第69話 夏休み突入

大学は夏休みに入った。


そして、いきなり『ワンスモア』のしまなみ海道ツーリングが2泊3日で始まった。ミト曰く、今まで『ワンスモア』の泊まりがけのイベントはなかったそうで、今回が初めてとなる。


ユウとリンを始め、『ワンスモア』の部員全員とOBであるレイとコトコまで参加することになり、総勢9人の大所帯である。人数が多いのとシングルスピードとロードバイクでペースを合わせるのは大変なので、現地では、ユウ、リン、ハル、カナのポタリンググループとミト、マナ、ヒワ、レイ、コトコのサイクリンググループに別れることになった。


9台の自転車を全部、鉄道での輪行で移動させるのは大変ということで、前日にユウがミニバンにできるだけ自転車を積んで現地に行くことにした。交代のドライバーが必要なので、免許を持っているハルも同行する。リンは免許がないので新幹線で行くようユウに言われたが、なんとしても納得せず、リンも同乗することになった。自転車の車輪を外してミニバンにギチギチに詰め込んで、何とか5台載せた。


ユウたちは、高速道路をひたすら西に向かう。助手席のリンは上機嫌であった。ハルと運転を交代しながら走り続け、午後3時位に岡山に着いた。ちょっとだけ観光をして、その日はホテルに泊まった。


レイとコトコ達はそれぞれ自分の自転車を輪行、ミトたちは比較的軽いミトのロードバイクとユウのスチームローラーの車輪を外して、フレームと車輪を別々に輪行袋に入れて全部で四つの荷物に分けた。これで一つの荷物はかなり軽くなった。新幹線の車両の予約していた一番後ろの座席の裏にあるスペースに輪行袋を入れる。


ミトたちは朝7時代の新幹線で、仕事で疲れているレイ達は8時代の新幹線に分乗した。


後は、福山駅までおしゃべりしたり、居眠りしながら過ごすだけである。


前日、岡山のホテルに宿泊したユウたちは朝出発して、尾道駅に着いた。自転車を下ろし、リンとハルが片っ端から組み立て始める。ユウは駅から離れた料金の安い駐車場に車を停めに行った。


ユウたちがしばらく駅前で待っていると、福山駅から在来線に乗り換えて尾道駅に着いたミトたちがやって来た。


「ミト先輩、おはようございます、お疲れ様でした。」


「ユウさん、リンさん、ハルちゃん、ありがとう。お疲れ様。」


ミトのロードバイクとユウのスチームローラーを組み立てて、ユウたちは最初の目的である尾道ラーメンのお店に自転車を漕ぎ出した。

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