第81話 リン、熱く語る
その日、リンとハル、カナは部室でだべっていた。ユウはサークルの会合で大学から呼び出されていて、留守だった。
話のネタも少し尽きて、ハルはリンにユウの話題を振った。そうすると大体、リンがユウのことを延々と語ってくれるので楽なのである。
「リン先輩、ユウ先輩が泊まりに来るといつも一緒にお風呂に入ろうって言ってますよね。」
「え〜、なにそれエッチ。」
「いつも言っていれば、そのうち叶うかも知れないじゃない。信じる者は救われる、よ。」
「でも、私には一緒に入ろうとは言いませんよね?」
「あんたと入っても、小学生の弟と入るようなもんじゃない。つまんないわ。」
「それは、私は胸がないってことですかい? おうコラ?」
「でも、ユウ先輩ってホント可愛いですよね。可愛い顔で少しクールな口調、ナイスバディのギャップが可愛い。」
「そうね、今のユウも可愛いけど、私と知り合った頃のユウもすごく可愛いかった。」
「え、今と違うんですか?」
リンはスマホの画像をハルとカナに見せた。それは2年前、リンとプールに行った時のユウの水着姿の写真。今より少しぽっちゃりしているユウがセパレートの水着で恥ずかしそうにしている。
「うおおおおおお! 可愛い!可愛い過ぎる!」
「ください! リン先輩、私にもその画像ください!」
「いやよ! ユウは私だけのものなんだから!」
リンはスマホを奪おうとするハルとカナと揉み合った。その時、リンはこめかみに固い感触を感じた。
いつのまにかユウが後ろに立っていて、両手の拳骨でリンのこめかみを挟んでいる。
「あなたたちは何を大声で騒いでいるんですか?」
ユウはにっこりと笑った。が、目は全然笑っていない。
ユウの拳骨がグリグリと音を立てながら、ゆっくりとリンのこめかみにめり込んでいった。
「痛い! 痛い! ユウやめて! もっと優しくして! それはダメえええええ! いやああああああああああ!」
処刑されるリンを見て、震え上がるハルとカナなのであった。
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