第78話 ユウの成人式

今日は、ユウの成人式である。去年はリンが着た振袖を着付けるためにユウと母は母の行きつけの美容院『サロン・ド・リリー』に行った。リンはパンツスーツに、ハルはタイトミニのスーツに、ユウの家で着替えた。ユウの父とお茶を飲みながら待機する。


ハルもユウの両親にすっかり気に入られて、リンがユウの家に食事に呼ばれると必ずついてきて、お相伴に預かるようになった。ユウの母に料理の作り方を聞いて、大分再現できるようになっている。ユウの母は


「そうしてると三姉妹みたい。華やかでいいわ。」と言って、大喜びであった。


ユウの母から着付けができたとの連絡があって、ミニバンで迎えに行く。美容院から出てきたユウを見て


「か、かわいい。」


「すっごく可愛いですよ。」リンとハルは同時に呟いた。


去年のリンはキレイな感じであったが、今年のユウは可愛さを強調したメイクだった。


ユウは恥ずかしそうにしている。ユウの父と母は、涙ぐんでいた。小学校高学年の時から高校まで、学校には何とか行くもののそれ以外はほとんど自分の部屋で過ごし、友達も全くいない娘。大学に入って、ようやくリンという友人ができ、サークルに入って友達と旅行に行くようにまでなった娘。


感無量な様子のユウの両親だった。


写真館に行って、記念の写真を撮る。リンはちゃっかりユウとツーショットの写真を撮ってもらっていた。


去年も行ったフレンチレストランで昼食となった。


「来年は、あんたの成人式ね。」


「私は、たぶん小諸での式に出ますけど、先輩たちも来てくれますか?」


「いいわよ。」


しばらくして、リンの家にはユウの成人式の写真が飾られた。リンの寝室にはユウとリンの二人の写真。リビングには、ハルを含めた全員の写真。それが家族扱いされているようで、何となく嬉しいハルだった。

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