第70話 ああ、しまなみ海道

ユウたちは、尾道ラーメンに満足して店を出た。30分ほど並んだがその甲斐あって、とても美味しかった。ミトやリンはチャーシュー大盛りの麺大盛りを完食して苦しそうだ。店から出たところで、ミトのスマホに電話がかかってきた。レイとコトコが尾道駅に着いたらしい。ユウたちが駅に戻ると、レイとコトコは自分たちのロードバイクを組み立てていた。レイが赤いトレック、コトコは白のキャノンデールのロードバイクで共に大学時代に乗っていた車両である。


「レイ先輩、コトコ先輩、お久しぶりです。」


「久しぶり。今日はよろしくね。」


レイたちは新幹線の中でブランチを済ませたとのことで、尾道から渡し船で向島に渡る。レイとコトコは、ユウたちのスチームローラーやハルたちのクロスチェックを見て


「こういうのも落ち着いていて、いい感じね。」などと言っていた。


向島に着いて、ユウ、リン、ハル、カナのポタリンググループとミト、マナ、ヒワ、レイ、コトコのサイクリンググループに別れた。今日の宿泊先である民宿まで別行動である。



「ガッツ入れて行きましょう。」


「「「「おー。」」」」



コトコが気合いを入れて、『ワンスモア』の一行は走り出した。これから二日かけて、約80キロある今治へ向かう。


ユウたちのグループは、シングルスピードの自転車がメインなので距離は稼げない。民宿までほぼ最短距離で行くことになる。


だが、レイとコトコも社会人になってから、あまりロードバイクに乗っておらず予想以上に運動不足だったらしい。ミトに全くついて行けず、こちらも少し速いポタリングみたいになってしまった。


しまなみ海道は予想以上に素晴らしかった。道は自転車で走りやすいよう整備され、海の景色は見飽きることがない。


一泊目の民宿は、魚介類の料理が美味しいと評判の宿であった。瀬戸内海の島で採れるレモンで作られたレモンサワーも美味しくて、お酒が進んだ。そして民宿のお風呂でリンは念願の『ユウと一緒のお風呂』を叶えることができたのだった。


翌日は、今治まで行くことになる。ポタリング組は時間を見ながら寄り道をすることにして、基本真っ直ぐに今治へ。サイクリング組はあちこち回りながら、今治へ向かった。


無事に、夕方に宿で落ち合って二日連続の宴会となったのであった。


翌日、


レイとコトコは明日から仕事ということで、松山空港から朝の飛行機で東京に戻ることになった。


久しぶりのサイクリングとしまなみ海道の景色とグルメで、生き返ったような二人は、笑顔で手を振って帰って行った。


ユウたちは、自転車を積めるバスに乗って尾道まで戻る。自転車を二日かけて走った道のりをバスは一時間半で尾道まで戻った。そして、猫の細道など少し観光して解散となったのであった。




帰りの車中、


「楽しかったですよ。」


「一度じゃ全然、回りきれないわね。」


「うさぎがいっぱいいる島に行きたかったな。」




「「「来年もまた行こう!!」」」3人は心に誓ったのであった。

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