこそ旅館龍宮へ」


海月「リュウグウさんこんにちは」


リュウグウ「海月さんいらっしゃい、そちらの方々は?」


海月「外口の辺りで倒れていたヒトの方々ですよ、異世界から来たんですって」


継月「海月、知り合い?」


海月「ここの女将さんで、私の友人のリュウグウさんです」


リュウグウ「初めまして、ヒトのみなさん。

当旅館の女将、リュウグウノツカイです。

長いのでリュウグウで構いませんよ」


継月「ご丁寧にどうも。俺は大天継月、継月でいいです。でこっちが」


パラド「こっちっていうな!…パラドだ。よろしく」


あんかけ「あんかけ焼きそばPです。私も

長いのであんかけで構いません」


雪衣「風庭雪衣です」


田中「スクラッパー田中です。田中でいいです」


継月「で、田中さんに背負われてるのが平城山松前君です。どう呼べばいいかは本人が起きてから聞いてください」


お互いの自己紹介が終わったところで


ガラガラッ


??「こんにちはー!」


??2「あれ?もしかして継ちゃんにパラドにあんかけ?」


??3「あれっ、ほんとだ」


??4「おーい!継くん!パラド!あんかけさん!」


後ろから聞き覚えのある声がしたので振り向くと…


あんかけ 継月 パラド 雪衣

「「「「フルル(さん)!?」」」」


継月「それにダルちゃんとガブ姉も!」


フルル「やっぱり!継ちゃんだ!」


フルルは継月を見つけるや否や継月の所に走って抱きつき、継月はそれを受け止めた


継月「フルル!ダルちゃん!ガブ姉!どうしてここに!?」


フルル「継ちゃんから中々連絡が来なかったからプールに行ってみたら誰もいなくて、それでプールに滑って落ちちゃって、気がついたら

呇山?っていうところにいて…」


ダルタニャン「私は公園でランニングの休憩中に柵に寄りかかってたら池に落ちちゃって。

それで気がついたら呇山ってところにいたんだ」


ガブリエル「私はロケが終わって帰ってる途中に足を滑らせちゃって川に落ちちゃったの。

それで気がついたら呇山ってところにいたんだ」


継月「三人とも呇山で目が覚めたのか?」


フルル「うん。で、三人でどうしようってなってたらクマノミちゃんに会って、この世界を案内して貰ってたの」


ガブリエル「そしたらフルルちゃんがお腹すいた~って言うもんだからクマノミちゃんがじゃあってことでここに」


継月「海月、呇山ってついさっきまで俺たちがいたところだよな?」


海月「ええ。ですが私たちとは違う地点で目が覚めた、と見るのが妥当かと…」


継月「かもな」


クマノミ「良かった!フルルちゃん、ダルちゃん、ガブリエルさん、お友達に会えたんだね!」


継月「君がクマノミか?」


クマノミ「うん!私がクマノミよ、よろしくね!」


継月「よろしく。フルルとダルちゃんとガブ姉が世話になったな」


フルル「クマノミちゃん、継ちゃんはお友達じゃないよ~」


クマノミ「え?じゃあなんなの?」


フルル「継ちゃんはフルルの…恋人だよ!」


・・・・・。


継月 フルル パラド あんかけ ガブリエル 松前リュウグウ以外

『ええーっ!?』


リュウグウ「あらあら、うふふっ♪」


そんなこと大声でいうなフルル!ハズいだろ!

(満更でもない)


パラド「継月?顔赤いぞ?」


継月「うっさいな!」


クマノミ達も加わりお互いの自己紹介が終わり…


海月「クマノミさん、フルルさん、ダルさん、ガブリエルさん、せっかくですしあなた方も

私たちと一緒にどうですか?」


クマノミ「いいよー!みんなで食べたほうが

美味しいし!」


リュウグウ「みなさんようこそおいでくださいました。ごゆっくりしていって下さいね」


海月「では先に宿泊代と食事代の方を…」


鱓「そうねー」


クマノミ「はいはーい!」


リュウグウ「この人数ですと…こちらになりますね」


リュウグウが電卓を出してきた


海月「え…っとぉ…。…うそ、足りない」


鱓 「私と海月の手持ちを足しても…」


海月「足りませんね…」


クマノミ「私の足したら足りる?」


継月「俺も出すぞ?」


海月「それでも…駄目ですね、足りません」


海月 鱓 クマノミ以外

「「「「「「「ええーっ!?」」」」」」」


フルル「じゃあ食べられないってこと!?」


継月「そうなるな…」


フルル「そんなぁ…ここの料理美味しいって

聞いて楽しみにしてたのに…」


リュウグウ「そうですね…でしたら、海月さんの案内でここを観光してる異世界の方たちの

宿泊ってことで特別に今回はお代はこちらで

全額持ちましょう」


継月 パラド以外「やったー!」


継月「待ってくれ、『ただより高いものはない』って言うぞ」


パラド「何か条件があるんじゃないか?」


リュウグウ「鋭いですね。その代わりといってはなんですが、ちょっとした雑用を頼みたいんです」


あんかけ「雑用…ですか?」


雪衣「まさか館内の掃除とか皿洗いとか…?」


リュウグウ「いえいえ、ちょっとしたお使いを頼みたいんです」


継月「というと?」


リュウグウ「実は食材や備品が足りなくて…

それを買ってきて貰いたいんです。そのための代金は出しますから。そのお礼として、今回の宿泊代と食事代をこちらで全額負担、ということで…」


継月「わかりました」


パラド「何かRPGでこういうのあるよな」


継月「パラド、間違ってないけど今はゲームから離れてくれ」


リュウグウ「ありがとうございます。必要なものは街で全て揃いますので」


継月「わかりました。あ、その間松前君を預かっててもらっても?」


リュウグウ「はい、それくらいなら」


継月「田中君もここに残って。俺たちが出てる間に松前君が目を覚ました場合近くに知ってる顔がいないと不安になるだろうから」


田中「わかりました。そっちもお気をつけて」


継月「ああ」


海月「では案内しますね。ついでに、この世界ならではの特色や文化もお教えします」


鱓「行こ行こー」


クマノミ「レッツゴー!」


継月「よし、じゃあ行こうか!」


……


街へと向かう道中


雪衣「継月さん」


継月「なに?雪衣ちゃん」


雪衣「何故、何か条件があるとわかったんですか?」


継月「あー、ゲームじゃよくあるんだよ。

依頼を達成した報酬として~みたいなのが。

それに、上手い話ってのは必ず何らかの裏が

あるから」


雪衣「成る程…」


継月「あっ、そうだ。フルル、ダルちゃん、

ガブ姉」


継月とフルルとダルタニャンとガブリエルは

他のメンバーに聞こえない程度の声で話始めた


フルル「なに?継ちゃん」


ダルタニャン「どうかしたの?」


ガブリエル「継くんどうかした?」


継月「とりあえず海月は怒らせないようにしてくれ。あいつ、怒るとヤバイから」


ダルタニャン「そ、そんなに?」


継月「ああ」


ダルタニャン「わかった…」


フルル ガブリエル((それ継ちゃん(くん)が言っちゃうかなぁ…))


……


そして街の入り口に着いた


継月がリュウグウから貰ったメモを見たが


こりゃそこそこ数があるな…


あんかけ「随分と種類がありますね」


継月「ええ、だから3チームに別れてこなそうと思う。リーダーは海月、鱓、クマノミの三人だ。ここの事に詳しいからな」


海月「わかりました」


鱓「わかったよー」


クマノミ「オッケー!」


継月「で、各メンバーなんだが…海月のとこに俺とフルル、鱓のとこに雪衣ちゃんとダルちゃんとガブ姉、クマノミのとこにあんかけさんと

パラドだ。ガブ姉は雪衣ちゃんと鱓の護衛も

お願い」


ガブリエル「うん!」


あんかけ「それで、役割は?」


継月「海月チームでメインとなる肉とか魚を

担当するから…鱓チームは野菜とか果物系を

お願い」


継月は雪衣に野菜と果物のところをピックアップしたメモを渡した


鱓「オッケー」


雪衣「わかりました」


ダルタニャン「うん!」


ガブリエル「任せて!」


継月「クマノミチームは備品をお願い」


継月はあんかけに備品のところをピックアップしたメモを渡した


海月「クマノミさん力持ちですし、適役ですね」


継月「そうなのか?あの見た目で?」


継月はこのメンバーで一番小柄な容姿の

クマノミが力持ちであることに驚きを隠せなかった


クマノミ「むー、継月それちょっと失礼じゃない?」


継月「悪い悪い。そんじゃ、今言った分担で

物質調達始めようぜ!」


全員『おー!』


こうして俺たちは宿泊代と食事代を免除して

もらう代わりの物質調達に移った

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