第64話 カナ、悩む
カナは、風呂上がりのバスタオル一枚の姿で下を見ていた。ため息をついて体重計から降りる。
カナは悩んでいた。ユウたちに連れられてすでに3回ほどポタリングに行ったが、全く痩せる気配がない。むしろ太ってきたような気がする。
最初の内は良かった。ポタリングと言っても、坂道があったり向かい風だったりすることはよくある。みんなが汗まみれになっていても、自分は涼しげな感じで得意だったりしたものだ。ハルに疲れない?と聞くと、疲れるけどご飯が美味しいし、夜よく眠れるですよなどと返されて、強がり言っちゃってと思ってた。
『ワンスモア』のポタリングでは、美味しいランチやスイーツがお約束で、みんなカロリーの高そうなランチや、カフェに行けば当たり前のようにケーキやパフェを食べている。それがとても美味しそうなので、つい自分も食べてしまうカナだった。
だが、カナ以外のみんなは全く太る様子もなかった。ユウはナイスバディだし、他のみんなも引き締まった体付きをしている。
何かが間違っている。カナは考えた。心当たりは一つしかない。電動アシスト自転車は、運動にならない、ということだ。通学や通勤、子育て中のママやお年寄りには、これほどいい自転車はないのだろうが、自転車にダイエット効果も期待していたカナは、自分の考えが間違っていたことを認めざるを得なかった。
仕方なく、ハルに相談すると、世田谷区の自転車屋に連れて行かれる。
次の『ワンスモア』のポタリングに、カナは新しい自転車でやって来た。
アメリカのツーリング自転車のメーカーであるリーベンデールのフレームにシマノのインター11のハブギヤを入れた自転車は見た目はシティサイクルだが、軽量かつ11段変速の最強のポタリングマシンである。
この自転車はシングルスピード程ではないが、カナに満足できるダイエット効果をもたらした。
カナは、通学にもこの自転車に乗るようになり、そのうち電動アシスト自転車は手放してしまった。
「これを予測していたの?」後日、リンに聞かれて
「さあ、どうでしょう。」意味ありげに微笑むユウなのであった。
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