第71話 お盆の小諸
夏休みもお盆となった。ユウとリンはハルの実家のある長野県小諸市に遊びに来ていた。もちろんミトたちにも声をかけたが、みな帰省や用事などあって来れなかった。
ハルの家族は、市内の中心部のマンションに住んでいるのだが、夏の間は郊外の一軒家で過ごしている。標高が高く、木々に囲まれ、日陰は快適なのであった。
初めて、ハルの両親にあった時、ユウとリンは祖父母かな? と思った。ハルはどうやら遅くにできた子どもらしい。
ユウとリンはハルの家に泊めてもらって、小諸城や懐古園など小諸市の観光とサイクリングを楽しんだ。
「いいとこね。観光客があまりいなくて落ち着く。」
「でしょう。私もここが好きですよ。」
ユウとリンはハルの両親に歓迎された。特にリンはハルの両親に気に入られたらしい。リンも楽しげにハルの母のお手伝いなどをしている。
どうやらリンは年配の人に気に入られる才能があるようだった。ユウの両親もリンがお気に入りだし、ユウの母に至ってはリンが女の子であることを残念がっていたものだ。もしリンが男の子であったら、ユウは無理矢理にでもリンと結婚させられていただろう。
3日ほど泊めてもらって、ユウとリンは東京に戻った。去年のユウの夏休みは自動車教習所とパン屋のアルバイトで忙しかったが、今年は『ワンスモア』のみんなとしまなみ海道に行ったり、ハルの実家のある小諸に遊びに行ったりして、楽しい夏休みだ。
「今年の夏休みは、楽しいですね。」
ユウは半分独り言のように呟いた。その時、助手席でうとうとしていたリンの目がかっと見開いた。
「ダメよ! ユウの水着姿を見るまでは、夏休みは終わらないわ。私の夏休みはこれからよ。来週はプールに行くわよ! 今年はビキニを買ってあげる!! 今のユウならきっとすごくエロ可愛くなるわ♡」
「去年も言いましたけど、ビキニはいやです。」
ミニバンを運転しながら、げんなりとしたユウなのであった。
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